加藤浩子の La bella vita(美しき人生)

加藤浩子の La bella vita(美しき人生)

December 10, 2005
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カテゴリ: 音楽
 ソフィアオペラの「オテロ」に行ってきた。

 結果はまずまず。オケと合唱の弱さはどうにもいなめないが、主役2人はやはり力量あり、他の独唱歌手もまあまあ揃っていて、歌唱的には楽しめた。 
 だんないわく「(2,3年前に来た)ワシントンオペラの、ドミンゴ&ゲルギエフのオテロよりずっといい」「NBS(一流の劇場を呼ぶが値段も一流の招聘元)の公演より、コストパフォーマンスはいい」。
 そうかも。NBSの公演もだが、あのワシントンオペラはひどかった。ロートルのドミンゴに手抜きのゲルギエフで最高席6万円!それもNHKホール!末代まで語り継がれるべきハイコスト&ローパフォーマンスの公演でした。

 それはともかく、今回ちょっと息を呑んだのは、隣のおじさまの「ブラヴォー」フライングでした。
 第1幕が終わり、まだ音楽が鳴りながら幕が閉じかかったところで「ブラヴィー!!!」主役にも負けない?声量だったのでおもわずびくっ。
 第2幕、イヤーゴの有名なソロ「クレド」のあとで、「ブラヴォッ!」  これにもたまげた。第1幕以上に。だって「オテロ」っていわゆる番号オペラじゃなくて、1幕を連続して演奏するオペラだから、いくらソロがおわっても途中では拍手やブラヴォーはしないから。
 ところがそのおじさま、たぶんオールド・オペラファンなのだろう、「スカラ座やメトではね、こんなのは当たり前」なんて大声で話している。

 ひやひやしていたら、休憩時間に、有名ジャーナリストのE女史が、係員に詰め寄っていた。
 さすがジャーナリストだなあ、言うべきことはちゃんとすっぱり言う度胸と強さ、と感心してしまったのだけれど、女史がさらに主催者にも話をしているのを見かけたので、このままではまずいと思い、主催者側の知り合いをつかまえて、「私たちの隣の席」だと、列と番号を伝えておいた。
 それで、主催者側の担当者も、私たちの席の近くに来て、おじさまに注意したのだが、
 「きみは、何を言っているんだ」と、跳ね返されてしまうしまつ。
 「音楽が終わらないうちの拍手や掛け声はお控えください」という場内アナウンスもあったのだが、いっこうに聞いていないようすだった。
 ただ、さすがに、その後は大声は控えていたのだけれど。

 拍手やブラヴォーのタイミングは難しい、とよく言う。でも、一番大事なのは、周りの空気を読むことだと思う。音が消えるまでじっと聴いていたい聴衆か、そうでないか、場慣れしていれば分かるはず。今回のケースはブラヴォーのフライングに対して、場内の反応は明らかに冷たかったから(「しっ!」という声も飛んでいた)、その空気を読む配慮も必要だ。自分一人のための公演ではないのだから。

 そういえば、時々「さくら」としか思えない「ブラヴォー」もあるが、あれもしらけるものである。

 本当に感動すると、拍手もしたくない、ブラヴォーも言いたくない、という心境になることもある。今回は、とくに第1幕や第4幕の幕切れなどは、余韻を楽しみたかったので、個人的には音が消えるまで拍手やブラヴォーは待ってもらいたい、という心境ではあった。

 2年前だったかな、ライプツィヒのバッハフェスティバルで、ヘレヴェッヘの「ロ短調ミサ曲」を聴いたときは、あまりにもすばらしくて、「お願いだから拍手をしないで、静かにしていて!!!」と叫びたい気持ちにかられたものだ。

 そう、ブラヴォーや拍手のしかたにも、やっぱり品格って、出ると思うよ。





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最終更新日  December 18, 2005 01:13:39 AM


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