加藤浩子の La bella vita(美しき人生)

加藤浩子の La bella vita(美しき人生)

January 5, 2007
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カテゴリ: 映画
 ひさしぶり!に映画に行った。

 私の見るような映画はだいたい女性客が多いのだが、今回はかなり男性客が目に付いた。それもかなりの高齢層。オールド・クラシックファンだろうか。

 想像したより、渋い内容の映画だった。
 「第9」に秘められたエピソード、といううたい文句だったので、第9の初演がクライマックスになるのかと思いきや、「大フーガ」が次なる焦点になり、その革新性、それが理解されないこととベートーヴェンの孤独が浮き彫りにされたり・・・
 この監督は「大フーガ」によほど思い入れがあるのかなあと思っていたら、プログラムを買ったらやはりそうだった。女流監督のアニエスカ・ホランドは、「後期弦楽四重奏曲」が大好きなんだそうだ。うーん、渋い・・・。

 物語自体はフィクションだし、細かい突っ込みどころはいろいろあったが(たとえば創造された女弟子のアンナ・ホルツが、楽団員の陰からベートーヴェンの指揮を指図する場面なども、盛装した女性がステージ上でそのようなことをするのは当時の感覚からいって難しいと思う)、ネットなどで話題になっていた「ベートーヴェンの人間像」については、それほど違和感は感じなかった。もちろんデフォルメされているとは思うし、彼の「孤独」も強調しすぎていると思うが(ベートーヴェンは男盛りのころはかなりモテていた。女性の方から熱をあげたことも何度かあったはずだ)、基本的な感覚はしごくまっとうな人間として描かれているのではないだろうか。
 自己を強烈に恃むので、周囲と摩擦を引き起こしてしまう光景が何度か登場したが、あれだけのひとならそれだけの自負があって当然というもの。最近来日したアーノンクールやノリントンだって、自分の音楽に対する自信はなみなみならぬものがあるという。ましてベートーヴェンにおいておや、だろう。

 もうひとつ、この映画を観て感じたのは、これは「(ベートーヴェンに弟子入りした)女弟子のディスカバーマイセルフ」ストーリーなのだなあ、ということだった。

 女弟子を演じたダイアン・クルーガーも、この役柄のそのような面に魅せられたとインタビューで語っていた。
 女流監督ホランドの目的は、そこにもあったのではないだろうか。彼女自身、自分のキャリアを築く中でさまざまな自己発見があっただろう。監督が敬愛するベートーヴェンによって自己の内面を呼び覚まされていく女弟子の姿は、監督の姿にも重なるように思えた。





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最終更新日  January 6, 2007 12:59:36 PM


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