In My Life

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2012年09月15日
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カテゴリ: 映画
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このところテレビで見る機会が多かったせいか高倉健という俳優がすごく気になり、出演作品をいくつか見てみたくなった。試験期間が明けて久々に自分の時間ができた今日、最初にした事は借りてきたDVD「ブラック・レイン」の鑑賞だった。そうしたらこれが面白過ぎてハマってしまい、繰り返し見た上にメイキングまで見て、ほぼ一日中この映画に浸って過ごすことになった。

映画館で見て以来20年振り位になるが、松田優作を失ったショックで感傷に浸っていた当時と違い、今回は冷静にこの優れた作品を堪能することができた。見れば見るほど深みのある作品に思わず唸ってしまったほど。脚本と演出、キャスティング、俳優の演技、音楽、どの要素をとってもとてつもなく素晴らしい出来栄えであることに改めて気付き、何より映画人たちの作品作りに注ぐ情熱の凄さに猛烈に感動した。

驚いたのは大阪の高級クラブでのシーン。あの健さんが、アンディ・ガルシア演じる陽気なニューヨーク市警の刑事に無理やりステージに引っ張り出されてレイ・チャールズのナンバーをデュエットで熱唱するところ。意外過ぎて最高に面白い! メイキングのインタビューで本人も語っているけど、キャラが違い過ぎる演技は本当に大変だったそうだ。だけど、二人が急速に親しくなるこのシーンはストーリーの展開上とても重要であり、監督のリドリー・スコットの熱心な要請もあってチャレンジするに至ったらしい。

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プロダクション・ノートには他にも大変興味深い事が満載なのだが、それによると、この作品に出演したマイケル・ダグラスはこれまでこなしたことのないダーティなアクション・ヒーローを演じることで役者としての新たなキャリアを築くことにチャレンジしていた。 だけど僕は、健さんのチャレンジはそれよりはるかに難しいものだったと思う。自分自身の殻を打ち破るこのチャレンジは単なる役作りを超えるものがあって、だからこそ、より特別な思いでこのシーンを鑑賞できるのだろう。もっともこれはリアルに健さんのキャラクターを知っているからこそ痛感できる、日本人だけの特典ともいえるのかな。

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このシーンはアンディ・ガルシアのアイデアだったらしいが、後に健さんが歌うことはおろか、笑うこともほとんど見せたことがないと知って相当驚いたらしい。それまでのほとんどの出演作品での役柄同様にここでも実直なキャラなのに、泥酔までしてハジけてしまうそのギャップが面白過ぎて大変魅力的なシーンだった。なんてったって、あの健さんだけにね。

アンディ・ガルシア演じるチャーリー刑事が殉職するシーンはインパクトあり過ぎて相当ショッキングだが、監督がリドリー・スコットだからね。必ずそんなシーンがあることを覚悟して見なければいけないね。 ガルシアの役作りがまた上手くて、チャーリーが本当にいい奴だっただけに、彼を共通の友人に持つ二人の刑事(健さん演じる松本警部補とマイケル・ダグラス演じるニック刑事が東洋と西洋の文化・価値観の壁を超えて手を結び、復讐に燃え上がる。演技が抜群に上手いせいもあるが、俳優たちがあまりにも魅力的過ぎて猛烈に感情移入してしまう。 



そして目の演技といえば、この作品が最後の出演となってしまった松田優作の役作りの見事さ。野心に燃えるヤクザのリーダーの役を、彼にしか出来ない凄みをもって、それでいて大変魅力的に演じて強烈なインパクトをもたらしている。病で倒れなければ、間違いなく世界的な大俳優になっていたことだろう。そう確信させる輝きを、この作品の中で見事に放っている。

「ブラック・レイン」は最高の才能が、ベストなタイミングで集結して作られた奇跡的な作品だ。もしも当初のオファーが実現して、敵役の佐藤を奥田映二が演じたとしても、それはそれで存在感のある魅力的な作品になったとは思うが、松田優作とはまったく異なる役作りになったことだろう。マイケル・ダグラスは、これまで自分が出演した作品はどれも全力で取り組んできているが、好きな作品は?と聞かれれば、迷わずこの「ブラック・レイン」を筆頭にあげるという。

この映画は、DVDの特典に入っているメイキングを見るとさらに感動する。映画作りの魅力、難しさと醍醐味、そのすべてがおさめられているからだ。





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最終更新日  2012年09月16日 11時18分18秒コメント(0) | コメントを書く
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