Hic Rhodus, hic saltus.

2006.06.11
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「憲法を創設するの精神は第一君権を制限し、第二臣民の権利を保護するにあり。故に憲法に於て臣民の権利を列記せず、只責任のみを記載せば憲法を設くるの必要なし」 伊藤博文 首相。それに対し、 森有礼 文相は、 「臣民の財産及言論の自由等は人民の天然所持する所のもの」 (同)と断言。憲法に記載する必要はないと語っています(清水伸 『帝国憲法制定会議』 )。

こうした議論が、明治憲法の発布直前である1888年になされていたのは、驚きというべきではないでしょうか。最近の改憲論の中には、立憲主義の本質を見失った妄言とも言うべき議論すら見られます。国会の憲法調査会の活動を詳しく知れば知るほど、うすっぺらな憲法観がもたらす危険な言説に愕然とせざるを得ません。

樋口陽一の 『先人たちの「憲法」観』(岩波ブックレット) は、明治から昭和に至る先人たちが、憲法をどのように捉えたかを手短にまとめた好著です。高校生でも学ぶ 中江兆民 「恢復的民権」 「恩賜的民権」 の対比や、 2002/05/25 に紹介した 夏目漱石 「個人主義」 なども掲載されています。さらには、日本が立憲主義を明確に放棄した 「国体明徴に関する政府声名」 も掲載。
先人たちの「憲法」観
日本の憲法史を学ぶ上で不可欠な文献・資料を紹介しているという点で、初学者がまず手にとってみるべきガイドブックと言えるでしょう。さらに、 「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」 ( 日本国憲法第97条 )である基本的人権は、 「国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」 ( 第12条 )という使命を国民は負っていることも忘れてはなりません。憲法は国家権力を抑制するために国家に遵守を求めたものですが、それが実際に遵守されているかどうかを監視する義務は、国民が負っているのです。

『先人たちの「憲法」観』(岩波ブックレット)





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最終更新日  2006.06.12 12:19:46


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