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2006.11.17
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テーマ: 大学入試(210)
カテゴリ: カテゴリ未分類
大学入試問題サイト で、東大理系の昨年度の更新をしておきました。
私の受ける印象を書いておきます。

旺文社・大学入試問題正解の2006年受験用版の東大前期の講評を見ると、合格者を選別する、という目的においては、少々問題が難しすぎるのではないか、と、書かれています。
書いているのは、受験界において著名な人です。
実際、難しい問題は受験生には可哀想だ、教科書程度の基礎学力を観るので充分なのではないか、そういう声もよく聞きます。

ですが、私はこういう考え方には反対します。
こうした考え方では、日本の科学技術の将来はお先真っ暗になります。
何としても、意欲溢れる受験生には、東大の難問にチャレンジして頂きたいと、私は思います。

科学技術の最先端のところで頑張るときに、必ず、超えがたい壁にぶち当たるときがあります。

そうしたときに、教科書に載っていないから解決できませんでは、負けです。
ここでこそ、東大入試の難問にも取り組んだ、というチャレンジ精神が功を奏するのです。

東大でも、2002年度の入試は易しく、高得点続出なのではないか、という年がありました。
しかし、こういう年は、英語や国語で合否が決まってしまい、数学を得意とする受験生は涙を飲むことになっただろうと想像します。
この年の、旺文社・入試問題正解の東大前期の講評のところにも、易しすぎるのではないか、と、書かれているのですが、1973年の入試でも前年が難しすぎたために異常に易しくなった年がある、という記述が見えます。
実は、1973年の前年、1972年の入試を私は受けています。
数学に絶対の自信をもって試験に臨んだ私でしたが、数学が2問しか完答できず、数学の試験終了後は、もうだめだ、と、思いました。
後からよく考えると、残り4題も決してできない問題ではなかったのですが、最初に取りかかった空間図形の問題が解けないショックが大きく、動揺が抑えられないまま、試験時間が終わってしまいました。
ところが、入学してみて驚いたのですが、周囲に聞くと、数学は1題もできなかったのに合格してしまった、という人ばかりだったのです。

いろいろなゼミにも出て思いましたが、数学に自信を持っていた私の遙か上を行く実力者が何人もいました。
私が持っている数研出版の教科書の執筆者にも名を連ねていますが、現東大教授の坪井俊さん、法政大教授の雪田修一さんなどもそうです。

数学の試験が難しければ、数学の得意な受験生が数学で高得点を取り、数学を苦手とする受験生は低い得点となり、ここで差がつきます。
しかし、数学の試験が2002年度のように易しいと、数学が苦手と言っても東大受験生はそこそこの問題はできます。
数学で点数の差がつかなくなるのです。
結果的に、英語や国語の点数で合否が分かれ、数学のエキスパートは合格できない、という、理系の試験にあるまじき結果となります。

2006年度の入試では、完答は、数学は確率の問題だけ、ほかは全部途中まで、という合格者もかなりいると思います。

合格者の平均点がどうかという問題ではなく、数学の実力の順に数学の得点が並んでくれるか、という問題です。

昨年度の問題を見てみます。

第1問 は、商の微分法の計算をして、導関数の中に出てくる数列の規則性を見破ればよいので、落ち着いて見ていけば誰でもできる問題です。
完答できるかどうかの分かれ目は、規則性が見破れるかどうかの一点です。
試験場の雰囲気ではどうか、ということはあると思いますが、私としては、東大受験生でなくてもできて欲しい問題です。

第2問 は難問です。私なら、やれる限りのことをやって、あとは放棄します。
150分の試験で、他の問題もそこそこ書いてなお、この問題が完答できるなら、その時点で合格を確信して良いと思います。
手を抜くとすれば、 θ が180度のときに最大になる、と、書いて、cos θ =-1として、|w|の最大値を考えてしまえば良いでしょう。
この難度では、これで減点されても、半分くらいの点数は確保できると思います。
数学的に厳密にやろうとすると、他の問題を解答する時間がなくなります。
ちなみに、この問題の旺文社入試問題正解の解答は白眉です。
これが思いつければ、この問題はものにできます。

第3問 は、定型パターンの問題で、この問題は、平均値の定理を使えばよいことを知っているかどうかで決まります。
こういう受験テクニック的な問題も、東大は毎年必ず混ぜています。
受験秀才にも道を開いてあげよう、ということでしょうか?

第4問 は整数の問題ですが、東大や東工大の整数の問題としては易しい部類です。
雑誌「大学への数学」でもよく強調されていますが、実験せよ、手を動かせ、ということで、 a ( a -1)と因数分解して、 a か( a -1)のどちらかが、偶数で、どちらかが奇数、ということに気付けば、それで解決に至るでしょう。
この問題も、東大受験生でなくてもできて欲しい問題です。

第5問 は確率の問題ですが、あまりに易しい2007年度の確率の問題は別として、東大の確率の問題は、あまり真剣にやらない方がよいように思います。
場合分けが複雑で、場合を見落とす可能性の高い問題が多く、それほど難度の高い問題でなくても、正解するのが難しい問題が多いのです。
この問題もそうした問題です。
最後に、余力があれば、しっかり見直す、ということで対処すべき問題だと思います。

第6問 は、定石通りに、立体を断面で切って、断面形状を素直に考えていけば良いのですが、立体の形状にこだわると破滅します。
計算はやや面倒なので、体積を求める定積分の式だけでもしっかり書いておくことが大切です。
こういう問題は、最後に時間的余裕があれば検算するとしても、完全解答を狙うべきではありません。

なお、入試会場での要領の良い解答の書き方は、下記の本を参考にしてください。



CFV21 大学入試問題サイトへ





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最終更新日  2006.11.17 11:44:17 コメントを書く


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