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2010.11.06
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カテゴリ: 読書
本日2回目の更新、失礼します。

ドン・ウィンズロウ「犬の力」上下巻読了しました。


犬の力(上)


犬の力(下)

単行本が出版された時にタイトルに気をひかれたものの読まず。
そうこうするうちに、宝島社が毎年発表する「このミステリーがすごい!」の
2010年版 海外編1位に選ばれたので、これは読まねばなるまいと手に取りました。

読み終わって…。
面白かったです。とても。

ストーリーを大雑把にまとめると、アメリカとメキシコを舞台に起こる
麻薬戦争と、それに絡む人間関係の物語。

主人公も一人ではないので、詳しく書きだすとキリがありません。
そして予備知識なく読むほうが絶対にオモシロい話だと思うので
これにとどめてしまいます。

さて、「麻薬戦争」の話でタイトルが「犬の力」となると
麻薬探知犬が大活躍する話のように思われるかもしれません。

しかしこの小説には犬は一匹も登場しません。
アメリカ軍の秘密作戦のコードネームに
ギリシャ神話の冥府の番犬「ケルベロス」が使われているのみ。

では「犬の力」とは何かというと、旧約聖書に出てくる言葉なんですって。
とてつもないパワーを持つ「悪」や「怒り」をあらわすものらしいです。

犬の力は麻薬取引でしのぎを削る側にも、

報復に次ぐ報復、復讐に対する復讐は破壊的なまでに暴力的で残虐。
想像すると胃がぐーっと縮こまるような感じの表現多数です。
でも、登場人物たち一人一人が非常に個性的。
単なるワルな面だけでなく、人間として弱い一面、哀しい一面を抱えながら
生きているのが、なんとも共感できる。


ただ、一つだけ馴染みにくかったのは、視点がころころ
変わること。
章ごとに代わるというのではなく、追いつ追われつの場面で
地の文が数行前と反対側の人間の視点に変わっていて
しかも主語がないので、視点が変わったことに一瞬気がつかず
「あれ?なんか変」と立ち止まり、よーく読んで理解することが
何度かありました。

それに慣れると、映画やテレビドラマで
カメラが急に切り替わる場面転換のように感じられなくもなく
スピード感につながる気もしましたが…。
でも読む側に妙なストレスを感じさせる文章だと思いました。
これは原作自体がそうなのか、翻訳段階でそうなったのか
よくわからないのですけれど。

麻薬戦争ということで、ほとんどの登場人物は男性ですが
主役級に一人、すこぶる美人の高級娼婦、ノーラという
女性が登場します。

ノーラは16歳の時にすでに売春をしていたのですが
高級娼館「白の館(ホワイトハウス)」の女主人に見出され
高級娼婦になるよう教育されていきます。

その初期段階にノーラが教わることが新聞の読み方。
「ファッション面を読むんじゃないのよ。芸術面でもない。
高級娼婦はまず最初にスポーツ面、次に経済面、
余裕があったら社会面を読むの」
(「犬の力」より転記)

思わずメモしそうになりました。
いやいやいや、何も娼婦になろうというわけではないですが
話題作りってやっぱりスポーツが無難なのかなと。

上下巻、かなり厚みがある大作ですが
スピード感があって面白く読めます。
お勧め度は★★★★☆。

最後の一つがつかなかったのは、暴力的な表現に
耐えられない方がいらっしゃるかも、というのと
やっぱり視点が突然ぶれるのがしんどかったから。


【追記】
ノーラが、麻薬カルテルのトップ アダン・バレーラと香港に
行く場面があり、ペニンシュラホテルにチェックイン、
スターフェリー乗船、ヴィクトリア・ピークからの夜景…は
2006年に行った香港旅行 を思い出させました。
楽しかったなー。香港。


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最終更新日  2010.11.06 15:55:47
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