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2012.03.28
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カテゴリ: 読書
久しぶりに山田詠美を読みました。
「ジェントルマン」。


【送料無料】ジェントルマン

まずは帯を転記します。

ぼくの愛したその男、罪人(つみびと)ににつき。
非の打ちどころのない優しさを持つ青年、漱太郎。
紳士の顔に隠された、
道徳の汚れを垣間見たそのときから、
夢生は彼の"告解の奴隷"となった―。
哀切極まる衝撃の結末に、
あなたは耐えられるか。
圧倒的熱量で紡がれる
生と性の残酷さ、
ままならない恋の究極。


帯の裏面にはより詳しく書かれています。


その正体―紛うことなき、犯罪者。
誰もが羨む美貌と優しさを兼ね備えた青年・漱太郎。
その姿をどこか冷やかに見つめていた同級生の夢生だったが、
ある嵐の日、漱太郎の美しくも残酷な本性を目撃してしまう。
それは、紳士の姿に隠された、恐ろしき犯罪者の貌だった―。
その背徳にすっかり魅せられてしまった夢生は、
以来、漱太郎が犯す秘められた罪を知るただひとりの存在として、
彼を愛し守り抜くと誓うのだが……。
比類なき愛と哀しみに彩られた、驚愕のピカレスク長篇小説。


この帯に書かれた「背徳」「罪」という文字から、
私は 「仮面のロマネスク」 を連想して
買って読むことにしたのです。


ところが、読み終わった気分はどよーん。
なんという悲しくて救いのない話だったことよ。

ここからはネタばれ、かなりあると思いますので、
これから読もうとされている方は、ここで止まってくださいね。

改めてあらすじを紹介しますと…
主な登場人物は、偽りのジェントルマン:漱太郎と
彼の同級生でホモセクシャルの夢生、
同じく同級生の藤崎圭子。

出会いは高校のとき。
文句のつけようがない爽やかさで人気者の漱太郎を
夢生と圭子だけが うさんくさく思っていた。

ある意味他の生徒からは浮いた存在であり
ひそかに語らうことで友情を育てることになる。
しかし、ある嵐の夜に垣間見た漱太郎の本性に
夢生は激しく魅せられてしまう。
夢生の、漱太郎への想い、

そして漱太郎の裏の顔…
それを軸に物語が紡がれていく…。


文章の形態は、夢生の一人語りと
夢生の視点での地の文章の2パターンで構成されています。
冒頭は「ぼくの一番好きな写真は」から始まる夢生の語り。
その写真とはジョン・レノンとヨーコ・オノが写ったもので、
この小説のラストシーンに再び語られることになる
大事な一枚です。
私は残念ながら、その一枚をすぐに頭に思い浮かべることができませんが
写真をご存じの方は、より印象的にこの小説を読むことができるのではないかしら。

本の帯でも書かれている漱太郎の裏の顔とは
女性への性的暴行です。
そしてそれを知っていて、罪を共有することで
夢生は漱太郎との秘密の時間を持ち
彼への愛をはぐくんでいくわけで
このあたりは、なんとなく理解できる気がします。
(罪を肯定しているわけではない)

ただ、漱太郎の犯罪の根源が徐々に明らかになるにつれ
読んでいてどんどん息苦しくなってくるのがしんどかったです。
漱太郎によって人生を狂わされていく人々の
渦の中に自分も投げ込まれたかのようで。

私は、夢生の語りの部分を読んでいるうちに何となく
すでに漱太郎が亡くなった後に語っているか
もしくは夢生が自殺する前の語りかの、どちらかだと思っていました。
どちらかが死んでこの物語は終わるのだろうと。

実際、そうだったわけですが、そこに至るまでの道筋が
あまりにも激しくて悲しくて、気持ちがついていきませんでした。
特に漱太郎に妹がいたことが判明したあたりから…
本の帯に書いてある「哀切極まる衝撃の結末」って…
哀切なんて生易しいものではなかったですよ、私には。

それでも最後まで読めたのは、山田詠美の文章が
端正だから。
ゲイやレイプ、性的虐待(をにおわせていた)など
重苦しい問題ばかりを盛り込んであるのに
文章はウェットなところがないの。
しかも日本語として美しい。

芝居でいう小道具が効いているのも素晴らしい。

ラスト16行は、何回読みなおしても飽きることがなかったです。
グロテスクな情景なのに、それが美しく感じられる。
山田詠美ってすごいなぁ、と改めて好きになりました。

しかし、寂寞とした読後感は辛い。
桐野夏生「緑の毒」 も同じような犯罪を繰り返す男性の話でしたが
あちらはどこか笑って(シニカルにね)読めたのに
こちらは切なくて苦しかったですわ。

お勧め度は
★★★☆☆

きっと、犯罪部分を読むだけで受け入れられない人もいらっしゃるとおもうから
あまり積極的には勧められません。


黒川博行「悪果」 に続いてどよーんとした読後感。
次は爽やか系か、わっはっは系を読まないと
精神的にバランスが取れない!

【記憶のトゲ】
小説の内容に全く関係ないのですけれど
登場人物「藤崎圭子」っていう名前に覚えが…
池田理代子の漫画に同じ名前(もしくは似たような名前)が
出てきませんでしたか?
「ジェントルマン」の最後まで
圭子についてはそのビジュアルを思い浮かべながら
読んでしまいました。
肩までの長さの黒髪ストレートの和風美人です。
どうしてもタイトルが思い出せなくて
ネット検索もかけられずモヤッとしているのです。
どなたか覚えてらっしゃったら
是非教えてくださいまし。
下の名前は絶対に「圭子」だったと思うんです。
「おにいさまへ」かなぁ…。



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最終更新日  2012.03.28 10:31:26
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