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2013.07.19
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カテゴリ: 映画・舞台観劇
今日は京都 南座へ行ってまいりました。

201307191645_5219_iphone.jpg

演目は「東京物語」。
小津安二郎監督の名作 映画「東京物語」の舞台化です。
脚本演出は山田洋次。
演じるのは新派の皆さん。

201307191645_9970_iphone.jpg

私は新派を見るのは生まれて初めて。
もちろん、水谷八重子(いまだに水谷良重さんと言いそうになる)
波乃久里子のお名前くらいは存じておりましたが
生のお芝居は初めてで、ワクワクして出かけました。


お誘いいただきまして、
1階上手側の桟敷席6番という素晴らしいお席で拝見いたしました。

南座の桟敷席って、掘りごたつのように
脚を下せるようになっているうえ
テーブルまで付いていて
すごくお得感のあるお席でしたヨ。

映画の「東京物語」を私は見たことがありません。
でも、尾道から出て来た初老の夫婦が
久しぶりに東京に出てきて子どもたちを訪ねるものの
それぞれの生活で手いっぱいの子どもたちは
親と会えて喜ぶ半面

そんななか、戦死した二男の嫁だけが心をこめて尽くしてくれるのだった…
というような話であることは知っていました。
んー、映画を見ていないのにまるで見たかのような
気になってるのは何故だろう…
あ、思い出した!
浜村淳がラジオで話しているのを聞いた からだわ。

ってなことを思ううちに、南座の幕が開きました。

舞台上には長男夫婦と子供二人が住む家が創られています。
このお芝居、暗転はあるものの、舞台転換は一切なし。
したがって、二男の嫁(未亡人)の紀子が東京見物に連れて行ってくれたことや
老夫婦が熱海で過ごした様子などは、全てセリフで語られています。
でもそれが説明セリフっぽくないのはさすがでした。

新派の人の演技は「演じています」という感じがしません。
もしかしたら「東京物語」が、
何気ない日常を描いたものだからそう見えるのかもしれませんが
水谷八重子、波乃久里子両人は特に、
息をするのと同じくらい
自然にセリフをしゃべっている感じです。
舞台こそ、この人たちの家なんじゃないかと思うくらい。
すごいなぁ、すごいなぁと思いながら拝見しました。

それからお芝居を通して感銘を受けたのは
物語世界当時の(終戦後10年足らずの頃か?)日本人の
行儀作法などが、丁寧で美しいこと。
おそらく「東京家族」で描かれている家庭は
とびきりの上流階級ではないはず。
それなのに、畳に手をついてお辞儀をしてご挨拶…
その所作のなんて綺麗なことでしょう。
今そのままを真似したら
「なに?この大げさな人は!」と奇異に思われるかもしれませんが
心のどこかに忘れずに置いておきたい光景でした。

それから山田洋次氏は、映画とこの舞台とでは
細かく設定を変えているようです。
その一つが優しい未亡人 紀子の出身地。
石巻出身の紀子が故郷のことを語るシーンが
映画とは違っているそうです。
石巻は階段が多くて海が見えるところが
老夫婦が住んでいる「尾道と一緒だね」というのに対して
紀子が石巻の海を語るのです。
ここで私は東日本大震災の津波にのまれる石巻の映像を
思い出さずには居られませんでした。
どうやら山田洋次監督は意図してそうしているらしいです。
紀子のセリフを聞きながら、昭和30年代前半の日本に
今の日本を心の中で重ねる不思議な気持ちになるシーンになっていました。

「東京物語」、題材は古いのかもしれないけれど
世代が変わっても家族の関係などは全く変わっておらず
最後はジーンと涙がにじむ作品でした。


が!
一つとっても残念なことが。
ラストシーン、茶の間に一人残された紀子が
義父から手渡された亡き義母の形見の時計を眺めているところで幕…のところ
下手袖に波乃久里子の姿が見えちゃったんです。
多分、カーテンコールのためのスタンバイが
一瞬早かっただけのことだと思うのですが
袖のかなり深い位置まで見えてしまう桟敷席から丸見えで
ちょっと興ざめ…。
ベテラン波乃久里子が…イケマセンでしょう、これは。
昨日の毎日新聞、人名間違いに続いて今日も
心の中で「カーツ!(喝)」と言ってしまった私でした。


【おまけ】
ご一緒に観劇した方のお一人は
波乃久里子さんの表情、セリフ回し、所作に
今は亡き中村勘三郎さん(波乃久里子さんの弟)がほの見えて
それだけで泣けるとおっしゃっていました。
私は久里子さんのお顔がお父様である先代の勘三郎さんに
ますます似てこられたと思っていました。
いずれにせよ、中村屋のDNAは濃いということでしょうね。


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最終更新日  2013.07.19 20:35:46
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