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2014.09.13
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カテゴリ: 映画・舞台観劇
周防正行監督の最新作「舞妓はレディ」見てきました。

スポットCMを見て、これは楽しそうと思って行ったのですがねぇ、
ムムムムム…。

正直なところ、期待が大きすぎたせいで
ちょっと腹が立っています。

何に対してかは順次説明していきます。

結論から先に書くと、この映画、
一人の少女の成長物語、青春映画として見たら85点、
ミュージカルとして見たら15点か20点。


今日は感じたことを気兼ねなく
お世辞抜きでまっ正直に書きますヨ。

ですので、これからこの映画をご覧になりたい方は
ここから先は読まないでくださいまし。
先入観を植え付けてしまっては申し訳ありませんから。


さ、前置きはこのくらいにして映画について。

この映画、ストーリーは割とシンプル。

京都のシンボル的存在 舞妓さん。
京都には何箇所か花街が存在するが、その中の一つ
下八軒には現在舞妓は百春一人しかいない。
舞妓のなり手がないため、百春は芸妓にあがることもならず

百春の母が切り盛りしているお茶屋に、
一人の少女・春子がやってきた。
鹿児島弁と津軽弁のバイリンガルの春子は
「舞妓にしてください」と言うが
京言葉を話せない舞妓などあり得ず、

しかし言語学者・京野は「自分なら訛りを直し、京言葉を話せるようにできる」という。
かくして春子は京野に言葉を直してもらう一方で
舞妓の素養である作法や舞、鼓、三味線など芸事を習い始める。
春子は無事に舞妓になれるのか?!


映画のタイトルといい、言葉を治す言語学者と言い、
この映画は名作ミュージカル「マイ・フェア・レディ」を念頭に
作られています。

しかし「マイ・フェア・レディ」と根本的に違うのは
ミュージカルの命とも言うべき楽曲がいまイチ、いまニ、いまサンなこと。
ここがね、私の評価「20点」のおおもとなのです。

「マイ・フェア・レディ」であれば「踊り明かそう」「運が良けりゃ」など
ぱっと頭に思い浮かべただけでウキウキする曲があるでしょう?
「舞妓はレディ」でも登場人物がそれぞれの見せ場で歌う曲があるんだけど
どれもこれも状況説明の歌詞に適当にメロディをつけたような、
なんじゃそりゃ、という歌ばっかり。
特に頭を抱えそうになったのは、お茶屋の男衆・竹中直人が歌ったナンバーと
言語学者 京野・長谷川博己が歌った京都弁の勉強のナンバー。
(正確な歌のタイトルがわからない)
役者の歌唱力がどうと言っているわけじゃないんです、
歌そのものがミュージカル基準になってない、と言いたいんです。

「♪京都では雨はおもに盆地に降るんやろか~♪」は
『マイ・フェア・レディ』の
「スペインでは雨はおもに広野に降る」をもじっているんでしょ?
これが最初の1回目は微笑ましかったのだけど
何回も出てくると鼻に付いちゃって
「はいはい、もうよーくわかりましたから」と思ってしまい
自分でも「私とげとげしいワぁ、いじわるやわぁ」と若干自己嫌悪でした。

唯一聞けると思ったのはCMなどでも流れている「舞妓はレディ~♪」でした。

古くは「サウンド・オブ・ミュージック」や「マイ・フェア・レディ」、
最近では「オペラ座の怪人」「レ・ミゼラブル」など秀逸なミュージカル映画、
舞台でも「エリザベート」「ファントム」「ロミオとジュリエット」、
「アイーダ」「ライオン・キング」「ウィキッド」「美女と野獣」エトセトラ、
ファミリーミュージカルであっても、音楽の完成度が高いよ。

見渡せば、そういう水準の高い音楽がゴロゴロ転がっている現代で
この曲はないやろ、と、映画の内容より先に そういう不満が
私の中でフツフツと煮えたぎっておりました。

次に不満だったのが、踊り。
この映画、舞妓の修行のシーンや、
お座敷ではちゃんとした日本舞踊を踊りますが
それ以外の場面では振付が洋舞なのです。
普段宝塚歌劇で、独特な日舞(洋楽に合わせて日本舞踊を踊る)を見慣れているので
平気かと思ったけど、全然受け付けることができませんでした。
だってコスチュームだけ着物で、ダンスを踊るなんて意味がわからない。
これが素人さんが着物でダンスするんなら違和感はないかもしれません。
でもね、舞妓さんや芸妓さん(という設定)でしょ?
それが腰を振ったり
にょきっと手を挙げたり
(無造作に手を挙げるから たもとが肩のところまでずり落ちて
 二の腕まで丸出しの人多し。日舞の素養がある人とない人の差が激しい)
着物姿の美しさが台なしですワ。
特に、ラストシーン。
舞妓さんになった小春が喜びを全身で表現するダンスは最悪。
振付はパパイヤ鈴木らしいけど、舞妓姿(裾上げをした状態)で
両足をおっぴろげて(下品な表現ゴメンナサイ、でもそういう格好なの)
踊らせるて、なんですねん?!
なんちゃってではない、本物の舞妓さんのような
綺麗なお着物と帯を着せてもらっているのに
手を振り回し、ステップ踏みまくるから
たもとはめちゃくちゃに跳ね上がっているし、
裾もびらびらするしで見るに堪えませんでした。
振付単体で見たら良いのだろうけど、何度も言うけど
舞妓さんの立ち居振る舞いじゃないでしょ?そんなの。
映画の中でさんざん「舞妓や花街は京都の文化だ」と謳っておきながら
そんなふうに舞妓さん像を崩す踊りをさせるとは
どういう意味なのか周防監督に説明してほしいワ。
北野武監督の「座頭市」のみごとなエンディング
下駄タップの向こうを張ったつもりかなァ。
似て非なるものやと言いたいワ。

実はオープニングシーンで
舞妓さんたちが春子を取り囲んで踊るところで
すでに前兆があったのですけどね。


文句ばっかり言うてんと、良いところも言いますね。
まずは主役の上白石萌音ちゃんが可愛い。
歌もうまいし、けなげだし、
映画の中で周りのみんなが厳しくも温かく
春子ちゃんを育てるのがわかる人です。
存外に歌もうまいしね。
ただ、観終わった後
映画を見たと言うよりも
上白石萌音ちゃんの
壮大なプロモーションビデオを見たような気持になったのも事実…。


花街が舞台だけあって、衣装の帯や着物は目の保養です。

日本舞踊のおけいこ風景も懐かしかったです。
春子ちゃんが最初に稽古するのが長唄『菊づくし』。
私も日本舞踊を習ったとき、最初におけいこしたのが『菊づくし』だったんですよ。
だから「流派は違っても、やっぱりここからお稽古が始まるんだなァ」と
懐かしく思いました。
春子ちゃんがもうちょっと上達した時に習っていたのは
長唄『手習子』で、これも納得。
最終的にお座敷に出て踊っていたのは 清元『梅は咲いたか』。
日舞に関する部分はとてもリアルでした。


歌に関して、相対的に女優陣はおじょうずで
俳優さんたちはムムムと思う人が多かったかな。
そんな中で妻夫木聡が意外に歌がうまいと思いましたね。
(声が良いのかも)
それから、高嶋政宏!
アナタは何を歌ってもルキーニなんだな!
本当に、もうそろそろ勘弁してほしいものですよ。
↑違うところへの文句をここでぶち上げています。


ストーリーについては文句はありません。
良い話やなァと思いました。

岸部一徳の最後のセリフ
「本気の一生懸命こそが本物を作る。
 だから出身地がどこであれ、本気で頑張った春子は
 本物の舞妓さんや」
(うろ覚え。もうちょっと長いセリフでした)
というセリフが、この映画のキモなんでしょう。

そこには大いに共感します。

だから思うんですヨ。
この映画、無理にミュージカル仕立てにする必要があったのですか?と。
むしろ、周防監督の代表作「Shall We ダンス?」みたいに
普通に作ってもらった方が良かったんじゃないのかしら。

2007年に公開された『舞妓Haaaan!!!』くらい
ぶっ飛びはじける娯楽作であれば着物で腰振りもOKだったかもしれないけど
中途半端にミュージカル、本当はハートウォーミングな青春映画という
焦点が二つある映画になっちゃっている感じがします。

そういうことで、私はこの映画のことは
青春映画なら85点、
ミュージカルなら15点と採点しました。


今日は思い切り本音トークで、失礼しました。

【おまけ】
『舞妓Haaaan!!!』の感想はこちら↓
「舞妓Haaaan!!!」に真矢みき&蘭香レア



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最終更新日  2014.09.14 09:25:59
コメント(4) | コメントを書く


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Re:これから観る人読んじゃダメ…『舞妓はレディ』感想(本音炸裂)(09/13)  
通りすがり さん
まさに同意です。
言いたいことほとんど言ってくださっていて胸がスーッとしました。
有り難うございます。 (2018.03.02 11:07:02)

Re[1]:これから観る人読んじゃダメ…『舞妓はレディ』感想(本音炸裂)(09/13)  
茶々吉 さん
通りすがりさんへ

読んでくださった上に、共感してくださりありがとうございます!

しかし、我ながらバッサバッサと斬っていますね。
自分で作品を作るとなると大変なのに。
お恥ずかしいです。
(2018.03.02 15:24:23)

Re:これから観る人読んじゃダメ…『舞妓はレディ』感想(本音炸裂)(09/13)  
通りすがりB さん
「状況説明の歌詞に適当にメロディをつけた」
 ↑
まったく同じことを思いました!!!

AmazonプライムTVで「舞妓Haaaan !!!」を見た流れからのこちらの鑑賞だったので、歌と踊りのエンタメ部分の差がはっきり出ました。まさにあっちの焦点が一点に絞られたエンタメの勝ち!と思いました。♫一見さんはお断り〜の歌もキャッチーで良かったですしねw

ちなみに頭の方で妻、草刈民代のいいとこ見せたい踊らせたいという欲求も見えて苦笑。

2007年公開の「舞妓Haaaan !!!」から7年後の公開なので、パクって負けるような要素は取り入れず、いい話に特化すれば良かったのになあ、とつくづく思いました。
(2020.01.10 16:08:41)

Re[1]:これから観る人読んじゃダメ…『舞妓はレディ』感想(本音炸裂)(09/13)  
通りすがりBさんへ

茶々吉です。
嬉しいご意見ありがとうございます。
同好の士に出会えて嬉しいです。

特に下記ご意見は的を射ていると思いました。

>ちなみに頭の方で妻、草刈民代のいいとこ見せたい踊らせたいという欲求も見えて苦笑。

>2007年公開の「舞妓Haaaan !!!」から7年後の公開なので、パクって負けるような要素は取り入れず、>いい話に特化すれば良かったのになあ、とつくづく思いました。

「いいとこ見せたい、踊らせたい」
あまりにも鋭い上に語呂が良くて、笑ってしまいました。

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