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・2、19、水
親鸞の伝記の中で、自力ではなく他力に任せることが大事であるという考えが出て来る。
川に溺れる時、もし天からロープがするすると下りてくれば誰でも苦しさのあまりそれにすがり付く。
しかしこのすがり付くという行為が自力であるという。
溺れるがまま運命を仏に委ね、他力に身を任せる。
自分の運命はすべて仏がお決めになる、というのである。
確かに死に対する恐怖を取り去るという意味では、こういう考え方は必要かもしれない。
今と違い医学のない時代では、病気になればただ死を受け入れて行くしかないのだ。
兎に角仏教とは「必ず我が身に襲う死という恐怖を取り去る」という作業が原点であるようだ。

そしてやはり親鸞も、仏教をもっと生きた教えにしたいという強い思いにかられて布教活動に殉じたようだ。
もちろん人々は皆死に対して恐怖がある。
それは昔も今も同じであろう。
医学も、充分な栄養もない当時は毎日の生活に密着した問題であった。
若くても明日はどうなるか分からないのだから。
しかし死後に極楽浄土に行くことができることだけを夢見て念仏を唱え、仏教に希恵することは、現代の我々には何処か疑念が生じる。
それは一生下人として馬車馬のようにこき使われ、何の喜びも快楽もなく年を取り息絶える人生が決定されていたり、身を売るしか食べる手段のない女の人生というよう
なものが我々の周囲にないからかもしれない。
生まれ落ちたところによって、希望の根を摘み取られた人間がすがり付くことのできるもの、それは死後の極楽にしかないのだ。
仏教が地位の高い者たちの極楽行きの特権であったり、強要であったりしたところか
ら、教育を受けたこともなく、字の読めない貧しい庶民のところに下ろすことに初めて成功したのが法然であり、そういう仏教を親鸞や日蓮が受け継いだということになるのかもしれない。

宗教でも音楽でも芸術でも、煩悩に蠢く庶民の生活に浸透しなければ歴史の壁は越えられない、ということだろう。

ここで本当に言いたいことから横道にかなり反れた。
さて現代の我々にとって、仏教で言われる他力に意味があるか、ということだ。
「運命は自分の手で開くもの」とは僕も思えない。
ギリシャ悲劇では「われが運命を選ぶのではなく、運命がわれを選ぶ」としている。

現代の我々は何かを求め、何かを欲さねばならない。
しかしそれが今は難しくなっている。
なぜなら誰もが教育を受けられ、誰もが腹一杯食べ酒を飲むことが出来、労働基準法により休日が約束されているからかもしれない。
僕は常に欲したいと思う。
僕の自力が運命の意思であるために。
それを仏教では煩悩と呼ぶ。
そこで、あえて僕は僕自身の人生に大きな転換期を齎すことにする。  つづく





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最終更新日  2014.02.20 01:12:20
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