わんこでちゅ

7 ヤマダくんは石頭












俺は結論から話すが、みかちゃんはいつも、結論にたどりつくまでの話の前置きが異様に長い。おれはいつもだからなにが言いたいのと叫びたくなるときがある。ひどいときは、みかちゃんの話は途中で脱線してあらぬ方向にそれ、なにを話そうとしているか、話している当の本人でさえわからなくなっているときがある。ここが俺と決定的に違うんだよなぁ。

とおもっていたら

「ヤマダせ~んせい、なにぼーーーっとしてんですか?はやくしないと患者さんきちゃうよう!だいたい、コレクションってなんなのよう?男の人って、フィギュアとかくだらないおもちゃ集めたがるからなぁ、彼女にがき扱いでもされちゃったんですかぁ、、?」

毎度、なんかみかちゃんにこうやって説教みたいないわれ方するの、俺だいぶなれてきちゃったなぁ、、そこはかとなく悲しいなぁ。

「せ~んせい!」

「あっ、ああ、石のコレクションだよ。」

「石ですかぁ~、ロマンあっていいじゃないですかぁ。それのどこが気味わるいのぉ。」

「ただの石じゃないんだな。胆石だよ。」

「はぁ?胆石~~い~っ?」

「そうなんだ、胆石。犬ってさぁ、人間とちがってあんまり堅い胆石ってできないんだ。それも大きさも大きくても小豆くらいかなぁ。だから、堅くて大きいのにあたったときは、全部とってあるんだ。友達の先生にたのんで集めたのもあるよ。こう微妙に色とか形が違って、みてるとあきない、、。」

「せ~んせいにやにやしてるけど、それって研究の題材用ですよねぇ。間違っても楽しんで集めてるわけじゃないですよねぇ。」

「趣味であつめてるんだけど、、、」

みかちゃんは首をふりふり、だめだこりゃというような顔をした。

「胆石をコレクションなんて普通じゃないですよぅ。そんなだからふられちゃうんだよう。」

「ふられたんじゃない、こっちから俺の趣味を理解しない人間は願いさげだったんだ。」

「せ~んせい、わかってない~、、自分の趣味ややってることが、全部他の人にとって、いいってもんじゃないでしょう。胆石だけに、、」

俺はみかちゃんの言葉をさえぎって、反撃した。

「胆石だけに石頭なんて、ぜったいだじゃれいうなよっ!集めてるのは胆石だけじゃないからな。リリアちゃんからでてきたとてつもなく長い犬条虫とか、ジョーイ君の気管を塞いでたびー玉とか、カーク君の針とか、、」

言ってからしまったと思ったが、反撃になっていないか、、これでは胆石よりまずいよなぁ。

「カーク君の針って、ここでカーク君がでてくるんですかぁ。なんですその針って、、。ふぅ~」

みかちゃんはやれやれやっとカーク君に話近づいてきたと、ため息をついた。へんなちゃちゃをみかちゃんがいれるから、話がややこしくなるんだ。といいたかったが、俺はぐっとその言葉をのみこんだ。それをいったらまたもっとややこしくなるんだよ。










かけるカーク
疾走するカーク



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