わんこでちゅ

9 ヤマダくんパズルに挑戦













「うへぇ~カーク君って、仔犬のころから、色々すごいことやってんですねぇ!」

みかちゃんは感嘆の声をあげた。

「あれ?ヤマダせ~んせい、そういえばカーク君昨日きてましたよね。また何かやらかしたんですか?」

どうでもいいことにはよく気がつくくせに、こういうことは一日遅れできがつくのか?みかちゃん!

「公園でお花見やってる人のとこにいって、焼き鳥かっぱらって、串ごと2~3本たべちゃったらしい、、、。はぁ~やっかいなんだよな。針とちがってレントゲンにうつりづらいし、ひっかかりやすいし。普通だったら即手術というところな、、」

そのときだった。表のドアのあく音がした。

「先生!せんせいっっっっ!いらっしゃいませんかぁ?出ました。出ましたあーーーーっ。」

やってきたのはカーク君の飼い主だった。カーク君の飼い主が、受付のカウンターにあわてて新聞紙を広げると、ぷーーーんと異臭がたちこめた。

「いや~さすがカーク君、みごとひねりだしましたね。問題は全部出たかどうかです。残ってどこかにひっかかっていたら大変ですからね。」

俺はピンセットを用意すると、必死にこねくりまわし、カーク君の噛み砕いた竹串をパズルを組み立てるべく奮闘した。みかちゃんはあいもかわらず、余計なちゃちゃを入れる。

「せ~んせい、そこちょっと違いますよう!」

ちゃちゃだけでなく、手もだそうとするので、みかちゃんの手とおれの手がぶつかり、反動で手にカーク君のうん○をつけてしまった、、、。

「おっわーーーーっ、せ~んせい汚いっ!えんがちょ。」

今の今まで暇でしようがなかったのに、いつのまにか次々と患者さんがやってきていて、興味深げに、そして半ばあきれつつ、さらには異臭に顔をしかめつつ、ことの成り行きを見守っていた。竹串は一本なら、くみたてるのは簡単だが、複数となると、このパズルは難解だ。しかも、べっとりはりついたうん○をこそげおとしての作業なだけに、以外に時間を要した。

「でっできたぁ、全部ありますよう!しかも3本も。いや~本当によかったぁ!」

聖夜の奇跡は二度もおきたのである。やっとパズルが完成した達成感とこの奇跡のあまりの嬉しさに、俺はカーク君の飼い主の肩をぽんぽんとたたいた。普段なら若くてハンサムな俺がうっかり女性になれなれしくしようものなら、どんな誤解をまねくやもしれぬ、また変な期待を間違っても相手にもたせてはいけないと、くれぐれも注意しているのだが、、、、。うっかりしていた。ついカーク君の飼い主のからだに触れてしまった、、、。

「せんせい、、、、、、、、、」

カーク君の飼い主は肩におかれた俺の手をみて、とてつもなくいやそうに顔をしかめた。あれ?この人って男ぎらい、、、?とおもったら、飼い主の白のトレーナーの肩にカーク君のうん○がついていた。おれって馬鹿だ。そしてうぬぼれの強すぎる男だったのかな、、、。飼い主もみかちゃんも、他の患者さんも、みな津波がくる前の海のように、ひいていた、、、、。おれはさきほどカーク君のうん○をべったりつけてしまった自分の手を、じっと悲しい気分でみつめた。










二匹2


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