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2007年10月27日
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カテゴリ: 読書 小説
代表作の1つにあげられる、「模倣犯」から9年後、「模倣犯」で重要な役割を担ったライターの前畑滋子が主人公となる話。

しかし、その少年はすでにこの世にはおらず、母親が本当にその少年が超能力を持っていたのかどうかを知るために、調査を依頼する事から始まるこの物語。
「模倣犯」の続編という位置づけになるからというだけではなく、非常に宮部みゆき作品だなと強く感じ、同時に題材として針を振り切ってしまったものを手元に戻して再構築しようとしているのではないか?と感じるものとなりましたね。
1つ目は超能力という存在。
初期の頃の作品は超能力の存在が関わった現代物というものが結構ありました。しかし、「クロスファイア」という念力発火能力を使う女性の物語を書いてから、封印されていた感があります。
恐らく、超能力という題材を使うものとしては、かなり針が振り切れたものとして「クロスファイア」という作品があり、一度ふりきれてしまったからには、同じ土俵として現代物で超能力というのはためらいができてしまったのではないかと勝手に推測したり、何かのインタビューで答えていたような記憶もかすかながらあります。

そしてもう1つは「模倣犯」という作品そのもの。
「模倣犯」は連続誘拐殺人を扱ったものとしては、とにかく多くの登場人物のかかわりを、よくそこまで細かく書こうと思えたよなというくらい、ガッチリと構成されたものであり、多面的に扱えば扱うほど、大量の死者が出てしまった事件なだけに、非常に重たいものとなっていました。

恐らく多くのものを背負いすぎるほど背負ってしまった作品だったのからではないかと勝手に推測します。
その一端をこの「楽園」の主人公である前畑滋子が「模倣犯」で関わった事件を結局本に書かず、しばらくは何も書けない状況にまでなってしまったというところに重なる部分があるのではないかとすら思えるほどに。

「楽園」は「模倣犯」や「クロスファイア」ほど針が振り切れているような事件ではありません。
しかし、針が振り切れていないから、小粒で今ひとつという意味ではなく、丁寧な伏線と、それが収束していくさまは非常に丁寧ですし、また関わった人物達の動きもまた丁寧に描かれています。
また超能力を絡ませていますが、その少年はこの世のものではないために、超能力そのものがどうではなく、それによって得られたものは何であったのか?といった使われ方であり、現実ばなれした使い方ではありません(まぁ現実世界で超能力を信じろ!と言われても私は困惑しかできませんが)

続編という位置づけとしては「模倣犯」と比べると、大仕掛けではありません。
続編というものであれば、概ね前作よりもスケールアップをさせたがるものですが、むしろスケールをダウンさせる事によって、「模倣犯」で起きた事件の影響力の強さを強調している感すらあります。
ある意味、それこそが狙いであったのではないかと、振り切れた針を何とか制限範囲に再調整しようとしたのが、「楽園」という作品を通じてあらわしているのではないかと思ったりしています。






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最終更新日  2007年10月28日 00時24分02秒
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