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2008年01月19日
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副題には、「Aiが拓く新しい医療」となっています。
海堂尊はこのブログでも、「 螺鈿迷宮 」や「 ブラックペアン1988 」「 ジェネラル・ルージュの凱旋 」と感想的なものを書いてきているのですが、現役の医師であり、現在の医療制度の問題点を啓蒙する目的を込めて医療現場を舞台とした小説を書いている作家です。
小説を読んでいると、多くの問題点が重要な役割を占めてくるので、読んだだけでも現在の医療の問題が、素人にも理解した気分になれる(本当に理解力のある人であれば理解した気分だけではなく、理解もできているでしょうが)ある意味お得な医療エンターテイメントとして高く評価できると思います。

そういった、医療現場の問題点を小説の中にちりばめたのではなく、そのものを扱ったのが本書となっています。
タイトルにあるように現在の日本医療は、死因が不明のまま事を終わらせるようなシステムになっています。それは、死亡後の解剖率がわずか2%という低すぎる数値でもよしとしてきている部分があり、また、功利主義的にもスルーしようとしている部分であるからだと。
このまま、こういった状況を放置し続けると、多くの問題が怒涛のようにおっかぶさってくる事は明白であると。

これにより、事件が闇に葬られたり(児童虐待であるとか、相撲取り虐待であるとか)また、冤罪も引き起こす事につながると。また医療現場において、原因を追っていかない事によって、医療技術の停滞であるとか、医療ミスの看過であるとか、また逆に医療ミスであったとなった時にミスではなく、病状が本当に急変して助けようがなかったと証明する事ができなくなると悪影響が枚挙に暇がないと。

そういった、現在の医療の問題点を一気に快方に導くものとして期待されるのが、Aiつまり アレン・アイバーソン 死亡時画像病理診断であると。
解剖が2%しか行われていない裏側には、解剖にかかる時間的金銭的コストがかかるということと、遺族側の死体を切られるのが心情的に受け入れられないという2つの柱があると(国が解剖を義務付けていないとか、解剖に関する予算を回そうとしないとかいう理由も大きくありますが)それが、解剖する前にCTやMRIで画像診断する事により、とりたてて解剖する必要性のないものは解剖しない、不審な点がある場合は、その不審なポイントが最初に分かっているために解剖する場合やりやすい、または画像だけでも本当の死因が分かりやすいと、ある意味いい事づくめであると。

しかしながら、まだこういった概念は普及していないし、一生懸命阻止しようとする厚生労働省の官僚組織があると。
理由として金にならないという非常に分かりやすいものが存在すると。

しかし、このままほっとくと、日本の全ての面で安全が失われるだけであるので、知らなかったですまして、官僚のいいなりになるのではなく、訴えるべき事は訴えていかないことには困りますよと言う本ですね。

で、この本の構成ですが、基本的にはいわゆる普通の書き方をされているものと、「 チーム・バチスタの栄光 」のシリーズでおなじみのロジカル・モンスター白鳥に「 螺鈿迷宮 」で登場する新聞記者の別宮がインタビューする形式のものとがあり、医療関係のものを知らない人間にも分かり易くなっています。
難しい事が分からない人であっても、ある意味白鳥のインタビューだけでも面白いと感じるので、一読の価値はあるでしょう。というか、本当は官僚にでも読んでもらって、真面目に取り組んでもらうのがいいんでしょうけどもね(苦笑)

死因不明社会





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最終更新日  2008年01月19日 17時18分59秒
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