地下室で手記

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2008年04月02日
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カテゴリ: 読書 小説
実際に流行っているのかどうかはよく知りませんが、とりあえず流行っている事になっているらしいのが、光文社の古典新訳文庫があります。
古典を新訳にする、といっても、極端に意訳をしてみたり無理矢理今風に翻訳しなおすと言う事ではなく、適度に言葉遣いをより現代文なものとするコンセプトとしてやっているものですね。
翻訳ものというのは、ある意味翻訳の仕方でイメージがかなり変わるとかいう以前に、いかにもな翻訳ものといえる文体というのがあり、それがなかなかなじまないと読んでいて厳しく感じる事は何度も経験している事といえます。
そういう意味では、翻訳された時代が変われば同じ文章であっても読みやすさが変わると言う事でしょうね。ですので、目新しさに引かれて古典に手を出す人が増えているのだとか・・・・本当かどうかは知りませんけどもね。

というわけで、「地下室の手記」ですが、今更ながら当ブログタイトルの元ネタです。
私はすでに新潮文庫の江川卓訳(どうでもいい事ですが、何度翻訳者の名前を見ても、ロシア文学にか係わる名前というよりは、どこかの変な球団に入るために、ドラフト後にいろいろとちょろまかそうとして、野球そのもの以外のイメージを強烈に残す結果になった人が頭をよぎって困るのですが)を何度も読み返したくらい好きな小説であり、私の人生を変えた小説と言っても過言ではないくらいですね。小説に影響されて今では地下室にこもって、こうやって手記を垂れ流す事をしているくらいですから。

で、当然の事ですがストーリーは新訳になっても変わりません。
二部構成になっていて一部は地下室で40年引きこもりになっている主人公が、ひたすら推すなった理由を述べ、19世紀末の知識人であるならば、こうするしかないだろ!と手を変え品を変えひたすら吐き出し続ける。

二部は引きこもる前若かりしころ小役人をやっていたころの回想であり、引きこもる決意となった事柄をいろいろとあげつらっています。



で、新訳としての印象ですが、まずは訳そのものよりも改行が増えた事によって、読んでいて楽に薦める感じが強まった事と、新潮文庫版と比べて文字が大きくなったので疲れないというのが大きいでしょうか。
そして、印象が一気に変わったのが、一人称が「ぼく」から「俺」に変更になったことですね。
俺という一人称に変わったことにより、攻撃性が増した感じがしますし、主人公の印象も気弱で鬱々としている感じから、同じ感情であっても鬱々よりもイライラという、ちょっとでも刺激すれば爆発するのではないかという感じになっています。
個人的には、自分が使う人称としては「ぼく」というのは使うのがあまり好きではないので、本来であれば、まだ使う事が多い「俺」の方が肩入れしやすそうなはずなのですが、どうも「俺」だと粗暴な感じが強まってしまって、引きこもりとしてはたくましすぎたのではないかとさえ思えたりも。
もちろん、虚勢を張っているという考え方もできるんですけども。
あとは、あまりにも前のバージョンを読みすぎていてイメージが強くなっているということもありますけども。

ただ、仮に今まで読んだ事がない人には新訳のほうが読みやすく感じるだろうと思いましたので、古典に興味がありながら、改行がなく小さい字でみっちりと書いてある本を手に取ったらば相当勇気を出さないと読む気になれないでしょうから、そういう意味でハードルを下げるにはいい事だと思えますね。
仮に興味がある人には新訳の方が薦めやすいなとは思いますね。





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最終更新日  2008年04月02日 21時26分06秒
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