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2008年05月19日
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98年にノーベル経済学賞を受賞した経済学者の著書です。
インドの経済学者ということで、存在も知っていましたし、雑誌に寄稿されたものを目にした事はあったのですが、きちんと1冊にまとまっているものを読むのははじめての事になります。
貧困問題で有名な学者さんであるという事は知っていたんですけども、なんとなく世界の貧困問題を気に留めなかったというか、国内の貧困問題の事などの方が気になったりとかもあったからなんですけども。

本書はタイトルにある人間の安全保障という問題、つまり人が心底安心して暮らせるようにするにはどうしたらばいいのか、という事を中心に現在の諸問題について書かれた物です。
特に、人間の安全保障では、国の安全保障として安全保障の持つ意味の中でも特に軍備関係ばかりクローズアップさせる政治形態は大いに警鐘を与えています。そういう意味で、安全保障という概念を軍備にばかり目を向けさせたがる人と、安全保障は軍事行動ばかり直結させて、否定的なことばかりを言い募り、本質からずれまくっているとしか思えないこの国の状況を考えると、この概念はきちんと一般に流布させないと、偏った意見しかでなくなるなと思えてきます。

扱われている内容は

◎安全が脅かされる時代に
◎人間の安全保障と基礎教育
◎人間の安全保障、人間的発展、人権

◎民主化が西洋化と同じではない理由
◎インドと核爆弾
◎人権を定義づける理論
◎持続可能な発展 未来世代のために

となっています。
グローバル化、民主化が西洋化ではないという分析が非常に面白く、ある意味この章だけでもいいから読んでみて欲しいとすら思えるものです。
グローバル化自体は、恩恵が沢山あるものとして捕らえていますし、それが全て西洋化を指す事ではないということを、近代以前東洋から西洋に伝わった技術をあげて、その恩恵によって今の西洋も成り立っていると言う事を認識しておく重要性を説いていますし。
民主化した社会というものが、西洋の独自性の下でなりたったものではなく、それぞれの地域で民主化の下地になるものは培われていた歴史を無視する事の危険性をあげています。
民主化は単純に普通選挙をするという意味ではなく、自由な意見交換が可能であり、検閲をガッチリしていない事でこそ成り立つというもの。
西洋以外で、自由な意見交換という例の中に十七条の憲法が出てきたのには驚きを覚えたりしました。
単純に日本の古代史も日本以外でも知っている人がいるんだなという事でですね。


経済学というのは基本的に欧米で発展してきたものであり、海外の経済学者の書いたものを読もうとするとなかなか欧米以外のものに目を触れる機会がないので、インドという東洋の経済学者というだけでも、楽しく読めるものですが、出身がどことか関係なく、この本は専門書ではなく、短くて読みやすいのですが、一般書としては十分すぎるほど中身の濃いものですので、一読の価値はあるのではないかと思います。経済学云々といっても、別に専門用語が飛び交うわけでもなんでもないので。

人間の安全保障





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最終更新日  2009年05月17日 11時31分30秒
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