だーれんの中国帰国日記~ちゃいなりぃ~

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アジアカップの開幕式は、貴州の友達の家で見た。


だが、北京に戻り、日本の友人と食事をしていたところ、「今日また日本戦の生中継がなくなった」と聞いた。あわせて、それは中国政府による反日姿勢の現れだという見方を聞いたが、私はそうではないとすぐに思った。西安の寸劇事件に象徴的なように、一部の過激な反日行動に対して、政府は警戒心を強めている。それはメディア政策にも見て取れる。

正直、私はサッカーに対しての関心はあまり高くなかったので、他の多くの方がいろいろなところで書いていらっしゃるなかで、私が書くことの意味を感じていなかった。

だが、日中が決勝に勝ち進んだことで、今後の日中関係を考える上で、無視できない問題となった。

ただ、西安の事件の時にもそうだったが、テレビの中の世界と、北京の自分の周りの世界がまるで違うため、より現場に近いところにいながら、その解釈には戸惑うところがある。

私は出来るだけ幅広い層の中国人と率直に話がしたいと思っている。元々、嘘がへたくそなので、タクシーの運転手と話すときなども、何人だと聞かれれば、日本人だと答える。今日も日本戦を前にして、仕事で、タクシーで、マッサージで、少なくとも3人の中国人とサッカーの話題を交わした。が、過度な反日の感情を見て取ることはできなかった。

ただ、ひとつ。クラスの掲示板に同級生の女の子が、一言「バーレーン」と書き、涙マークを二つ書き添えていた。夏休み中の今、クラスメートとの接触はあまりないので反応が掴みきれないが、このコメントを報道内容に沿った解釈で深読みすることは出来る。

私はクラスのなかで、中国人学生のなかにだいぶ入り込んでいて、西安事件や靖国参拝の時などには自ら、この話題について自分の考えを述べた上で、クラスメートの意見を募った。だが、彼らは公の場では、そういう意見交換をあまり好まない。その後、掲示板に書き込まれたのは、私の真摯な姿勢に対する評価だけだった(私のクラスの学生は卒業後、中国のメディアでエリートとして働くジャーナリストの卵である。彼らのこの態度に私としてはがっかりだったが、個人的にもっと深く付き合えばまた違う反応があることも知っている)。



私は中国に来る前、愛国心が強いと思ったことはなかったけれど、むしろ中国に来てからは、「日本人」を意識している。きっと、これは中国に限らず、在外日本人に共通して言えることだろうと思う。

そして、中国に魅せられて仕事を辞めて中国にやって来た私ではあるが、私に今後出来ること(あるいは為すべきこと)は、日本人として、いかに日本を良い国(その定義は難しいけれど)にしていくかということなのだと思う。日本という基本軸なくして中国を語っても仕方ない。

戦争問題に関して、戦後世代である我々とは関係のないことだという考え方があるが、私はそうは思わない。責任問題は別にして、「俺とは関係のない話だから、そのことには一切触れてくれるな」、という姿勢はおかしいと思う。日本人として日本を愛するのであれば、負の遺産をも一挙に背負い、その上で未来を語るべきだと思う。

日本でもよく報道されているように、中国では「反日」を利用した愛国教育が行われてきたことも事実だし、我々から見て不当と思われることも多い。日本の悪ばかりに目がいき、ODAを始めとした経済貢献や、日本の心有る人の行動がほとんど報道されず、知られていないことも事実だ。今回のサッカーに関して言えば、スポーツと政治を混同した礼儀のない立ち振る舞いは非難されて当然である。

だが、私は一人の日本人として、この反日行動を単に中国政府の陰謀だとか、教育が悪いという見方だけで片付けるべきではないと思う。

つい先日も、中国の東北部の河原で遊んでいた子供たちが、日本軍の遺棄した化学兵器に触って、手足や腿に潰瘍の症状をきたす事故が起きたことをどれほどの日本人が知っているだろうか?(*1)戦争を知らない若い日本人にとっては過去のことでも、ここ中国ではその過去をまだひきずっているのである。

間もなく来る原爆記念日を前に、今も原爆の後遺症に悩む被害者の話などは多く報道されるはずだ。日本は戦争被害について誰よりもよく知っているはずなのである。ならば隣の国の被害者の思いにもう少し想像力を働かせてもよいのではないか。私自身、中国に来る前にはさほどそんなことは思わなかったので、自省を多いに込めてそう思う。

小泉首相がいう「スポーツは友好の祭典ですから、温かく日本の選手も外国の選手も迎えていただきたい」という言葉はその通りだし、中国政府も同意するだろうと思う。

だが、靖国参拝を始めとして、被害者の感情を踏みにじった行動を繰り返し、そのことに対して「分かってくれるはず」と説明責任を果たさないでおいて、ここぞとばかりに中国の教育を批判するのは、どこか違うと思うのである。

....以上、書くつもりのないことまで、勢いで書きました。が、まだ自分自身に考え尽くせていない点も多くあります。間違っている点などご指摘いただければ幸いです。また、決勝戦のある7日は本当は上海方面に行く予定でしたが、せっかくの機会なので、北京に残り会場に足を運んでみようと思います。

*1 吉林省敦化市で7月下旬に発生した毒ガス事故について、外務省は3日、現地に派遣した調査団による調査の結果、旧日本軍が遺棄した化学兵器による事故だったことを明らかにした。 外務省のプレスリリース





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最終更新日  2004年08月04日 13時02分38秒
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