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2020.09.17
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テーマ: 今日の香り(373)
カテゴリ: 香り
今日、シャネルのカウンター前を通り過ぎたら、
ふとある香水が目にとまりました。

Allure(アリュール)

大好きな友人が30代前半の頃に使っていたものです。

香調はフローラル・フレッシュ・オリエンタルノート。
彼女自身のように、複雑で繊細な大人の香り。

思わず試香させてもらうと、懐かしさと同時に胸の痛みを感じます。

彼女とはもう何年も連絡が途絶えたままになっているのです。






彼女に出会ったのは、私がまだ中学生の時のことでした。


裕福な家庭に育ち、中学受験も経験していた彼女は、
成績が飛び抜けてよく、最初、少し近寄りがたい感じがしました。

実際、親しくなってみると、彼女は
同じ歳とは思えぬほど大人びていて、
色々なことをちゃんとわかっている人でした。

当時、私は古い体質の残る中学校になじめず、
時々仮病を使って早退したり、年に数回は本当に
高熱を出して休んだりしていました。

そうやって学校をサボり、ひたすら家で本を読んでいると、
また学校に行く気力がわいてくるのです。

ある時、そんな打ち明け話をすると、彼女は


この一言で、私がどんなに救われたことか。
私だって学校をサボるのが悪いことくらいわかっていました。
でも、時々どうしても一人で充電する必要があった。
彼女は私がそんなタイプであることを見抜いていたのです。

いまでも、疲れてどうにもならないような時は



================================

その後も私たちのつきあいは長く続きました。

人間関係に悩んだ時、仕事がうまく行かない時、
いつでも彼女は一番の相談相手でした。

でも、振り返ってみると、私たちの関係はアンバランスでした。
私はどこかで、聡明な彼女は悩むことなどないと思い込み、
その胸のうちにあるものを思いやることができなかったのです。

彼女の家庭に事情があることは中学生の頃から知っていました。

折に触れて、そのことが話題にあがりました。

きっと彼女はずっと話を聞いて欲しかったのだと思います。

それなのに、私は、浅はかにも、たいしたことじゃないよ、
と軽く受け止めることで、彼女を励ましているつもりだったのです。

いえ、本当は、大人だと思っていた彼女の中に、
傷ついた小さな女の子がいるのを知るのが怖かったのかもしれません。

今ならよくわかります。
私はただ黙って、彼女の話を聞くべきでした。
彼女の言葉が尽きるまで、耳を傾けてあげるべきでした。








香水をつけてもらった手首からは半日たった今も
優しいバニラと微かなバラの香りがします。

思い出の中にあるほど複雑で難しい香りに
思えないのは私が年を重ねたせいでしょうか。


いつか勇気を出して、彼女にこんな気持ちを
伝えることができたらといつも思っています。




最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。

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最終更新日  2020.09.19 00:36:50
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