chun36jet project~夢稽郭(むけいかく)~
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アイリスオーヤマ製の業務用シュレッダーに子供が指を挟まれて切断した、という痛ましい事件が起こったのは多くの方がご存じだと思います。この件を受けて、私も意見を書いておこうと思いました。「誰が悪い」かは、私には興味がありません。ただ、エンジニアの立場からすれば、アイリスオーヤマ社ばかり糾弾するのは止めて欲しいと思うのです。確かに、業務用シュレッダーが幼児の指を巻き込むことはまさに「想定外」の出来事だったと言えましょう。ただ、もしも子供の指を切断したのが「電動丸のこ」だったり「チェーンソー」だったりしたら、皆さんはどう考えたでしょうか。そんな危ない物を、子供の手の届く所に置いていたのが悪い、もしくは、そんな危ないものがある部屋(例えば工作室)に、子供を連れ込んだのが悪い、という話になるのではないでしょうか。結局、今回の事故の原因は、消費者とメーカ双方の無知であり、それらの相乗効果により、もたらされた悲劇だと思うのです。消費者は業務用シュレッダーを、鉛筆か何かと同じ文房具だと勘違いしておりました。メーカは業務用シュレッダーを、プロのみが使う道具だと勘違いしておりました。# 極端な喩えです。本当は、そうは思っていなかったと思いますが、それと同等の勘違いを犯していた、と解釈して頂ければ幸いです。どっちが悪いかと言われれば、双方悪いのです。消費者は、業務用シュレッダーをなめて使ってはいけないのです。業務用シュレッダーは、同時裁断数をアップする代わりに、紙受け入れ部の幅が広くなっているのです。そんなことは見れば分かるのですから、使用者側が気を付けるしかありません。逆に、そんなことも見て分からないような消費者は、業務用シュレッダーになど手を出すべきではありません。冷たい言い方ですが、それが、業務用機器です。(私見を多く含みます)そういう意味でのメーカ側の責任としては、「対象とする客層」だけはもっとしっかり明示しておく必要があったと思うのです。つまり「子供は対象外です」と。今回は「対象外」ではなく「想定外」だったことが、問題をややこしくしていますね.....PCパーツで言えば、「玄人志向」ブランドを見習うべきだったのでしょう。最初から「初心者お断り」と明示しておくことで、冗長な説明書を作ることを避けて人件費を抑える代わりに、高スペックなパーツを低価格で提供することに成功しているのです。そういう意味で、アイリスオーヤマ社の、製品を自主回収して対策を施すというアクションは、本当は不要なのではないか、という考え方もあると思うのです。玄人志向なのであればむしろ、その費用を「紙の裁断性能アップ」など、シュレッダー本体の性能アップを図るという手もあるわけです。一般家庭に置きたいというニーズがあるのであれば、無償回収ではなく、有償で「保護用アタッチメント」でも付ければ良いのです。本来、想定外の使用環境なのですから、追加料金がかかって当然です。逆に、今回の件を受けて、全てのシュレッダーに、安全装置が付くのならそれはそれで良いのですが、紙の裁断能力が落ちたり、無駄に価格が上がったりするのは歓迎できません。そんな機能を求めている人ばかりではないからです。(無論、コストを抑えながら安全になる分には構わないのですが....)顧客の要求に応えるのは企業の義務ですが、100%の顧客に応えるのは事実上、不可能です。無尽蔵にコストをかけた機械の販売価格が無尽蔵に上がるのは自明ですし、そんなものを消費者が買うとは思えません。結局、「どこまではサポートし、どこからは切るか」を、もっとちゃんと明示すべきだったというのが、今回の事故の教訓だったと言えましょう。無論、指を失ったお子様や、そのご家族には心より同情致します。今後、このようなことが無いようにしたい、という考えは同じだと思います。ただ、専門分野は違えど、エンジニアの端くれとして、「消費者側が考えるのを放棄してメーカに責任を押しつける前に、消費者側もメーカ側も、もっと勉強しましょう。できることとできないことは、自分の頭で考えてしっかり理解しましょう」と申し上げたいだけなのです。駄文散文、申し訳ありません。皆様のご意見をお聞かせ下さい。m(__)m
2006年08月23日
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