全3件 (3件中 1-3件目)
1
一橋大学准教授の清水洋氏は著書「ジェネラル・パーパス・テクノロジーのイノベーション」の中でこう問いかける。半導体レーザーで繰り広げられた熾烈な開発競争において,スピンアウトの有無がその結果に大きく作用したという氏の主張は,膨大な時間を掛けて行なわれた聞き取り調査によって裏付けられていく。その数は国内外の半導体レーザーの研究者を中心に延べ178人を数える。そこから見えてきたのは,時に僅かな差が勝敗を決した研究者たちのドラマでもある。本書は半導体レーザー開発の過程において日米で起きていた舞台裏を,技術的背景も含めて丁寧に解き明かしている。経営学のテキストとしてはもちろん,新たなイノベーションの指針として,また開発史の読み物としても貴重な一冊である。今回は著者の清水氏に,本書を通じて訴えたかったこと,また日本の現状と将来に描くべきヒントを聞いた。(www.rakulaser.com)
2018.02.28
コメント(0)

豊橋技術科学大学,分子科学研究所,米アイオワ州立大学らは,共同で磁場と光の相互作用である磁気光学効果を発現する膜を用いた,集積化可能なQスイッチレーザーのピークパワーを1キロワットまで高めた。さらに,従来不可能と考えられてきたランダム偏光(無偏光)の光に対しても磁気を使ったQスイッチが有効であることを示した。高出力かつ小型で丈夫なレーザーは,自動車の衝突防止センサーや,医療機器,機械加工,レーザー点火などで使われ,その活躍の場は現在急激に広がっている。今回,研究グループは,最近開発に成功した迷路状の磁気ドメインをもつ透明磁性材料を用いた薄膜Qスイッチレーザーの高出力化に成功した。このレーザーのピークパワーは,1.1キロワットに達した。この値は,同手法を用いた従来報告されていたパワーよりも1桁大きい。レーザーを形作る共振器(キャビティー)を,他の制御可能なQスイッチ素子では達成が難しい10mmまで縮めることで,パルス幅を短くした。同グループは,これまでも,磁気光学効果を使ったQスイッチレーザーを報告しているが,出力光の偏光状態は,直線偏光に限られていた。今回の研究で初めて,同構成のレーザーにより,ランダム偏光(無偏光)の出力光も得られることが明らかになり,これにより扱える光の状態が大幅に広がった。さらに今回の研究結果は,ガーネット構造をもつレーザー結晶と,同じくガーネット構造をもつ透明磁性膜の組合せで実証された。これにより従来よりも,レーザー結晶と透明磁性膜の融合が遥かに容易になり,集積化の可能性を大きく高めた。今後,レーザー結晶とQスイッチ膜の一体化が進めば,素子1つあたりの価格が大幅に安くなることが期待されるとしている。 (www.civillasers.com)
2018.02.24
コメント(0)

大阪大学,仏エコールポリテクニーク,独欧州XFEL,露応用物理学研究所,米サンディア国立研究所,仏原子力・代替エネルギー庁の国際共同研究グループは,超高強度レーザーによるイオン加速において,加速電場の励起時に非常に強い自己生成磁場が発生し,磁場がイオン加速に影響を与えることを明らかにした。今回,強磁場発生のメカニズムを理論的に明らかにするとともに,10万テスラ級磁場の兆候を実験で捉えることに世界で初めて成功した。この成果は将来医療応用等が期待される100メガ電子ボルトを超えるエネルギーを持つイオン源の開発に向けて,必要なレーザー条件に対して指針を与えるもの。高強度レーザーを厚さ数ミクロンという極薄金属板に照射すると,金属板に付着する不純物の中に存在するプロトン(水素イオン)が,他のイオンよりも優位に加速され飛び出す。これはプロトンの電荷と質量の比が,他のイオン種よりも大きいためであり,このような加速をレーザー駆動イオン加速と言う。現在,プロトンのエネルギーは数10メガ電子ボルトを安定的に達成している。癌治療などの医療応用や非破壊検査といった応用に利用できるとされる100メガ電子ボルトのエネルギーに,あと少しで到達できるとされ世界各国で活発に研究が行なわれている。しかしながら,レーザーのエネルギーを上げても,プロトンのエネルギーが50メガ電子ボルト程度で飽和してしまい,その理由がわからず研究は足踏み状態にあった。今回の研究成果は「なぜレーザー加速によるプロトンエネルギーが飽和してしまうのか?」という疑問に答えを出すとともに,今後のレーザー駆動イオン加速の効率を上げるための重要な知見を提供し,100メガ電子ボルト以上のプロトンエネルギーを達成するための指針を与えるもの。この研究の成果により,レーザー照射中に成長する強磁場の影響を抑えることで,加速長を伸ばすことができ,結果としてイオンのエネルギーを大幅に改善できる可能性が示された。レーザー駆動イオン加速の一層の発展が期待される。さらに,強磁場発生のメカニズムと10万テスラという強磁場で磁化した高エネルギープラズマ中の物理は,宇宙プラズマとの関連性からも興味深く,強磁場中の原子過程など宇宙プラズマの素過程を調べることにも貢献するとしている。 (www.rakulaser.com)
2018.02.06
コメント(0)
全3件 (3件中 1-3件目)
1


![]()