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2009/01/12
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カテゴリ: カテゴリ未分類






ルームシェア、あるいはルームメイト。

なんと魅力的な響きでしょう。

見ず知らずの間柄からスタートして、徐々に友情を育んでいくんです。

ビバ青春ってなもんですよ、ええ、まちがいなく。



僕が思い描くのは、20歳をちょっとこえたぐらいの男性です。

成人しているとはいえ、まだまだ大人になりきれない若者。

彼の名前は山本ケイ。


ケイは外国の大学に留学中の21歳。

故郷から遠く離れた異国の地で、その国の言葉を学んでいます。

その大学の寮に住みキャンパスライフをおくるケイですが、

引っ込み思案な性格も手伝ってなかなか友人が出来ません。

寮では地元の学生たちが毎日楽しそうに遊び、学び、

そして恋をして、短い学生生活を楽しんでいます。

そんななか、ケイはいつもひとり。

僕もみんなの輪に入りたい・・・

そう思うケイですが、彼らの言葉もほとんど分からないため、

ますます孤独になっていくのでした。


そんなケイにも、大学構内にひとつだけ好きな場所がありました。

それは図書館。

日本語で書かれた蔵書もあり、孤独な心をなごませてくれます。


その日もケイは図書館のいつもの席に座っています。

手には地元のニュースペーパー。

なにげなく記事に目を落としていたケイの目が、

ひとつの広告に吸い寄せられたのです。



『ルームメイト募集  矢吹アキラ』


寮でも馴染めず、心落ち着く場所といえば図書館しかないケイ。


"これしかない"


おなじ異国の地で暮らすおなじ日本人のアキラという名の青年。



なんせおなじ言葉を話し、おなじ文化を背景に育ってきた者同士。

きっとアキラだって同じように孤独を抱えているに違いない。


気がつくと、ケイは席を立ち、電話に向かっていました。

広告に記載されていた番号をプッシュするケイ。

彼にとって、これは大冒険に値するほどの行動だったはずです。

でもケイは不思議と落ち着いて電話をかけることができた。

まだ見ぬルームメイトの姿を思い描き、また新たな生活に思いを馳せ、

この地に来てはじめて心の安らぎを得た気分だった。



コール音に続いて耳に飛び込んできたのは意外な声だった。


"もしもし?"


明らかに若くはない女性の声が飛び込んできたのだ。

しかも、この土地の言葉で。


思ってもみない展開に動揺が隠せないケイ。

なぜ?どうして?

パニックになりながらも、新聞の広告を見て電話をした旨を伝える。

短期間ながらも、この地で学んだ言葉が初めて役に立った瞬間だった。

どもりながらも話を聞くうちに、ようやく事情が飲み込めてきた。

アキラは時折アルバイトに出ているため、広告に記載していた番号は

大家さんの電話番号だったというわけだ。

つまり、いま電話の向こうにいる彼女こそがその部屋の大家さん。


ようやく事情を飲み込んで落ち着いたケイ。

幸いにもルームメイトの募集にはまだケイ以外に希望者がいないという。

アキラも流れていく時間とともに重くのしかかってくる家賃を嘆いており、

希望者がいたらOKしていいと言われているとのこと。

大家さんもケイの素朴な言葉に好感を持ってくれたようだ。


無論、ケイに異論があるわけもない。

むしろアルバイトに精を出すアキラの負担を早く軽くしてやりたいと思う。

すぐに自分の簡単なプロフィールを大家さんに伝えた。



山本ケイ 21歳 ○○大学3年に在籍中 趣味は読書


大家さんにメモしてもらったケイのプロフィール。

これを見てアキラがOKしてくれれば、すぐにでも引っ越しだ。


ケイの寮にある電話は共用になっているため、

アキラの返事を聞いたら大家さんが電報を打ってくれるという。

そして翌日、アキラから快諾の電報が届いたのだった。




その週末。

いよいよ新しい生活への旅立ちだ。

スーツケースひとつを手に寮を出たケイ。

気分はまだ見ぬ新大陸に向かう航海者だ。

あの電話から3日しか経っていないとは思えないな・・・

もしあの電話をかけていなかったら、もしあの広告を目にしていなかったら、

僕はずっと孤独を抱えて生きていたに違いない。

それだけでも、きっかけを与えてくれたアキラには感謝したい。

一緒に暮らし始めたら、トイレ掃除は僕がすすんで引き受けてやろう。


まだ見ぬルームメイトではあったけれど、ケイは楽しい毎日を予感していた。

それにしても、今回の決断はケイにとっては一大事だ。

もともと何をするにも慎重なケイが、見たこともない他人と一緒に住むというのだから。

最初は驚いていた日本の両親も、最後には苦笑いして許してくれた。

ケイは自分の決断を認めてくれた両親にも感謝していた。

なにかに、あるいは誰かに感謝の気持ちを抱くとき、人は自然と優しくなれるものだ。



そんなことを考えながら歩くうちに、目指す住所が見えてきた。

ははは、あっという間に着いちゃったな。

まさか僕の気分と一緒に、足取りまで軽くなっていたのかな。

さて、どうしよう、約束の時間よりちょっと早いけど・・・


アキラの待つ部屋はアパートメントの3階だった。

下から見上げると、小さいけれどベランダもついているようだ。

太陽がまぶしい・・・

ケイの目には、その光はまるで自分の新しい生活の輝きを予感しているように思え、

気がつくと駆け出していた。


トントン

部屋のドアをノックするケイ。

さすがに緊張で手が汗ばんでいる。

なにせ、まだ会ったこともない相手なのだ。

しかもこれからは、ともに生活をする相手。



あれっおかしいなあ。

ドアの向こうはとても静かで、返事はない。

まだ約束の時間にはちょっと早いし、どこかに出かけたのかな?

と、ノブに手を触れると、ドアはあっけなく内側に開いた。

なんだ、開いてるのか。

それならすぐに戻ってくるかな。

これから自分も一緒に暮らす部屋だという気安さも手伝って、

ケイは扉の中に踏み出した。




キャー!

響きわたる悲鳴。

えっ、なに?なんで?

まったく事態が飲み込めないケイ。


ケイが部屋に足を踏み入れると同時に、

ちょうど玄関から続く廊下に面したドアが開いたのだ。

よける間もなく、バスタオル1枚の女の子がケイの目の前にいた。

これがケイとアキラが初めて顔をあわせた瞬間だった。



ケイとアキラ。

どちらも性別に関係なくつけられる名前だ。

ケイはアキラを男だと思い込み、アキラはケイを女の子だと思い込んだ。

それだけのことだった。



とにかく服を着たアキラと向き合うケイ。

まったく目をあわせようとしないアキラ。

さきに口を開いたのはアキラだった。



"ねえ、悪いんだけどあたしもケイさんのこと女の子だと思ってたし、

ルームシェアの話はなかったことにしてもらえないかな。。。"




"それは困るよ!だって僕、もう寮出てきちゃったし・・・"



当然といえば当然だが、ケイは寮を出ていたのだ。

そして、今日の午後からは順番待ちになっていた別の誰かの部屋になる。

郊外にあるこの大学には、入寮希望者が後を絶たないのだ。



"そんなこと言われたって・・・"



黙り込むふたり。

ここはもともとアキラが借りていた部屋だ。

もしどうしても出て行けといわれたら、ケイは住むところを失ってしまう。

ケイは困り果て、うなだれていた。



"もう、そんな顔しないでよ"


"いや、でも・・・"





"もう・・・わかったわ。

あたしも実は部屋代キツイんだ。"





"じゃあ・・・!"




"よろしく。あたし矢吹アキラ。"



"あっ、ええと、こちらこそよろしく、ぼくはここむ"






と。

こんなルームシェアリングがしてみたいんですよ僕は。

当然アキラちゃんはすげえかわいいんですよ、ええ、そりゃもう。

釈由美子をもっとかわいくした感じって言えば分かるかな。

彼女はね、近所のカフェでアルバイトしながら絵とか書いてるんです。

絵の勉強をしてるんです。

そのカフェの制服がすばらしくて、やたらメイドさんチックなんですよ。

僕はもう毎日通っちゃいますよね、カフェに。

最初はね、矢吹さんとか呼んでるんですよ、もちろん。

でもね、だんだん仲良くなって、矢吹さんがアキラちゃんになって、

そしてある夜を境に

"アキラ" "ケイ"

なんて呼び合うようになるんですよ、確実に、着実に。

・・・え?絵はどうなったかって?んなもん知るかボケェ。


クソッ、おれもう34歳なのに本気で留学したくなってきた!


お分かりいただけたでしょうか。

僕がいかに、ルームシェアに憧れているか。


つうか、単にメイド服の似合う女の子と仲良くなりたいだけじゃん。


ここむ







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Last updated  2009/01/12 09:30:39 AM
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