真実一路

真実一路

テニスコートの怪



そのテニスコートは江戸時代に罪人の処刑場があったと伝わる場所で、当時生徒間でも幽霊が出るとのウワサがよく流れていました。
私が見たのはまさに体育の授業中のことで、テニスコートのサイドの塀(塀の向こうは住宅)に男の人が一人ただヌッと立っているのでした。
普通に洋服を着ていて、当時の感覚では年齢25歳~30歳くらいでしょうか。ホラー映画やドラマに出てくる怖いものではなく、普通の人でした。
でも不自然なんですよ。
確かにその男の人はそこにいるのに、その前のコートで練習している同級生は誰も男の人を気にしないんですね。授業には関係ない他人だし、第一どこかから歩いて来たのではなく、パッとそこに現れた感じなんです。それに、担任の教師だって男の人に気づいてない様子で、授業中無断でコートに入ってきた男の人に注意することもなかったんですよ。私にだけ見えたんですかね。

当時はまだ“ドッペルゲンガー”なんて知らなかったので、「アレ、幽霊だったのかな」とずっと記憶に残ってきたのですが、今は誰かの二重身ではなかったかと思っています。というのも、その後も私は他者のドッペルゲンガー?を見ており、また私自身の二重身も他者に見られているからです。
それが本当はなんなのか?一般に言われる霊(魂)というものなのか?
確かなことはわかりません。

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