そんななか、朝日新聞が4月24日付で「電通・NHK、「パナマ文書」で風評被害 似た名が記載」なるタイトルの記事を出した。内容は、〈ネット上で「企業名が文書に載っている」「租税回避しているのではないか」などと根拠もなしに書き込まれる風評被害が相次いでいる〉として、広告業界最大手の電通とNHKが〈被害に遭っている〉とするものだ。 記事によれば、「パナマ文書」のなかに「DENTSU SECURITIES INC」(イギリス領バージン諸島)や「NHK GLOBAL INC」(パナマ)という両社と類似した名称の会社が見つかった。これについて朝日が電通広報に問い合わせたところ、「徹底的に調査したが、当社の関連会社には存在しない」と説明。NHK広報も同様に「NHK及び関連団体と関係はない」と否定したという。 だが、NHKや電通に持ち上がっている疑惑は、はたして、本当に朝日が書くように「風評被害」なのだろうか? 疑惑が向けられた 当事者に「そんな関連会社は存在しない」と否定されただけで、「風評被害」と断定するのは、ちょっと追及が甘すぎるのではないか
。 とくに、電通に関して言えば、ICIJがパナマ文書とは別に、2013年に発表したタックスヘイブンに関する調査報道では、類似ではなく、本物の電通本社や実在するファンドの名前が挙がっていた。 このICIJの調査報道は「オフショアリークス」と呼ばれるもの。オフショア(offshore)とは、金融用語で外国人(外国企業)を租税優遇している国や地域を指す。ICIJはこの「オフショアリークス」で、タックスヘイブンに存在する法人や役員・株主らの名前、住所を公開、データベース化したのだが、HP上にあるそのデータを検索すると、「DENTSU INC」という文字が出てくる。 この「DENTSU INC」というのは電通の英語表記とまったく同じ、また、そこに記載されている「1-8-1 Higashi-shinbashi Minato-Ku, Tokyo 105-7001 JAPAN」という住所も 電通の東京本社の所在地と完全に一致
する。 しかも、検証を進めていくと、「DENTSU INC」がどうタックスヘイブンに関わっていたのか、具体的な動きも浮かび上がってきた。 この「オフショアリークス」には「SUHOM MOBILE INFORMATION CO., LIMITED」なる有限会社がリストアップされている。データでは"Offshore Entity"、つまり、タックスヘイブン区域の会社と表記されており、実際、この会社名をGoogleで検索すると、タックスヘイブンとして有名なイギリス領ケイマン諸島を所在地と表記している企業認可証らしき画像データも出てくる。 これだけでも、租税回避行為のためのダミー会社のにおいがプンプンするが、この「SUHOM MOBILE」という会社の"Director"の項目に、なんと「DENTSU INC」に所属し、同社を登録住所にしている人物の名前が記載されていたのだ。 この人物の名前は、N・M(データ上は実名)。電通に該当する人物がいないかチェックしてみると、電通が運営するウェブサイト「電通報」に、「北京電通 デジタルビジネス部 中国全国統括マネージャー」という肩書きをもつ同姓同名の人物が存在していた。 さらに、電通は、このタックスヘイブンに設立された「SUHOM MOBILE」社に、ファンドを通じて出資までしていた。「SUHOM MOBILE」社のデータにある"Shareholder"(株主)という項目には、「Dentsu Asia Fund I, L.P.」なる、「電通」の名称が冠せられたファンドが出てくるのだ。そして、この「Dentsu Asia Fund I, L.P.」の所在地も、やはりケイマン諸島だった。