「海外の大会で、『君が代』が始まると、席を立つ観客が多い」 という、Y編集委員の署名記事が載った。その記事なら私も覚えている。川村さんは「あれって、本当かよ」とY編集委員に聞いた。海外でのスポーツ大会はテレビでよく見るのに、そんなシーンは見たことがなかったからだ。時評は、こう続く。
「すると、こういう答えが返ってきた。 『ウソですよ。だけど、今の社内の空気を考えたら、ああいうふうに書いておく方がいいんですよ』 。あまりのことに、言葉を失った」
1988年、朝日が宮沢喜一蔵相にも未公開株が渡っていたと特報した。
当時、私は「週刊朝日」編集部にいた(川村さんは副編集長の一人)。同僚が蔵相の緊急会見を取材し、誌面にねじこんだ。私は「それにしてもよく数えたな」と、同僚である後輩をねぎらった。会見で何を訊かれても、 宮沢氏は「ノーコメント」で通し、その数13度に及んだと記事にあった からだ。
彼は頭を掻いて照れた。 「ウソに決まってんじゃないすか。死刑台の段数ですよ」「エッ、13回はウソ! 実際は?」「7、8回ですかねぇ」 。鳥肌が立ちそうだった。
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