クックの部屋

クックの部屋

山口富士夫




私を過去の呪縛から目覚めさせてくれた、最高の人。
米兵の父と日本人の母の間で生まれた本物のハーフ、戦争孤児。
父親は行方不明で施設にて育つ。
この人のギターとボーカルは物凄い。理論など吹き飛ばしてしまう。
GSのダイナマイツのギターとしてデビュー
最初は伝説のロックバンド「村八分」のギタリストとして知った。
この村八分は当時レコードが手に入らなかった。
中古レコード店でも1万円ぐらいしたと思う。

初めて聴いたのは、大学1年生の時。
関西ブルース界のウエストロードブルースバンド・憂歌団・上田正樹らに憧れていた私は大阪の大学に入学し、軽音楽部に入った。
だが、当時関西はブルースブームなどとっくに終わっていて、へビィメタル花盛り。
ボウイやブルーハーツなども人気があった。
初めての新入部員の顔合わせの時にムチャクチャに弾きまくるギタリストやボウイを歌うボーカリストを見てがっかりした。
博多で聞いていた音楽を全然知らなかったのだ、ここの人たちは。
博多の高校生でここの音楽が最高と思っていたが、大阪に行けばもっとブルースを追求している人たちが多いものと勘違いしていたのだ。
だが一人だけドス黒いギターを弾く男がいた。
その男は博多ロックの大ファンでルースターズの解散ライブを東京まで見にいったという富山の人。
決して上手くはないが、存在感のあるギターだった。
いっしょにバンドをやろうと言われたが断った。
プロを目指すという。
べースで入ってくれと言われたが、自信がなかったしバイトの方が面白かった。
途中で学校に来なくなり、行方不明になった。
元気かなあ、もう一度会いたいよ。

この男から借りたのが、「ひまつぶし」というソロアルバム。
ロックの名盤だと思う。
その後再発された「村八分ライブ」をCDで買った。
印象は?私の個人的な意見だが、サンハウスの方がスゴイと思った。
でもサンハウスも確実に村八分の影響を受けていたし、だいぶパクッている。
まあ私はサンハウスを先に聴いたし博多の人間だから。

当時山口富士夫は新しいバンドを組んだ。
ティアドロップスという名前で。
もちろんレコードを買った。
メジャーレーベルで出した第一弾アルバム「らくガキ」は最高だぞ。
スゴイパワーが炸裂している。怒っているのだ。怒りのパワーが炸裂している。
この人もクスリで何度か捕まっている。
この前も長い間刑務所に入っていた。
でもそんなことは関係ない。
クスリなんかしなくても富士夫さんは富士夫さんだ。
中島らもの「心が雨漏りする日には」で富士夫さんの復活を知った。
中島らもは躁鬱病で元アル中、その後クスリで捕まった。
復活してくれよ、必ず。

浪人中に富士夫さんの言葉を本で見て感動して震え、泣いた。
「コンプレックスというのは、自分が優位に立ちたいヤツから植えつけられるものなんだぜ」
俺に言ってくれているのかと思った。
その後、ローリングストーンズの初来日東京公演で初めて富士夫さんを見た。
思ったより背が低かったが、オーラみたいなのが出ていたような気がする。
その時は見ただけだったが、ストーンズを見るより嬉しかった。
それ以来、一回も見ていないしコンサートにも行ったことがないが、今度会ったら必ず伝えたい。
あなたのおかげで救われましたと。
私もあなたの後を追いかけていきたいと。
いつか共演したいなあ。
させてよ神様!




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