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前編では、ウォルター・ラッセルという人物が、画家・彫刻家・建築家・音楽家として一流の実績を残しながら、49歳のときに突然「宇宙的覚醒」を経験し、独自の宇宙論を打ち立てるに至った経緯をお話ししました。
後編では、その宇宙論の中身と、そしてこの人物を語る上で欠かせない、あの伝説のエピソードに踏み込んでいきます。
「ラッセル宇宙論」とは何なのか
ラッセルが1926年に発表した『The Universal One』は、簡単に言うと「宇宙のすべては、リズムを持ったエネルギーの均衡運動によって成り立っている」という思想を軸にした一冊です。
彼の考え方の中心にあるのは、次のようなイメージです。
・宇宙は「膨張」と「収縮」を繰り返す、呼吸のようなリズムでできている
・あらゆる物質・エネルギーは「均衡(バランス)」と「両極性(ポラリティ)」という普遍法則に従っている
・光こそがすべての現象の根源であり、宇宙は本質的に「意識(マインド)」に根ざした存在である
学術的に検証されたモデルではありませんし、専門の物理学者からは懐疑的に見られてきた面も大いにあります。
その点はフラットにお伝えしておきたいところです。
ただ、それを差し引いても興味深いのは、ラッセルが元素の周期表について独自に図表化を行い、当時まだ発見されていなかった元素の存在を予見していたとされる点です。
専門教育を受けていない人物が、なぜそこまで踏み込んだ発想にたどり着けたのか。
ここに、多くの人がロマンを感じる理由があるのだと思います。
ニコラ・テスラが語ったという「1000年封印」の逸話
さて、本題です。
このラッセルの理論に触れた人物の中に、あの交流電流の発明で知られる天才発明家、ニコラ・テスラがいました。
伝えられているところによると、ラッセルは自身の理論を当時の著名な科学者500人ほどに送りましたが、ほとんどが「相手にする価値なし」として無視したそうです。
そんな中、唯一まともに反応したのがテスラだったと言われています。
テスラはラッセルの理論に触れたあと、このような趣旨のことを語ったと伝えられています。
「あなたの知識は、人類にとってあまりに時代を先取りしすぎている。これを守る唯一の方法は、書き記して図にし、それを霊廟に封印して、1000年後に開封するよう指示を残すことだ」
つまり「今の人類には早すぎる。理解できる時代が来るまで封印すべきだ」というわけです。
これが本当だとしたら、なんともロマンあふれる話ですよね。
ただし、ここは正直にお伝えしておきたいのですが、このエピソードの一次的な出どころは、テスラ本人の記録ではなく、主にラッセルの妻ローラ・ラッセルが後年に書いた著書とされています。
テスラとラッセルが実際にどこまで、どのようなやり取りをしたのかを裏付ける独立した資料は、現時点では見当たっていません。
つまり「事実として確定した記録」というより「語り継がれてきた逸話」として捉えるのが誠実な向き合い方だと思います。
とはいえ、この逸話が100年近くにわたって語り継がれ、今なお多くの人の興味を惹きつけているという事実そのものが、ラッセルという人物の持つ不思議な魅力を物語っているのではないでしょうか。
結局、ラッセルは何がすごかったのか
ここまで前編・後編を通してお話ししてきましたが、改めて整理すると、ラッセルのすごさは、こういうことだと思います。
・芸術の複数分野で、独学に近い形でプロレベルに到達したこと
・正式な科学教育がないにもかかわらず、独自の宇宙論を体系立てて構築したこと
・そしてその理論が、当代随一の天才発明家の目に留まり、伝説的なエピソードとして語り継がれるほどのインパクトを持っていたこと
科学的に正しいかどうかという議論は、専門家の間でも意見が分かれるところです。
でも「一人の人間が、これだけ多方面で規格外の才能を発揮した」という事実だけは、揺るぎなくすごいことだと思うんです。
正解かどうかわからないものに、正解かどうかわからないまま全力で向き合い続けた人生。ラッセルの生き方そのものが、一つの作品だったのかもしれませんね。
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