2015.11.27
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テーマ: 本日の1冊(3808)
カテゴリ: カテゴリ未分類
小説はほぼ読まない、あるいは読む忍耐力がない、僕なのですが、Améli Nothomb(アメリー・ノートン)の「Stupeur et tremblements(英Fear and trembling、畏れ慄いて)」という小品を古本屋のオーナーから勧めらまして、短い作品でもあるし、(渋々)読んでみました。この小説を元にしたフランス映画(2003年)があるのですが、日本では公開されてないようですね。日本人にとっては眉をしかめたくなる内容なので非公開なのでしょうか。 今のところユーチューブでちゃんと見れます、但しフランス語版で英語字幕です(最初の2分ほどは音声が出ません)。 舞台は日本で、アメリーの内面吐露以外は殆ど日本語の会話ですので、これで十分です。

実は作者のアメリーは日本に住んでいたこともあるそうで、その時の実体験を作品にしたとか。しかし、僕にはこんなことが大手商社の中であるのか信じられない気持ちです。アメリーが一年契約で務めた大手商社は実際には三井商事らしいですが、そこで直接の上司である女性社員から苛められ、その上司である男性からはどうでもいいような仕事を押し付けられ、その上司の部長級の人間は人を怒鳴り散らす不可解な人間、苛めを受けることになった原因は、別の部の課長クラスの人間から頼まれた本国ベルギーに関する資料作成をしっかりとこなしてしまったことで、会社組織のハイアラーキーを無視すると嫌われるのは分かるにしても、ここまでの苛めがほんとに行われていたのでしょうか。アメリーは最後の数ヶ月はトイレ掃除をさせられていたというのです。

本の詳しい内容は、幾人かの日本語のブログがあります、中でも、 <エスカルゴの国から>と題されたブログ は参考になります。

英語版ウィキペディアに拠れば、アメリーが生まれたのは1966年、ベルギーのEtterbeek(彼女自身は神戸生まれだと言っています)。彼女の父親はベルギーの外交官で、日本を含めて諸外国に駐在(中国、アメリカ、バングラディッシュ、タイなど)、アメリーは2歳から5歳まで日本で日本人の乳母に育てられています。その時に日本の文化に非常に惹かれたようです。父が日本大使になったのが1988年で、アメリーも同年に日本に戻り、三井商事に一年間務めたようです。

父親がベルギーの駐日大使である女性を大手の商事会社が一年間引き受けたわけですが、その女性に対するいじめを見過ごすようなことをするんでしょうか。どうしてもここのところが信じられません。会社はアメリーを雇いたくて雇ったわけではなく、どう使っていいわからなくて困っていたのははっきりしています(無駄なコピーをさせたりしている)、ということは何らかのコネか圧力ででアメリーを短期間働かせることになったのだろう、と推測するのが自然だと思います。するとその紹介者の顔をつぶすような苛めの横行を無視するでしょうか?

小説の後半で、アメリーが16歳の時に見た大島渚の映画「戦場のメリークリスマス」のことを思い出し、デイビッド・ボウイと坂本龍一の関係を自分と苛め主のフブキになぞらえます。ボウイ演じる捕虜の英軍将校が坂本演じる日本軍将校に嬲り殺されることに、自分とフブキの関係に見立てているのです。アメリー、あるいはこの作品の主人公の、心理的特徴がこの時表白されます。「ああやって(ハンサムな坂本に生き埋めにされて)死ぬことって、自分の愛の美しい表現だ」と。ここで明らかなのは、アメリーはこのフブキの美しさに惹かれていて、その人に苛め殺されることに陶酔を感じている、ということです。このちょっと前に出てくる、彼女の幼い頃に抱いた殉教者への憧れに通じるものです。この作品が全て事実かどうかわかりませんが、アメリーの心の傾向として苛められることに対する美的憧れがあることは間違いないでしょう。それを日本文化への憧憬と重ねてしまったのは残念なことですが。





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最終更新日  2015.11.27 07:51:52コメント(0) | コメントを書く


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