わたしは価値を創る

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January 14, 2012
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カテゴリ: 書籍の紹介

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■とにかく面白い。むちゃくちゃ面白い。

今まで書かれたことのなかった孫正義伝です。

■著者はノンフィクションライターの佐野眞一。

孫正義について書いた本としては、異色のものとなっています。赤面するような提灯本でもないし、下品なこきおろし本でもない。

著者は「孫正義につきまとういかがわしさの正体を突き止めたい」という思いでこの本を書き始めたのだと記しています。

この独自のスタンスが、この本をこれまでの孫正義本とは一味も二味も違うものとしています。

■ただし、著者は、孫正義のビジネス面での実績や構想については、関心がないことを隠そうとはしません。殆ど他人事です。

この本で執念をもって書かれているのは、孫正義の出自について。在日韓国人3世としての生い立ちとそのルーツについてです。

ビジネス本ではタブーのように扱ってきた事柄について、これほど赤裸々に書いた本はなかったでしょう。



■冒頭、豚の糞尿にまみれた朝鮮部落での少年時代の逸話を読んだら、もう途中で本を置くことはできません。

豚の子に自分の乳を吸わせていた祖母。密造酒の製造販売で小金をためて街金から九州1のパチンコ屋チェーンを作り上げたもののバブル崩壊で破産した父。男尊女卑の家庭で台所でしか食事させてもらえなかった母。炭鉱事故でピンク色になって死んだ叔父。韓国で孫正義の帰郷を待ち望む孫一族。

「血と骨」という小説も霞むほど、マジックリアリズムのような強烈なエピソードが次から次へと現出します。

特に父親である三憲の怪物的な肖像が凄まじい。最初は息子を思う好々爺のような登場をするが、徐々に激情型の性質を顕にして著者にも牙を剥きます。著者はそのインタビューや感情的なFAX文書をそのまま載せています。

■著者は、誤解や虚偽、矛盾やに満ちた一族の証言やエピソードをそのまま掲載し、孫正義という人物につきまとう複雑さ、いかがわしさ、巨大さを立体的に浮かび上がらせます。

しかし、なんといっても、こうした文章を書かれてもまるで動じず「先生の取材力はすごいですね。勉強になりました」とにこやかに言ってのける孫正義自身が、想像を超えた途方もない巨人であると感じさせるのです。

注文をつけるとすると、もう少し、孫正義の内面に直接切り込むようなアプローチが欲しかったと思います。例えば、なぜそこまで日本人であることにこだわるのか。過去を振り返ろうとしないのか。。。著者の推測に止まらず、本人にストレートにぶつける場面を読みたかった。

まあ、そのあたりは続編に期待しましょう。

それでも、孫正義に対するこういうアプローチもあるとは恐れ入りました。





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Last updated  January 14, 2012 10:42:56 PM
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