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2009.07.29
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カテゴリ: 洋画(か行)

原題: GELIEBTE CLARA/CLARA

監督・脚本 : ヘルマ・サンダース=ブラームス

出演 : マルティナ・ゲデック 、 パスカル・グレゴリー 、 マリック・ジディ


鑑賞劇場 : CINECITTA


公式サイトはこちら。



<Story>



名作曲家として名高いクララの夫、ロベルト・シューマン(パスカル・グレゴリー)と、無名の天才作曲家であるヨハネス・ブラームス(マリック・ジディ)。

ヨハネスはその才気と奔放な性格でたちまちシューマン一家に気に入られ、デュッセルドルフで共に暮らすことになった。
この奇妙な同居生活の中で、クララ、ロベルト、ヨハネスの心は激しく揺れ動くのだった…。


クララ・シューマン 愛の協奏曲 - goo 映画
クララ・シューマン 愛の協奏曲 - goo 映画





<感想>

何よりも、マルティナ・ゲデック主演ということで、公開を心待ちにしておりました。
彼女は、 『善き人のためのソナタ』 でファンになってしまいましたので。
シューマンとブラームスの縁というのは、あまりにも有名な話なので、クララを彼女がどう演じるかというのも大変興味ありました。


ロベルト・シューマンが世に出ることができて、さらに後世に作品を残すことができたのは、クララの功績なくしてはあり得ないというのが一般的な見方です。

彼の作品を世に紹介したのは、クララの演奏だったわけです。
この映画の冒頭、この2人の夫婦が実に対照的であることを示すシーンがあるのですが、内に引きこもって他人とのコミュニケーションが苦手な夫のロベルトと、新しいもの、変化を柔軟に取り入れていく妻のクララという図式がまずわかります。

オーケストラに音楽監督がつくという演奏形式は、19世紀に存在していた訳で、今の形態に近いものがある。
自分で作曲をして上流階級の中で演奏をして、という、宮廷スタイルからはもう脱却しているので、音楽は音楽として独立して商業ベースになる。だから、旧態依然の方法から抜け出せない作曲家は時代に取り残され、代わりに「音楽屋」が台頭してくる。
セルフプロデュースが得意な人が世に出るという時代に移行していく中、ロベルトの性格はとても損をするもの。
それを補ったのが妻のクララの演奏です。
クララは、単に彼の作品を世に紹介するだけのためにではなく、同時に生活を賭けて紹介しているんですね。
ロベルトの仕事がなければ暮らしは苦しくなる。
クララ自身がツアーに出るためには、子守と料理人を雇わないといけない。
だからロベルトに稼いでもらわないといけない。
一体、何人子どもがいる? と調べたら、クララは生涯で8人も子を生んでるんですね。

それを対外的に出さずに、優雅にふるまっていくのも、なかなかできないことだし。





クララ・シューマン






結局クララは、「妻、母」という女性の部分と、芸術家の部分を共存させないとやっていけなかった。
そこを、マルティナ・ゲデック、うまく演じていたと思いました。
まだまだ女性の地位が低かった当時、彼女は、ピアノの腕は評価されたとしても、対外的には「ロベルトの妻」でなくてはならなかった。 でもそれでは一家が路頭に迷う。
頭の固い、下品なオーケストラの男たちに、実力を認めてもらわないといけなかった。

女性らしい艶やかさと、社会人としての凛々しさを同時に持ち合わせて振舞った指揮の場面、最高にカッコよかった。
喜びを爆発させたくなる気持ちもわかります。
マルティナ・ゲデックも実際にピアノ指導を受けたようで、演奏の場面は(音は恐らくプロの演奏が使われていると思うんですが)彼女がピアノを弾いています。 場面だけでも本当にシューマンやブラームスの曲を弾いているのはすごいことです。
ここまでの渾身の演技が観れるとは思わなかった。


シューマン夫妻とブラームスとの関係もまた、この映画では非常に重要なポイントとなってきます。
クララを絶対的に愛し、信頼しつつも、曲作りのプレッシャーと時代の流れに取り残される不安に苛まれるロベルト。
そしてこれまたクララに魅せられてしまい、自分を捧げ、陰日向にシューマン家と生涯関わっていくブラームス。
この2人の男性に支えられ、それぞれの魅力を糧に、クララは生きていったように思えてなりません。
クララにとっては、ロベルトの才能がまずありきで、そこが彼女のすべての行動の原点となっている。 ブラームスはブラームスで、彼の才能や人間的な魅力は知らずのうちにクララを虜にしていっている。 どちらがどうと言えない関係。 定義ができないのでしょう。
ロベルトにとっては、ブラームスは自分の元に降ってきた天才であり後継者であり。 だがクララの心がブラームスに行ってしまうのではという猜疑心も生むことになり、結果的に彼の死病の遠因ともなってしまう。 だけど夫妻にとってブラームスは必要な人間で、ブラームスにとっても夫妻、ことにクララとは運命的な出会いだった。 
もうこのあたりのお互いの感覚的なことはきっと、芸術家でないとわからない境地なのかもしれません。 芸術を生み出すには、常識や生命、世俗などというものをはるかに凌駕しないといけない瞬間がある。 そして、それに必要な人物には出会うべくして出会う。 それにいいも悪いもない。 全ては必然だったし、運命なのだから。


与えられた運命に大きく逆らうこともなく、抗うこともなく、クララは自分の持てる才能を、その時々で存分に生かした。 その表情は、マルティナ・ゲデックが演じることによって、クララのイメージに、円熟さと女性らしさを付け加えることに成功したように思う。 
劇中で演奏される音楽の美しさも十分に堪能できる。 ブラームスの子孫である監督の所以でもあるのだろう。





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今日の評価 : ★★★★☆

















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Last updated  2009.07.31 07:50:25
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