幸せなれ のぽのぽ人生
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自閉症や発達障害があるお子さん達ってなかなか学校や子ども会などのクリスマス会って参加しにくいですよね。そこでうちの会では自閉症の子どもたちのためのクリスマス会を昨年末に開催しました。準備や内容が何かの役に立つといいなと思うのでその時の様子をご紹介します★(勿論素人集団の私達が作るものですから 専門的でなくて恥ずかしい内容ですけど・・・)(1)スケジュール子ども会などのクリスマス会の場合当日どのような内容で行うのか、どれぐらいの時間がかかるのかはあまり明確に設定されていません。そこがそもそも自閉症の子どもたちの不安を募らせます。ガチガチに決めすぎる必要はありませんがある程度見通しが持てる形で示すことが大切だと思います。今回私が提示したのはこのような形。13時~ 受付開始13時30分~ 開会挨拶13時40分~ コンサート14時15分~ トイレ休憩14時30分~ じゃんけん汽車ポッポ14時45分~ ケーキ15時15分~ ビンゴ 写真撮影15時45分~ 閉会挨拶・解散これは保護者向けに配布したスケジュールです。子どもの為の提示方法は、一人一人違います。文章で分かる子、絵や写真をつけると分かる子、実物提示が必要な子など様々です。事前に配布することにより保護者にその準備をお願いすることができまた、保護者自身も当日どのような内容で開催があるのかを見越すことができます。なお、子どもによっては「その時間ぴったりに始まらないこと」で混乱したり怒ってしまうケースもあるので受付や開会式など、はっきり決まっている時間以外は本人には「大体これぐらい」という少し曖昧な設定にすることもすすめました。(2)事前聞き取り今回のクリスマス会はボランティアさんをつけない形で開催しました。ですので、細かいサポートブックのようなものは必要なかったのですがそれでも当日の注意事項を聞き取るためのアンケートをしました。簡単な内容ですがこのようなもの。。。Q1 初めての場所では混乱しますか?Q2 ケーキの種類の希望は以下のうちどれですか?Q3 順番を守ることができますか?Q4 ケーキを食べる時に使う食器について、希望がありますか? Q5 「いただきます」「ごちそうさま」の挨拶が待てますか?Q6 大きい音・音楽などは平気ですか?(演奏&BGMなど)Q7 空き時間はある程度過ごせますか?Q8 トイレ利用についての配慮点がありますか?Q9 今回のイベントで参加が困難そうな活動はありますか?いずれも当日の運営に必要なものです。勿論当日口頭で聞いても大丈夫なものもありますが事前に聞いておけば対応できることについては確認しておく方が、はっきり言ってラクだし安心です。いよいよ当日です。(3)受付受付時間を大目に取りました。これは「空き時間」を過ごせない子がいた場合少しでも待つ時間を減らすことができるようにするためです。早めについた子どものためにパズルや魚釣りゲームなどを用意しておきそこで遊びながら過ごせるようにしました。また保護者には事前に空き時間用の持ち物をお願いしていましたのでゲームや本などをもってきていてそれで過ごす姿も見られました。探索したい子どもさんには、集合時間を示し、その時間までに帰ってくるようにお願いしました。開会式は、挨拶に続いて簡単にスケジュール説明を行いました。時間にして5分間。集中力が持たないだろうことを見越して、です。時間の示し方は(まだ時計が読めない子のために)動いている時計の下に同じような大きさの「止まっている時計」を準備し「これと同じ形になったら集合だよ」というように示します。(4)コンサートコンサートはアマチュアバンドの方にお願いしました。福祉施設などでコンサートの経験もある方でしたので「自閉症や知的障害のある子どもがメインのクリスマス会であること」「なかなかコンサートは他の方の迷惑になることを考えて保護者も参加しにくいこと」「今回はそういう親子のために、音楽を楽しんでもらいたいこと」「うろうろしたり声が出たりピョンピョンしたりする子がいるかもしれないけど それを批難したり静かにさせたりはしたくないこと」「曲は短めで、できるだけ親しみのある曲にしてほしいこと」など、お願いしました。このような事前のやりとりは、バンドの方々の心積もりにもなりますしどのような趣旨で開催したいかを正直に伝えておくことは会の成功にもつながるように思います。曲目について。事前に受付でコンサートの曲順を示した紙を提示します。これは「今どの曲を演奏しているのか、あとどれぐらいで終わるのか」を本人が分かるようにするためです。本当であれば、会場前方にも同じものを作って張り出しておきたかったのですが・・・贅沢は言わずにおきましょう。この曲目リストを一つ一つチェックして「今どの曲まで終わったのか」自分で確認しながら見ている子もいました。また、椅子とビニールシートを用意し好きな方に座ってもらう形にしました。子どもの中にはお母さんの膝に座ったりねっころがったりしながらのびのびとクリスマスコンサートを楽しんでいました。聴覚過敏のある子には椅子を用意して廊下側のドアを開けてそこから音楽を楽しむ形を取りました。「隔離している」などのイメージを持つ方もいるかもしれませんがこの子たちの「聴覚過敏」は私達が黒板を爪でひっかくのが耐えられない気分になるのと同じようにつらいものですのでそこからくる苦しみをできるだけ感じずに音楽を楽しんでもらいたいという願いからこのような形にしました。今回椅子を廊下に出して聞いた子はお母さんも驚くほど集中して音楽を楽しむことができました。(5)じゃんけん列車音楽はCDなどでうるさくない音を考えて準備します。じゃんけんができない子は、親子で一緒にジャンケンします。今回は景品などは準備しませんでした。最後に先頭にいた子は、皆から大きな拍手をもらえる形です。何回ぐらいやったら終わりなのかを事前に説明して行いました。どれだけやったら次に移るかが分からないと不安になる子のための配慮です。(6)ケーキ&ビンゴケーキは事前のアンケートによってどの種類が好きなのか知った上で準備します。受付で配布した名札にシールを貼っておきその色のシールの席に向かうと、自分の名前が書いてあるケーキがある形です。待つことが苦手な子どもが多かったのである程度座ったらすぐに「いただきます」をしました。食べ終わりそうな子どもが増えてきたら、いよいよビンゴです。よく100均でも売っている数字のビンゴカード。これで充分です。ただし、ゲームの進行には一工夫が必要でした。まず、数字を書いた20cm角ほどの紙を全部の数分用意しておきます。そしてそれぞれのテーブルの上にB4サイズほどの数字表とペンを用意しておきます。(エクセルでどちらも簡単に作れます)ビンゴを始めたら、その数字の紙を皆に見えるように大きく見せてそれを黒板に貼っていきます。そして、それぞれの机にある紙で、呼ばれた数に○をつけていきます。「65」などと口頭で説明するだけでなく、黒板とテーブルで何度も確認をするのです。黒板に集中することが難しい子どもでも数字が読めない子どもでも「同じ形のもの」を自分のカードから探すことができます。そして1列揃ったらビンゴ。景品がもらえます。普通であれば、この景品は早いもの順で数名にしかもらえません。ビンゴで当たらなかった人は悔しい思いをします。また「ええ、こんなのいらないよぉ」など、がっかりすることもあります。そこでゲームの景品は「300円程度」と決めて事前に保護者に買ってきていただきました。受付で子どもにばれないように受け取り、名前を貼っておいて実際にその子どもがビンゴになったら、お母さんが選んだプレゼントを本人に渡す形です。これによって、子どもたちは自分がほしかったもの・好きなものがもらえます。また全員にプレゼントがいきわたるので悔しい思いをする子もいませんでした。終わった後も数字探しは楽しめるので約30分、最初にビンゴになった子も最後の一人まで混乱もパニックもなく待つことができました。(7)写真撮影・閉会写真撮影は、人数が多かったので数回に分けて行いました。テーブルごとに呼ばれたところから移動、写真、すぐ帰る、という形にしました。写真はデジカメ。(フィルムを惜しまずに取る!)「3回撮ります。 では、1枚目!3・2・1」「カシャ」「はい、では2枚目!3・2・1」「カシャ」このやり方で総勢90名ほどの写真が全部で5分足らずでとり終わることができました。実際に今回クリスマス会を開催して感じたことは少しの工夫でこんなにも参加しやすいんだということ。準備さえしておけば子どもたちは楽しんでくれるのだということです。保護者の方々からのアンケートを読むと「普段は知らない場所は不安で全然馴染めないのに 今回はあっという間に馴染むことができた」「コンサートなんて5分も持たないと思ったのに すごく集中して聞いていて驚いた。 私も音楽をゆっくり楽しむことができて幸せだった」「子どもたちと新しい場所に行く勇気が湧いてきた」などなど嬉しい反応が多く寄せられました。また今後もこのような企画をした際には情報UPしていきます。ぜひ皆様の実践も教えてくださいね!!
2007年01月05日
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