醍醐山と下部(しもべ)温泉

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ヒフミヨは天岩戸の祝詞かな@ Re:初夏の田園風景(2)「こころ」萩原朔太郎(06/16) こころをばなににたとへん こころは数の…
Tenkoro @ Re:あらためて100万アクセスおめでとうございます(10/26) 二代目館長さん、ありがとうございます。…
bnvn05 @ あらためて100万アクセスおめでとうございます やったね。 重ねてのコメントですみませ…

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桧枝岐でイワナ釣り やまつり023さん

二代目館長日記 bnvn05さん
2022.02.20
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カテゴリ: 醍醐山を愛する会
(10)
その日が来て、大子の山を下りながら、長者は女房と娘が滝見物を喜んでいる様子を見てとった。三人は、波高島(はだかじま)から東雲の里への、「横わたし」の筏で、あの嵐の前の清流に戻った富士川を西へ超えた。そして、東雲の里人に教えられた滝への長い山道をたどり登り始めた。
三人は、やがて聞こえてきた遠くの滝音に導かれて、滝壺から流れくる沢のほとりの小道をたどり登って行った。
三人を呼ぶ滝音が一段と強まり、にわかに頭上に明るさを覚えて目を上げると、はたせるかなついに、高い高い絶壁上から淙々(そうそう)と落下する滝を見た。滝に叩かれる広く深い滝壺からは、しぶきの水煙がたちのぼっていた。
三人は、遂に東雲の滝に出会った。
しばらく無言で滝に見入っていた三人は、滝壺の向こう側に突き出た岩の上に立つ人影を見た。その岩に立ち、三人へにこやかな顔を向けたのは、あの若者だった。


(11)
 懐かしさに長者は声を上げようとして、のどが詰まった。娘は手招きをする若者へ吸い寄せられるように、滝壺のヘリを走り寄った。
 二人は抱き合ったと見るや、そのまま水煙をあげている底知れぬ滝壺に身を投げて姿を消した。

 ふるえている女房に長者は、「嘆くことはない。これが娘の定めなのだ。あの子の願が叶ったのだ」と言った。
 夫婦は滝の下手の地に庵を建て、長者原から移り住み、そこで一生を終えた。

(12)
 後世、入日山は身延山と呼ばれるようになり、日蓮上人の高弟日興上人(にっこうしょうにん)が、龍を眷属とする「妙見菩薩」を、祖山北天守護のために、入日山北麓にもたらした。その後、妙見寺が建立され、東雲の滝は妙見の滝とも称されるようになった。
 また、いつの頃からか境内には「無患子(むくろじ)」がそだち、祖山の北天を守護しつつ、広く万民の長命安護を祈る寺となった。
妙見寺の池には、今も東雲の滝からひかれた清らかな水に遊ぶ鯉が、参詣者を見守っている。

妙見寺の池







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Last updated  2022.02.20 06:00:09
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