日舞と茶道と着物の蔵

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2005年09月13日
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カテゴリ: 和の生活 つれづれ
江戸と上方の歌舞伎の違いの具体例。さて、だんごうさぎの「中村雁治郎丈講演レポ」の続きです。

江戸の様式美、上方のリアリズムという、雁治郎丈のまとめ方のお話でしたね。観客は、江戸歌舞伎の演じている役者自信のダンディーさを楽しみ、上方歌舞伎の演じられているキャラクターのストーリーを見るのだと。

まずは、「熊谷陣屋」。忠義の為に我が子を犠牲にした熊谷直実。ラストシーンで、世をはかんなみ、出家して花道から退場するところで終ります。ここで、上方では、同じく髪をおろして尼となった妻と共に、手をとりあうようにして退場するのだそうです。

江戸では、熊谷一人が退場。悲劇のヒーローの、ここは見せ場です。観客の目は、熊谷を演じる立ち役に集中。役者は、ゆっくりと花道を去りながら、男のダンディズムを、めいっぱい発揮します。それに対し、上方のスタイルだと、熊谷は妻と一緒。ダンディズムはありません。そこには、子を亡くした夫婦の内なる悲しみが強調されるのだそうです。

次は、「仮名手本忠臣蔵」五段目の定九郎。これは、悪人キャラで、職業は山賊。ところが、現在の主流は、かっこいい侍姿。本来は、うす汚い悪当。それが、「華麗なる悪の花」とまでは、いかないでしょうが、とにかく、江戸前のカッコイイ男になっている。それを、雁治郎丈は、一度、大阪で、上方のリアリズムに徹しようと、”リアル”な山賊として演じてみたそうです。

で、この12月以降の、坂田藤十郎襲名披露の舞台のネタバレ(?)です。
「本朝廿四孝」の八重垣姫と、「伽羅先代萩」の政岡を、「上方の演出」で演じるのだそうです。

元もと文楽から来た「本朝廿四孝」ですが、故歌右衛門の八重垣姫が、柱にからみつく姿が有名。歌右衛門の、品のいいお姫様の色気が有名。でも、リアリズム派の雁治郎丈は、この柱のない舞台セットにするのだそうです。なぜなら、御殿にこういう柱はなかったから。

それと、「伽羅先代萩」も、我が子を、忠義のために死なせた政岡の嘆きを、様式化しないでリアルに演じるのだとか。



つまり、苦手なんです。いずれにろ、「伽羅先代萩」って、あまり見に行きたい演目じゃないです。政岡って女性も好きにはなれなくて。この演目好きな方、ごめんなさい。
個人的には、絶対、「本朝廿四孝」の方を見に行きたいです。雁治郎改め坂田藤十郎の、歌右衛門とは対照的な、さぞ愛らしい八重垣姫を見に。

て、話がそれましたが、最後に、質疑応答の時間もありました。日本学研究の若い英国人男性からの質問「上方歌舞伎を雁治郎丈の信じるままに上演していくのに、どうして名前を変える必要があるのか、まだ、よくわからない。」と。これは、確かに予想できる疑問でしょうね。日本の伝統芸能によく見られる「名前の継承」や、良くも悪しくも歌舞伎界における「名前の重さ」について知らないと、確かに、不思議かもしれません。シェークスピア役者の、例えば「ローレンス=オリビエ」という名前は、ローレンス=オリビエが後にも先にも一人で築いたもの。それと、「中村雁治郎」や「坂田藤十郎」という名前は、全然意味の違うものなのだ、ということ。

と、いうわけで、長くなりましたが、おつき合い下さった方、ありがとうございます。

中村雁治郎丈芸談

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最終更新日  2005年09月13日 08時19分13秒
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