『子どもたちに贈る12章』第1章から学ぶ―医療とは何か
真弓定夫先生の著書『子どもたちに贈る12章』の第1章は、「医療」とは何か、という根本的な問いから始まります。私たち脱クスリ薬剤師が日々感じている疑問が、この章には明快に記されています。
医療が進歩しても、なぜ患者は減らないのか
真弓先生はこう書かれています。「医療が進歩すれば、まず第一に病気が減らなくてはおかしい。患者が減り、当然のことながら医療費も減るはずだ」と。
しかし現実は違います。働けど働けど患者は増えるばかり。その原因を真剣に考えた真弓先生は、日本の医療が「マッチポンプ」になっていることに気づかれたのです。
消防署と医療の違い
分かりやすい例えが示されています。
消防署は火事が起きれば消火活動をしますが、それだけではありません。日頃から火事を出さないよう、防火の面にも気を配っています。
一方、医療の現状はどうでしょうか。すでに生じてしまった病気の治療には意が注がれ、特に薬による治療が主流を占めています。しかし、より大切な病気の予防に関しては、あまりにも関心が薄いのです。
西洋医学の歴史が生んだ「薬中心」の医療
この背景には、西洋医学が辿ってきた歴史があります。
西洋医学には元々5つの流派があり、長い間、大局的・包括的な医療が行われていました。ところが18世紀後半、ヨーロッパ各地でアロパシー(薬物療法)以外の流派が国家的規模で排斥され、「アロパシーこそが西洋医学である」という医療体系が確立されたのです。
そしてそれがそのまま、鎖国が解けた日本に入ってきたため、日本の医学もまた「薬で病気を治すのが当然」と思われるようになり、現在に至っています。
終戦を境に変わった薬の使い方
薬剤師である私も知らなかったのですが、終戦を境として医師の薬の使い方には大きな変化が生じたそうです。
今の薬のほとんどは、製薬会社が大量生産したものを、その会社のマニュアルに従って画一的に投薬しています。そこには心配りがあまり見られず、個人差や病状への配慮もなされていません。
私も日々、薬局で働いていて、それを実感しています。
ちなみに真弓先生の診療所には薬は一切置いていないとのこと。いかに薬に頼らず患者さんを診ておられるかの表れです。自然の理を大切にし、薬に頼らず自分で治せる知恵をしっかりと伝えていたものと思われます。
驚くべき数字―日本の薬の使用量
本書には衝撃的なデータが示されています。
こうした薬の過剰使用が基盤となり、真弓先生が医師になってから50年間で、 日本の総医療費は140倍に増加しました(人口増加はわずか1.5倍に過ぎません)。
医療費を減らす道はあるのか
真弓先生は、この医療体系を根本的に変えない限り、日本の医療の改善は望めないと考えています。
そして具体的な提案をされています。
現在の出来高払い制度では、投薬・注射・検査をすればするほど収入が増す仕組みになっているのが問題なのです。
育児は人が生まれる20年前から始まる
最も印象的だったのは、この言葉です。
重要なのは病気の治療だけではありません。それよりも、病気にならないためにどんな生活環境を作り出せばいいのか、心の持ち方をどうすればいいのか。患者と医師がともに生活環境を整えて、それを次世代に譲り渡していくことです。
真弓先生はこう結ばれています。
「初診の子どもを20~30年かけて、日本人本来の知恵を身につけた父親・母親に育て上げていけば、孫たちには病気にならない免疫力(自然治癒力)がついてくるはずです。それがまた病気を、患者を、医療費を減らす最善の道になるものと確信しています」
脱薬薬剤師より
この第1章を読むだけでも、真弓先生の医療に対する真摯な姿勢と、次世代への深い愛情が伝わってきます。
治療より予防。薬に頼る前に、まず生活環境を整える。
お子様の健やかな成長を願う親御さんに、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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