真弓定夫先生の著書『子どもたちに贈る12章』、今回は第3章をご紹介します。
この章は、こんな問いかけから始まります。
「科学の発達や技術革新によって、人間の力で自然を制御できるという根本的に誤った判断が、共生、共存の原理を失わせてしまったのではないでしょうか」
真弓先生が折に触れて読み返すという愛読書があります。畑正憲さん(ムツゴロウさん)の『われら動物みな兄弟』です。
畑さんの自然や動物への思いやり、いつくしみの姿勢は終始一貫しており、人間の本来あるべき美しい心がにじみ出ている、と真弓先生は語ります。
そして、こう続けます。
「いまこそ、私どもは自然界の一員であり、自然の中で生かされているとの謙虚さを取り戻し、生きとし生けるものの生命を大切にする姿勢を崩してはならない」
真弓先生は「公害大国日本」の現状を嘆きます。
除草剤や添加物が原因と思われる奇形猿が各地で発生している事実。それは自然からの警告ではないかと。
淡路島モンキーセンター所長・中橋実さんの言葉が紹介されています。
「自然は人間だけのものではなく、小さな動物、草花も共に生きる権利を持っています」
絶滅寸前だった兵庫県のツキノワグマ。その命を救ったのは、中学生たちでした。
尼崎市立武庫中学校の森山まり子教諭と生徒たちは、貝原俊民知事(当時)に面会を申し入れ、次の5つの選択肢を示して回答を求めたそうです。
「絶滅寸前、兵庫県野生ツキノワグマについて」
中学生たちの真摯な訴えによって、絶滅に瀕していたツキノワグマの生命は救われました。
最も心を打つのは、この章の最後に紹介されているエピソードです。
宮沢賢治をこよなく愛し、賢治の学校の経営に当たっていた鳥山敏子さん。かつて小学校教諭だった頃、教室にブタや鶏を持ち込み、生徒たちに生命の大切さをしっかりと教え込んでから、それを調理してみんなで食べ、感想文を書かせたそうです。
真弓先生は鳥山さんと一緒に講演をしたこともあるそうですが、小柄でありながら溢れんばかりのバイタリティを秘めた方だったとのこと。
多くの生徒が心のこもった感想文を書く中で、ひとりの女子生徒の文章が、20年以上経った今でも真弓先生の心に鮮やかに焼き付いているそうです。
「ブタさん、ごめんなさい。
今まで私は食卓でみなさんの生命を口にしていることなど少しも考えていませんでした。
ブタさん、ごめんなさい。
この次生まれてくる時には人として生まれてきてください。
私はブタになってあなたに食べていただきます」
この第3章は、生命の尊さ、自然との共生について、深く考えさせられる内容です。
私たちは日々、多くの生命をいただいて生きています。その事実に感謝し、謙虚に生きる姿勢を、お子様にどう伝えていくか。
真弓先生の言葉は、親として、大人として、改めて考えるきっかけを与えてくれます。
次回は第4章をご紹介します。
治療より予防。薬に頼る前に、まず健康的な生活習慣を。
子どもたちの未来のために、今できることから始めませんか。