ナルシストの私室

Feb 13, 2006
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
本棚を整理しようと思い、いくつかの本を学校に持ってゆく。
本ならほぼなんでももらってくれる輩輩に譲るためだ。
村上春樹のノルウェイの森。
僕はこの本が病的に好きだった。
それでも手放すのは、痛んできたためと、どこの古本屋に行ってもすぐに手に入るからだ。
ノルウェイの森(上) ノルウェイの森(下)
余談だけど、文庫本のほうにはあとがきがついていない。
村上春樹の小説であとがきがついているのは本当に珍しい。
手放すつもりで持っていったものの、当人が着てないために読み返し始めたらやっぱり面白い。
面白いというのもすこし違う。

生まれ育った土地に流れる水のように。
初めて読んだのは高校生の時。たぶん二年生のときだと思う。
古本屋で100円という安さで手に入れて、通学バスの中で読み始めた。
上巻は赤地に緑のタイトルの派手な表紙で、やけに目だって気恥ずかしかった。
友人が「おっノルウェイの森じゃん」と言ったのに対し、特に有名な本ともしらず「これ有名なの?」と返してしまった。
主人公は作者自身で、大学時代を回想するという内容で、僕は作者の年でもないし、大学生でもなかった。
大学生になって読み返したらもっと共感できるのかなと思っていたけれど、それは違った。
高校時代、なにも出来ない中で前に進もうとする主人公に、毎朝規則正しく起床して、部屋の掃除をして、ただ本を読むことしか出来ない主人公は孤独なヒーローに思えたけれど、大学生の目に映る主人公はただただ儚げだった。
高校時代にこの本に出会えたことは幸せだと思う。
もしこの本に出合えなかったら、どんな自分になっていたんだろうと考える。
この本のおかげでグレートギャッツビーを読み、ケンタウロスを読み、村上春樹熱が高まるとドストエフスキーのカラマーゾフの兄弟まで読んでしまった。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Feb 13, 2006 10:27:41 PM
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: