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2014.08.03
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カテゴリ: 小説
 気の持ちようねぇ、俺は電車の中でぼんやりと、その言葉を繰り返した。

 S駅にさしかかったところで、ポケットに手を突っ込んだ俺は、三週間前に買った宝くじが、そのまま入っているのに気づいた。

 気晴らしにはなるだろうと思って、俺は環状線を降りて南口の宝くじ売場に歩み寄った。
 「はい、いらっしゃい。あ、当選番号ね。ちょっと待ってね。」

 くすんだ茶色のシャツを着た婆さんが、その顔と同じくらいしわくちゃの宝くじを俺から受け取ると、これまたゆっくりと番号を調べていった。

 「ええとこれは、お、お客さん! これ百万円当たりですよ!」

 ひと事ではないような声に釣られて、俺はシワと指紋の区別が付かなくなった指先を追った。

 確かにこの券の番号だ。

 俺は顔をつねった。



 やった、いいことあるじゃねぇか!

 俺は遥かに年上の幸運の女神から、再び幸せのチケットを受け取ると、指示されたK銀行にかけ込んだ。

 「いらっしゃいませ。」

 俺が息切れしながら半紙を突きつけると、小柄な銀行員は俺を応接室へ通した。

 そこで銀縁眼鏡をかけた渋い四十男に言われるまま、普段は持ってるだけの免許証を見せ、続いて幾つかの書類に押印した。

 「お振り込みは今週末の午前十時となります。
  今後とも当行を宜しくお願いします。」

 ついでに作った普通口座の通帳を受け取り、さぁてどういうお楽しみに興じようかと、俺はにやけながら閉店十分前のロビーに歩み出た。

 中に可愛いコがいて、後であの金でナンパしてやろうかと思った時だった。

 「きゃーっ!」

 風もないこざっぱりした空間の中、その娘のスカートが思いっきりまくれ上がった。



 いっけねぇ、俺は不慮の事態に当惑してる振りをしながら、そそくさとガラスの自動ドアへ歩み寄った。

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最終更新日  2014.08.03 11:49:57
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