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カテゴリ: 実写ドラマ
 「特捜最前線」傑作選(2回目)のトップを切ったのは、「誘拐」2部作(第136話、第137話)であった。

ネタバレ になるが、この話は、「(自分のせいで)妻が早産+死亡、子供も死んだ(と思った)ヤクザの復讐」である。こう書くと、身もフタも無い。また、犯人のイガリ・マモル(演:伊東平山=ダイヤジャック)にも同情の余地は無い。

 (終始、特命はダイヤジャック(前編では顔は出ず、ほぼ声のみの出演となっている)に翻弄されており、しかも ほぼ単独犯、と言う状態だった) しかも、序盤で一人、子供を殺している。これでは、全く同情できない(基本的に、子供を殺すキャラクターには、誰しも感情移入できないと思う。ドクター・キリコみたいなケースなら別だが)。

 今回の事件が厄介だったのは、犯人の動機が見えなかった事である。桜井は、早々に「怨恨」と当たりを付けたのだが、特命課の総力(にも等しい)捜査の結果、朝倉院長を恨んでいる人物は浮かんで来なかったし、逆に、その善人ぶりがクローズアップされ、事件が反って混迷する事になる。

 最初に長男が水責めで死亡、すぐに次男も誘拐され、絶体絶命…と、序盤から重い。所轄の不手際も去る事ながら(もっとも、イガリは最初から殺すつもりだったのだが)、神代、橘、桜井らのアドバイスも裏目に出てしまい、さらには滝が居たにも関わらず、次男が攫われ…と、全く予断が許されない展開である。

 水責めにされた次男が助かったのは、父の朝倉の努力(蘇生含む)や特命の必死の捜査も有るが、本人の意思によるところも大きい。後ろ手に縛られた縄を解いたり、口に貼られたガムテープを壁で擦って剥がしたり、口が自由になるや、板を銜えてホースを外に出したり…と、その労力には頭が下がる(設定年齢は6歳。凄い子供である)。この子の努力振りも、また長坂脚本の芯の一つだろう。

 心憎いのは、「全くの第三者」である行商(?)の おばあさんの登場だろう。単なる通りすがりなのだが、喉が渇いたらしく、水を求めてホースを外し、上手そうに蛇口に喰らいつく。ここで、視聴者は「助かった(次男は助かる)」と、ホッ、と安堵するのだが…。そのまま立ち去ろうとした時、思い直してホースを接続し、水を流すのである。しかも、前よりも強い水量で。この おばあさんの行為は責められない(と言うか、ごく自然な行為、もしくは善意である)。善意の第三者にキャスティング・ボードを握らせる辺り、心憎い、としか言いようが無い。ヘタに共犯者が居るよりもタチが悪いし、また視聴者はハラハラとしてしまう(何せ、長男は死んでいるのだ)。これに比べると、終盤の雨はインパクトが弱い様に見える。

 また、イガリの方も、「実は自業自得(妻は心臓が弱かった。その上、イガリの逮捕を病室で目の当たりにしている)」とは言え、妻に会いに出かけたのは、その身を案じてだったし(母子ともに)、更に無事を請合ったにも関わらず、朝倉院長が母子を「死なせてしまった」のは、復讐の動機として十分である(だから、2人殺す予定だった)。イガリを正義と呼ぶのは違和感が有るが、彼自身にとっては、まさに正義の行動だったのである。「復讐の戦士」、「正義の戦士」と言えるだろう(←「ヒーロー番組の正義の味方」では無く、「現実世界における、対立する概念としての正義」)。今回もまた、正義と正義の ぶつかり合いだった。



 …と、どうしても「正義の味方」、「キカイダー」を意識してしまうのだが、これは先入観なのだろうか?

【蛇足】

 前編では ほとんど出てこないカンコだが、後編で滝のピンチを救ったのは「女性ならでは」の出番だった。こう言う細かい点に気を配れるのも素晴らしい(しかし…あのビンタの効果音は、体重が乗りすぎていたw)。にしても、この頃のカンコは美人だ。

 あと、横森久 演じる警察幹部の渋り様も素晴らしかった。





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Last updated  2012.12.13 18:02:42
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