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2009年02月06日
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カテゴリ: カテゴリ未分類



皆様、しつじぃの続きができましてございます。

これまでのあらすじ。

が知りたい方は、ブログのバックナンバーを見るよろし(σ・∀・)σ
なぜ中国。

そしてちゃっかり宣伝( ̄∀ ̄*)ゞ

では、ご覧ください(^-^)/








転章






執爺が来てから、1ヵ月が経った。



コンクールまで、あと1ヵ月になった。




「はやお嬢様、午後の紅茶をお入れ致しました。
どうぞ練習の休憩をなさって下さい。」



「おっやったね、ちょうど切りいいとこだったんだ~。」




1オクターブ高い声を放つと、あたしはリビングに向かった。


執爺の入れる紅茶はこれがまたうまいんだな♪




あたしは土日も家にこもってサックスの練習に励んだ。

やっぱり学校で皆と練習する気にはまだなれなくて。
でもそろそろイメージやタイミングを合わせるために部室に顔出した方がいいんだけどね・・・。
まぁ、先生の信頼は得てるから大丈夫っちゃあ大丈夫なんだけど。






不思議だ。

初めて会った時は全然そんなんじゃなかったのに。
確かにうちに定着するのは一瞬だったけどそれはそーたが何のためらいもなかったからであり・・・。

あいつは何であんなに軽率なんだか。






「お嬢様?」





「いえ、心がどちらかにお出かけになっていたようでしたので。」

「あ~ごめん・・・。
紅茶は相変わらず絶品だよ?」


上目で言うと、執爺はフッと笑みを漏らした。



何か笑うと一気に幼くなるんだよね、この人。


あたしは執爺の笑顔を見るのが好きだった。


「ふむ、せっかくの良い天気です。
気晴らしに公園でも行きませんか?」


「えっ。」

「はや様はここ最近休日ずっと家にひきこもってらっしゃいます。
いくら練習とはいえ、少し太陽を浴びた方が良いですよ。」


「・・・・公園まで散歩?執爺と?」


「差し支えなければ。」

ちょっと考えてから、あたしは


「いいよ。そだね。気晴らしは必要だわ。」


「決まりですね。
では用意が整いましたらお声を下さいませ。」


「りょっ!」


と言って2階に上がろうとした瞬間、


「はや様。」


「なぁに?」



「サックスもお忘れなく。」


「え゛っ!!外で吹くの!?」


返事をする代わりに、執爺はにこっと微笑んだ。




あたしは部屋に戻り、髪の毛を整え、せっかくだから服も着替えてみた。


執爺とお出かけなんて初めてだ。
基本あの人は、掃除だの洗濯だの食事だの、私たちのための仕事を1人でやっていたから。



おっとサックスも持ってくんだっけ・・・・。

何でだか執爺に逆らう気にはなれないんだよなーーー。




「お嬢様、支度は整いましたか?」



ドア越しに執爺の声がした。

がドアを開けると、執爺が立っていた。





スーツで。




「・・・・執爺、スーツで行くの・・・?」


「ええ。大丈夫です。
何の問題もありません。」



おいおいあたしが大ありなんだっつーーのーーー!!




「いやそれじゃ目立ち過ぎるって!」



「では、参りましょう。」



「って聞けよーー!」


さっさと階段を降り始めた。



何なんだ・・・・

この、人の話を軽くスルーする様はそーたそっくりではないか。




「もーーーそーたの変なとこ影響されないでよ・・・」



・・・・え?



階段を下りて真っ先に見えたのは、執爺が手にしていたサックス。


違うよあたしのじゃない。ちゃんと持ってるから。



てコトは・・・・。



「爺、それ・・・。」



「わたくしもね、たしなむのですよ、はや様。」



にっこり。



・・・・・・・・・・ぽかーーんと空いた口がふさがらなかったのは言うまでもない。


**********************



「何で言ってくんなかったの。」


公園に向かって歩きながら、少しぶーたれ気味にあたしが言った。


「わざわざ言うことでもございませんでしたし、わたくしははや様の演奏を聴いているだけで十分でしたので。」



「・・・・・・・あ、そ。」



なんだなんだ、執事ってのは歯の浮くようなセリフをいとも簡単に言えるような調教を受けているのだろうか。


「ねぇ、執爺は何でサックス吹くようになったの?」


興味本位で訪ねてみた。



「父親から譲り受けたのですよ。
家に置いてあるだけの宝の持ち腐れにするよりは、わたくしも演奏した方が良いのではと。
でないとこの子が可哀想になってしまいますし。」


「ふぅん。」


ありきたりなきっかけなんだなぁ。



「でははや様はどのようなきっかけで?」



「あ~!?~~あた、あたし??
いや・・・別にそんな大したことないしねアハハ。」


「人の話を聞いておいてそれはないでしょう。」


と、意地悪く笑う執爺。




「~~~~~~~~・・・・。」



どうやら観念するしかないみたい。



「・・・・・あたしもね、サックス自体は家にあったんだよね。
でもまっっったく興味なかったね。」


「おやおや。
ではなぜ演奏するようになったのです?」


「・・・・・・・・。
ブラバンに、入りたくて・・・・。」


「サックスに興味がなかったのに?」



「・・・・・・・ブラバンに入れば、応援できるから・・・・。」


「応援?」


少し考えて、執爺がニヤリとした。



「そういうことですか。」

「・・・何がよ。」


「意中の人がおいでなのですね。」


「・・・・・・。べっつにぃ~~。」



見え見えの強がりを言うあたし。


「ふふ、何となくわかっていましたよ。」



「え!?うっそマジで!!??
何で!?いつから??」


執爺の以外な返答に、もの凄くたじろいだ。

お陰であっけなく嘘だとバレた・・・。



「フフ、ちょっと前くらいですかねぇ。
わたくしはや様のことなら何でもわかりますもので。」


「ちょっ、気持ち悪いっての!
あ~~っ、もしかしてあたしのこと、好きなのぉ?」



意地悪に聞いてみると


「ご心配なく、わたくし、既婚でございます。」



「・・・・・・・・・へ?」


思わず間抜けな声を出す。



あ・・・・・そっか。


そこら辺の事情は全然聞いてなかったけど、そうだねよ、結婚くらいしてるよね。



「や、やだなぁ冗談だよ、も~~。」


「でもはや様のことは大好きですよ。」


と、やさしくほほ笑んだ。


「・・・・・ありがと。」



嬉しいはずなのにな。
なんだろ、この気持ち。



**********************


公園に着くと、あたしたちは空いてるベンチに腰かけた。



休日なだけあってけっこう人がいるんだな~。
半分は子供なのでは。



みんな遊びに夢中なので、あたしたちが入ってきてもさほど注目されることはなかった。



「屋外で吹くと、音色が空気に溶けて、一層響きが増すんですよ。」


「そう言えばあたしは外で吹いたことないな~。」


「では絶好の機会ですね。」



楽しそうに喋りながら、サックスのチューニングを始めた。



あたしも習って音を出す。



周りが賑やかなのでこんくらいじゃ全然平気だった。




「さて。
ではご挨拶程度に1曲お披露目することに致しましょう。何かお好きな曲はございますか?」


「ほんと?
そうだなぁ~じゃあ・・・。」



人のサックスを生で聴くのは初めてだ。

うんうん唸って


「じゃあね・・・
トロイメライ。」



「・・・トロイメライ?」



「うん。この曲、お父さんがよく吹いてたんだ。
あたし小さい頃寝付きが悪くて、なかなか眠らなかったんだよね。
そしたらね、お父さんがサックス引っ張り出してきて、何も言わずリビングで吹き始めるんだ。
あ、このサックスは元々お父さんのものなんだ。あたしもね。

でそれが子守歌に聞こえて。
ただでさえ素敵なメロディなのに、お父さんがサックスでお休みを言ってくれてたんだよね。
それを聴くと魔法にかかったみたいにあたしは眠ったんだ。」



「お父様とはあまり交流がなかったのでは?」

「あんまり会話はしなかったんだけど、ね。
小さい頃だしあんまり覚えてないのかもしんないし。
でもこのサックスを吹くお父さんは鮮明に記憶にあるよ。」



不思議なんだけどね。



「左様でございますか。
では、わたくしで申し訳ございませんが、はや様のために腕を振るわせて頂きます。」


「ふふっ、よろしく。」


そっと、大切な子供を撫でるように、執爺はサックスに触れた。

彼の吐息により、サックスがトロイメライのメロディを奏でる。



スーツを着てることもあり、執爺がいつもの何倍も素敵に見えた。



あたしは小さい頃みたいに、魔法にかかったようにうっとりした。

執爺は魔法使いなのかな。
紡ぎ出す音はお父さんと同じメロディを奏でていた。

ううん、あたしが魔法にかかったから、きっとそう聴こえるんだ。

だから執爺にもうっとりしちゃうんだ。



きっと、全部、魔法のせいだ。



けど、周りを見ると、誰もこっちを気にしていない。


・・・ちょっと、聴きなさいよ。
こんなに素敵なメロディなのに。




「ありがとうございました。」



「・・・あっいいえ、こちらこそ。
あはは、昔を思い出して寝ちゃいそうになっちゃったよ。」


「おや、お誉めのお言葉ですね。」

幼い顔で執爺が笑う。


「・・・ありがと。」


「喜んで頂いて光栄ですよ。
さ、次ははや様の番です。」


「・・・・え!?
あ・・・ああ、うん・・・。」




・・・・・・


ふと思った。



もしかして、あたしが演奏しやすいように、自分もサックスを持ってきて先に吹いてくれたんじゃあ・・・。



・・・・・それが本当だとすると、ヤバい。


執爺素敵すぎる。




「じゃあ、今度はあたしが爺に。
何をご所望しますか?」

執爺は微笑んで



「では、くるみ割り人形の“行進曲”をお願い致します。」


「あっいいね!
あたしもそれ大好き!」


「存じております。
はやお嬢様のことなら何でも。」


と、またもや気持ち悪い発言をしたにも関わらず、ウインクで見事に決めてみせた。


つくづく不思議な人だ、執爺は。



すぅっと息を吸い込み


サックスに口づけする。


あたしの・・・お父さんのサックスが軽快なメロディを刻む。

あたしの頭の中には可愛らしいくるみ割り人形が登場し、あっちこっち忙しそうに動き回る。

あたしはそれに合わせてサックスを奏でる。


やっぱり演奏は最高だ。


そして


フィニッシュ。








「・・・・すごいね!」



「・・・・・あ・・・え?」



演奏を終えたあたしの周りには、砂場やらで遊んでたはずの子供たちがいつの間にか集まっていた。



「あれ・・・・何で?」


執爺の時は全然見向きもしなかったのに。


「もっと聞きたい!」


「吹いて吹いて~!!!」



「いや・・・えと・・・・。」


困惑し、執爺に声をかけその場を立ち去ろうとした時、




「・・・・・中島さん?」



聞き覚えのある声がした。

胸の高鳴りが尋常じゃなくなる、その声色。




「・・・・宮沢くん・・・?」



だ・・・め・・・だ・・・・・。



執爺の顔も、宮沢くんの顔も、見れないよ・・・・・。


続く





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Last updated  2009年02月06日 22時09分01秒 コメントを書く


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