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国費留学その2


 問題となっているのは、入省八年未満の若手キャリア官僚を二年間、海外の大学院などに留学させる「長期在外研究員制度」。平成十-十四年度に留学した若手官僚は五百六人で、このうち約一割の四十五人が十六年十月までに退職した。しかし、留学中の給与を除いた現地の滞在費、授業料など、一人当たり約千三百万円の国費が投入されたにもかかわらず、返還義務がないため、大半がそのまま退職している。
 このため、政府は平成十三年十二月の閣議で「早期退職の場合の留学派遣費の償還について法整備を行う」とする公務員制度改革大綱を決定した経緯がある。
 人事院はしかし、労働基準法のうち、損害賠償を前提とした労働契約を禁じる規定を重視。「留学は出張であり労働契約にあたる可能性がある」とし、「国が損害賠償(費用返還)を求め早期退職者と裁判になった場合、労働基準法が準用され国が敗訴する恐れがある」と慎重だ。
 一方、自衛隊法では、防衛医大の卒業生が卒業後九年未満で自衛隊を退官した場合、授業料の返還を義務付けている。民間企業では、留学費用を「貸し付け」という形にし、留学後数年を経て返済を免除するケースが増えているという。
 専修大の広石忠司教授(労務管理論・労働法)は「こうした考えをもとに法整備すれば、国家公務員にも労基法に触れずに返還義務を負わせることができる」と指摘する。

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