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2ヶ月前までは何一つ病気することなく普通に生活していた。
いや、普通とは言えない。
8月頃からみぞおちのあたりに違和感はあったし、食欲も落ちていた。
でも、毎年胃カメラは受けて異常はなかったし、今年も9月に受ける予定だし、夏バテかなと思っていた。
そして9月、胃カメラを受けたがやはり異常はない。
しかし、医師がおなかを触って一言、「CT検査を受けてみませんか?」
CT検査の結果は膵臓がん、肝転移、肺転移のstage4だった。
抗がん剤治療を2クール受けたが、副作用が強くやめざるを得なかった。
10月末にホスピスに入院、その時点ではすでにがん性疼痛、労作時の呼吸苦、下肢のむくみがあり、余命3週間以内と診断した。モルヒネの持続皮下注射を導入し、ステロイドの点滴をしたところ、少し食欲は回復した。
本人が自宅療養を希望され、11月上旬に退院、訪問診療を開始した。退院した日は近江牛のステーキを一切れ食べ、「最期の晩餐には、これが食べたかったんや。」と喜んだとのこと。
徐々に弱っていくAさんを心配する長男、次男家族。。
入院時は長男の妻だけにしか、病の軌跡は説明していない。先週の土曜日は長男が休みを取ってくれていたので、もう1週間を頑張ることは難しいと改めて説明した。
そして日曜日、意識は混濁、死前喘鳴が始まったようで、訪問看護師からモルヒネのドーズ回数が増えていると報告、時間流量を上げるよう指示をする。
月曜日、ドーズ回数は減らなくて、家族が往診を希望しているとのこと。モルヒネもあと少ししかないとのことで、薬局に連絡し追加分を作成してもらい受け往診する。
診察したあと、長男家族4人と次男あわせて5人に、今日明日のいのち、であることを伝える。何か質問があれば何でもどうぞ、と私が促すと中学生の孫娘が目に涙を溜めて一言。
「人間って何ですか?」
「人間とはどういう存在か、という問いかな。ならば、おじいちゃんとあなたのように、愛し愛されて生きることが出来る存在。人に愛されて生きてきたおじいちゃんは、人を十分に愛することが出来る。そのおじいちゃんに愛されたあなたもきっとその教えを守ることが出来る。おじいちゃんは姿かたちが見えなくなるけど、あなたのなかで生き続ける。」
そして、昨朝、看取りに行った。
孫娘は看取りに立ち会わなかった。お嫁さんが「死亡宣告の場面には居たくない、と言ってました。」
でも、私がAさんに「ゆっくりお休みください。」と言って病院に戻ろうとしたら、制服に着替えた孫がやってきて「おじいちゃん、行ってきます!」と言い、私に「ありがとうございました😊」とにっこり笑顔で言ってくれた。
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