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2004年02月06日
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テスト当日。


でもそれは、もしかしたら、これから始まることへの極度の緊張感だったのかもしれない。なにがなんだかわからない。これからあと数時間後に、わたしはどうなってしまうのだろうか。
気分を歌のテストに向けて盛り上げていくために、学校まではずっとプラネタを聴いていったけれど、何度アヴェマリアを聴いても、いまいちいつものように気分がのってこなかった。


からだはちっとも目覚めなくて、緊張もあってこちこちのまま・・・このままではヤバイんじゃないかって思いがよぎると、一層固まってしまうから、私はただただ眠いんだ~という気持ちで自分をごまかした。

伴奏はピアノ科の友達に頼むことが出来た。曲がやさしいからっていうのもあっただろうけど、私が頼んだら気軽に引き受けてもらえて、本当にありがたかった。やっぱりその道の専攻だから、伴奏はとっても的確で、歌いやすかった。

だから、あとはわたし次第。

そのこのピアノ科のレッスン室を使わせてもらって、何度か合わせてみた。
でも、ほらねって感じ。やっぱりいつも程には声が出てこない。一番高い音なんかほんといっぱいいっぱいだ。



わたしは、また後悔した。時間が迫って来るにつれ冷静さを失い、焦りばっかりが募った。



でも、でも、この日は、うまくいった。
途中でなんとか、うまいこと発想を変えることができた。



落ち着いて!って必死に思った。
落ち着け、おちつけ。
これは、滅多にないチャンスなんだ。
来年なんてどうなるかわからない。これは、私にとって、声楽曲を歌うことのできる、最後のチャンスになるかもしれないんだ。
少し興奮を静めて・・・こんな時はゆっくり考えてみよう、と思った。
(つまりは単なる自己催眠??なのですが・・・こんな風にでも考えていけば、いくらか楽になれるのです)

とっても大げさな話だけど、もしこれが、私にとって最後の歌だって考えたら・・・?
私は歌うのが大好きだ。声楽曲をうたうことが、スキだ。でも、もしこれからの人生に何かがあって、それをもうずっと歌えなくなるとしたら、どうするのが一番いいだろう?



じっくり、楽しんで、思い切り歌うしかないじゃないか。
結果なんてどうだっていいんだから(単位は絶対取れるし・・・笑)。あとはもう、どれだけ自分に納得が行くようできるかってことだけ。
私が今、こうしてこの場で歌えるってことは、なんて幸せなことなんだろう。
緊張をしすぎたりして、満足に歌えなかったらもったいない!たった3分にも満たない曲だけど、精一杯やりたい。やろう。きっとできるはずだ。
悔いを残さないように・・・。できるだけ楽しんで・・・。



今度はテンションを高めるために、いろんなことを想像してみた。


まず、一番大切なのは、曲の内容について考えること。


これはどんな曲だろう?
とってもシンプルで、でも深くて美しい曲。
優しい、慈愛に満ちた曲。
歌詞は、ごく普通のAveMariaの詩。
でもその意味をもう一度味わってみる。
麗しいマリアさま。愛に溢れた、乙女であり母であるその人について思いを馳せてみる。
本当にこの曲を歌いこなしたいと思ったら、雑念みたいなものをなくさなければいけない気がした。
ふだん思い悩んでることなんてみんな消して、そんなことよりももっと、意識を上の方へもっていく。


透明な気持ちで、ただ暖かい優しさと、私の上にいるように感じている、なにか絶対的なものへの感謝をこめて(最近たまに、そういうものの存在について考えてみることがある。これが、よくわからないけど、神様とかそういったものの感じなのかな??)・・・歌おう。

プラネタをイヤホンで聴きながら、いっしょに歌ってみたら、なんだか安心できた。ありがとうみちこさん。。



そろそろ時間になって来たので、私は試験の教室へと移動した。この日は10時頃から始まって、12時の間までならいつ受けてもよい、というシステムで、忙しいひとは先に行って終わらせたりもできた。私はできるだけいっぱい声を出してからがいいなと思ったので、けっこう残って待っていて、何人かの友達と一緒に行ってみたらもう最後のグループになっていた。


私の番が近づいてきたころ、曲についてずっと思っているうち、ひとつのイメージが浮かんできた。
マリア様がどういう人で、どんなにステキだったのかは私にはよくはわからない。漠然としたイメージしか抱くことができない。でも、きっと、なにもかも無条件で受け入れてくれるようなやさしさのあるひと・・・じゃないかな。
ふっと、亡くなった自分のおばあちゃんが浮かんだ。その人はただただ優しくて働き者で、自分はずっと病気がちで私たち孫の世話をするだけしてくれて、逝ってしまった。キレイなひとだったのに、自分を飾ったりすることはほとんどなかった。私は頼るだけで、なにも返せていなかった。でも、幸せだった、らしい。そんなおばあちゃんには、今は感謝とごめんねっていう気持ちだけしかない。だから、その人は時々出てくる。そして、私をやさしく日常生活から切り離し、ひどく精神的な世界へと連れて行く。私はそのたびに懐かしくせつなくなる。夢の中現在の私のままで会えることもある。今会えるんだったらどうしてあげたいかな・・・という私の願望なのかもしれないけど。

そんな思いがあるせいか、私の中ではマリアさまのイメージが祖母にかぶっている(単に名前が似ているだけかもしれないけど・・??)。


教室はとっても広く天井も高くて、窓からは光が降り注いでいた。私の好きな環境、とっても歌いやすそうな、思わず歌いたくなってしまうような場所だった。
私はとっても落ち着いた、澄んだような気持ちになることができた。それでもいくらか残っている理性の私が、盛り上がりの対極にいて、完全には自分を見失わないようにしていた。うまく気持ちを持ってくることができた・・・と理性が思った。よし、がんばれそうだ。さぁ楽しもう。一発やってやろうじゃないか(・・・×。下品な気持ちになってはいけません)。。。


自分の番号を言って、ピアノの前に立った。
試験管は3人。一番右は、大好きな私の先生だ。うん、だいじょうぶ。。がんばるぞ。左はオトコの先生。うわ~男の先生に聴いてもらうの初めてだー。真ん中は校内でよく見かける、派手な感じの女の先生。たぶん、教授??の林先生っていうひとだ・・・。うわ~うわ~・・・やっぱり緊張する・・・。でもやるしかない。


前奏が始められた。やっぱりこのメロディは、シンプルだけどとってもいいな。バッハってすごいな。偉大だな。
落ち着いて・・・きれいに、うたおう。
相変わらずちゃんと声出るかな?って不安は残っていたけど、とりあえずは落ち着いて歌い出せた。ピアノの子は、私が練習とはちょっと違った感情の込め方をしたところも、ちゃんと余裕を持って合わせてくれた。


でも、最初の高い音、ベネディクタトゥ~と歌い出したとき、また心境が変わってきた。
この音がなんとか余裕のある感じで出せたとき、すぅっと気持ちが楽になっていった。だいじょーぶ・・・と思った。
すると、だんだん歌っていることが楽しくなってきた。


やっぱり・・・歌うってなんてきもちいいんだろ。
そう思っていた。

曲が盛り上がって来るにつれ、だんだんと楽しいかも・・・が楽しくてしかたない!くらいまでになってきた。
こんな声楽の教室で、私の歌なんかを、こんな3人もの先生に聴いてもらえるなんて。まるまる一曲、「聴かせて」しまえるなんて・・・もったいないけど、なんて嬉しいことなんだろう。人前で歌わせてもらえるって、最高だなぁと思った。

そんな気持ちよさを痛感しながらも、私の心はそれ以上の興奮はしなかった。この曲の自分が持つイメージを忠実に出そうと、ずっと透明なきもちでいた。と思う。


音が高くなっていくと、やはり少し不安が戻ってきた。どうしてもまだ、高いシが恐かった。
けれど、もうやるしかなかった。私の中でのイメージが最大限に膨らんできた。私の大好きな、おばあちゃんのことを思った。すきっていう気持ちを強くして、それを声にして出せるように・・・。
死んじゃうってことはとっても悲しいけど、そして死後の世界というものがあるのか、どうなっているのかはわからないけど、きっとあの人のいることろは、今のあの人の状態は、やすらかなんだろう。

・・・・・・・。




そんな思いと共に、私は曲の山場を越えた。
高い声は、なんとか出た。というよりも、たぶん、普段びくびくしながら出すときよりも、思い切ってのびのびとできたかもしれない。


楽しかった。もっと歌いたいくらい。
曲を途中で止めないで最後まで聴いていて下さった先生たちに、感謝の気持ちが湧いてきた。おこがましいけど、先生達に今私が歌ったとき感じていたようなものが、少しでも伝わっていたら・・・すごくうれしいな。あら、この子はわりと歌うのすきそうねってぐらいかもしれないけど(笑)それだけでも、とってもしあわせだ。


なんか、歌えてよかったな。
失敗しなくて、ではなく(小さいミスや納得行かなかったところは、もちろんある)楽しめて、よかったな。

歌う前ではなく、終わってから、なんかどきどきしてふるえが走ったりした。あぁ~無事に終わってよかった。なんだかよくわからないけど、なんか感動した。


なんか書いてて恥ずかしくなるくらい自己催眠が深かったけど。。それでも歌うときはいつも、あつく燃えたぎってる自分と、それを冷静に眺めてる自分が私の中にいる。自信がないときは、そうやって盛り上げることもひつようだよね???でも、こんな性格だから、どんなジャンルでもうたうたいっていうのは単純!とかって笑われちゃうのかしらん。


しかし、家に帰って母親に今日のテストのことを話し、林やすこ先生って人の前でうたっちゃったと言ったら、なんかやたらに驚いていた。私はいーかげん無知なのでぼーっとしてわからなかったのだが、なんかすごいひとらしい。そんな人におまえの歌を聴かせたのか・・・としきりに嘆かれた。え、もうおそいんだけど。

なんか好き勝手歌ってしまったけど、あとになってやや後悔してもいる。何かがはずかしい。
う~ん・・・。まぁいいや。春休みは目前だし。
えへへ・・・秀とかとれちゃわないかな☆だめだったらけっこうへこんだりしそう。ふふふ。さっき成績なんて関係ないとか言ってたのにね・。・





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最終更新日  2004年02月16日 01時31分02秒


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