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岡嶋二人というミステリ作家さんをご存知でしょうか? この作家の正体は、井上泉(井上夢人)と徳山諄一(田奈純一)という二人の人物。二人は共作と言う形で、岡嶋作品を書いておりました。この岡嶋二人の本、昔学生時代に独文の助手をされていた石井さん(といっても、知っているのはchapiと味醂くらいか)に薦められて読んだことがありました。まぁ、フィクション物はなかなか興味を持てない私ではありますが、すごく面白かった印象だけがあります。読んだ作品のタイトルや内容はさっぱり忘れてしまっていましたが・・・。それはともかく現在、井上さんと徳山さんの二人はコンビを解散してそれぞれの道を進んでいるのですが、この間なんとなく気が向いて、井上さんが書いた「おかしな二人」(講談社文庫)という本を買ってみたんですね。これがめっぽう面白い。実はこの本、ミステリではなくて、岡嶋二人の誕生から、二人がどのように作品を書いていったのかを作品をあげて綴り(だからネタバレし放題!)、二人の関係の変遷をたどりながら、岡嶋二人が消滅するまでを、井上の方からの視点から書いた「岡嶋二人盛衰記」(本の副題)なのです。作家が作品を作り上げるとき、どのようなやり方でやっていくのかなんて書いてある本は滅多にありませんよね! それにノンフィクションだから、僕にもとっつきやすい! それに冒頭で生まれる井上さんのお嬢さんは僕よりちょうど一つ下の72年10月生まれだそうだし、井上さんが住んでいたのが二子玉川、徳山さんが住んでいたのが上野毛で、僕はそのころちょうど小学生で上野毛と等々力に住んでいた(一回引っ越したのね)ので、当時のあの辺りの情景が浮かぶんですね。あと、本文中に何回も知っている人が出てくるので、思いっきりはまってしまいました。(このあたり極私的事情ですが、普通に読んでも面白いです)で、いろいろな作品の製作過程が出てくるわけですが、完成した作品が載っているわけではなく、話が進行してしまうのです。(アタリマエ)でもそれってじれったいよう! まぁ、作品を本にいれたら何ページの本になるんだよ! って話しだし、筆者としても岡嶋二人作品をすでに読んでいる人向けに書いているわけなんでしょうし。でもやはり読みたい! ネタバレしていてもカマワナイのである。「おかしな二人」というノンフィクションの一部として読むんだから!ってことで(オイオイ! 今までのは全部前置きかよ!)、先ほど本屋に行ってまいりました。買ったのは「焦茶色のパステル」「明日天気にしておくれ」「チョコレートゲーム」「99%の誘拐」「クラインの壷」(全て講談社文庫)の5冊。今週末は岡嶋漬けになりそうです。
Jun 23, 2014
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岡嶋二人というミステリ作家さんをご存知でしょうか? この作家の正体は、井上泉(井上夢人)と徳山諄一(田奈純一)という二人の人物。二人は共作と言う形で、岡嶋作品を書いておりました。この岡嶋二人の本、昔学生時代に独文の助手をされていた石井さん(といっても、知っているのはchapiと味醂くらいか)に薦められて読んだことがありました。まぁ、フィクション物はなかなか興味を持てない私ではありますが、すごく面白かった印象だけがあります。読んだ作品のタイトルや内容はさっぱり忘れてしまっていましたが・・・。それはともかく現在、井上さんと徳山さんの二人はコンビを解散してそれぞれの道を進んでいるのですが、この間なんとなく気が向いて、井上さんが書いた「おかしな二人」(講談社文庫)という本を買ってみたんですね。これがめっぽう面白い。実はこの本、ミステリではなくて、岡嶋二人の誕生から、二人がどのように作品を書いていったのかを作品をあげて綴り(だからネタバレし放題!)、二人の関係の変遷をたどりながら、岡嶋二人が消滅するまでを、井上の方からの視点から書いた「岡嶋二人盛衰記」(本の副題)なのです。作家が作品を作り上げるとき、どのようなやり方でやっていくのかなんて書いてある本は滅多にありませんよね! それにノンフィクションだから、僕にもとっつきやすい! それに冒頭で生まれる井上さんのお嬢さんは僕よりちょうど一つ下の72年10月生まれだそうだし、井上さんが住んでいたのが二子玉川、徳山さんが住んでいたのが上野毛で、僕はそのころちょうど小学生で上野毛と等々力に住んでいた(一回引っ越したのね)ので、当時のあの辺りの情景が浮かぶんですね。あと、本文中に何回も知っている人が出てくるので、思いっきりはまってしまいました。(このあたり極私的事情ですが、普通に読んでも面白いです)で、いろいろな作品の製作過程が出てくるわけですが、完成した作品が載っているわけではなく、話が進行してしまうのです。(アタリマエ)でもそれってじれったいよう! まぁ、作品を本にいれたら何ページの本になるんだよ! って話しだし、筆者としても岡嶋二人作品をすでに読んでいる人向けに書いているわけなんでしょうし。でもやはり読みたい! ネタバレしていてもカマワナイのである。「おかしな二人」というノンフィクションの一部として読むんだから!ってことで(オイオイ! 今までのは全部前置きかよ!)、先ほど本屋に行ってまいりました。買ったのは「焦茶色のパステル」「明日天気にしておくれ」「チョコレートゲーム」「99%の誘拐」「クラインの壷」(全て講談社文庫)の5冊。今週末は岡嶋漬けになりそうです。
Jun 23, 2014
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アラスジ(今度は短くね!)主人公は結婚を間近に控えたOL。ある日、スキーで足を骨折した婚約者を見舞っているときに、奇妙な体験をした。座っていた椅子から突然投げ出されたのだ。下の方から目に見えないなにかがぶつかってきたような感じだった。その時から、彼女の頭の中に男の声がするようになった。--ここは、どこだ?頭の中の男は記憶を失っていて、主人公に自分の身体を捜して欲しいとたのみます。主人公は下から来た衝撃の事を思いだして、病院に婚約者がいる階より下で誰か亡くならなかったかを問い合わせますが、誰も亡くなっていないと言う返事でした。翌日、主人公の職場に刑事が訪ねてきました。彼は主人公に、病院への問い合わせの事を質問します。主人公は刑事に頭の中の男の話をしますが、刑事はもちろんとりあいません。刑事は、2階に重傷を負い意識不明の佐竹という男がいる、そいつの安否を確認したのではないか? お前と佐竹はどういう間柄なのか? と聞いてきたのです。刑事の話をもとに、主人公は佐竹という男の事を調べはじめます。その結果、佐竹は自宅そばの工場に勤めていると言っていたが、その会社は在籍を否定。しかし、彼は経理の台帳に名前が載っていたりする。誰かが佐竹の存在を抹殺しようとしている気配である。頭の中の男は、次第に主人公の身体に順応し始めている。そして記憶も徐々に戻ってきているようだった。そうしている内に真相が明らかになってきた。男は公安の元刑事で、佐竹という偽名で工場に潜り込み、南アフリカへのミサイル部品の輸出について工作していた。職場に来た刑事は男の同期で親友だった。刑事は友人の事を心配して、個人で捜査していたのだ。刑事は、だんだんと主人公の話を信じ始め、主人公の捜査に協力する。そしてある夜、男の記憶が完全に戻る。男は政治家の勢力争いの陰謀に、捨てゴマとして使われたのであった。彼が意識を失う重傷を負わされたのも、陰謀発覚を恐れて彼を切り捨てた政治家の指示だったのである。男は復讐すると言い出す。政治家を自殺に見せかけて殺して、陰謀も暴露するというのだ。主人公は自分の身体を使って犯罪行為をするなと男に反対するが、男は言うことを聞かない。医師の話では男の脳は回復不能な損傷を受けており、意識が戻ったとしても動くことも話すこともできないという。男は主人公の身体を乗っ取ろうというのだ。既に眠っている間に勝手に身体を使われていた主人公は、眠るまいと抵抗するが、結局は男に身体を乗っ取られてしまう。男は自分の身体を殺してしまえば、主人公も諦めるだろうと、病院に向かう。病院では主人公の婚約者が待ちかまえていた。婚約者は男の身体を殺そうとする主人公に飛びかかり、主人公は壁に頭をぶつけ失神する。気がつくと、頭の中の男は消えていた。そして男の身体に意識が戻ったことを教えられる。ねっ! 全然違うでしょ。もちろんモティーフは一緒だし、共通点もたくさんある。意識が入ってくるとき、身体は衝撃を受ける。意識は主人公の身体に次第に慣れていって、終いには睡眠時に自由に身体を使いこなし、勝手な行動をとってしまう。 あと細かいことを言うと、教祖の娘と主人公のOLの名前は葉山晶子、精神科医と工場の社員(チョイ役)の名前が池永良樹なんてどうでもいい共通点もありました。雑誌連載を単行本にまとめるのって、結構加筆修正があるのでしょう。特に週刊誌なんて毎週〆切な訳で、通しで読んでみたら矛盾点があったり、放置されていた問題があったり、作りこみが浅かったりと、色々あるんでしょうね。『ダレカガナカニイル』と『ふたりは一人』を読み比べてみたら色々なことに気がつきました。『ふたりは一人』では、誰かの頭に、なんで他の意志が入れるのかも不明である。そもそも、なぜ主人公に他人の意志が入ってきたかワカラナイ。オチについても納得出来るような説明がない。普通なら主人公は自分が狂ったかと疑うところなのに、すぐ現実を受け入れてしまう。異常な状況なのに、オカルト好きってだけで理解してくれる人が現れる。などとモティーフに関わるだけでも様々な未解決問題や疑問が残されている。さらに物語としても、せっかく異性同士が頭に同居するのに、イマイチ色っぽくない。ミステリの部分の南アフリカがらみが唐突すぎて浮いている。ミステリの解決が、記憶が戻ったからに頼りすぎてて、トリック弱すぎ。男の親友の刑事が活躍し無さすぎ。夢が多すぎるし、状況説名的すぎて印象が散漫。無駄なキャラが多い。特に4人兄弟なのに兄しか活躍しないし、それもほんの少し。などなど、解決しないといけない問題が山積している感じです。(雑誌連載時の読者の読む環境、筆者の書く環境を考えればやむを得ないと思いますが・・・)この『ふたりは一人』は1990年2月から9月にかけて連載されていました。連載終了時、原稿に手直しをして91年の春には単行本化される予定だったそうです。しかし、これだけ問題があると、中途半端な手直しではしょうがなかったのでしょうね。『おかしな二人』を読むと分かるのですが、井上さんの発想方法は、まずトリックやアイデアを考えてから、それをどう効果的に読ませていくかを考え、ストーリーを組み立てていくようです。ですので、『ふたりは一人』を単行本に纏めようという段階になって、これは中途半端な事をやっていたら、物語自体が崩壊してしまうというように考えたのだと思います。だったら、最初のアイデアを生かして、1から物語を作り直そうと。結局『ダレカガナカニイル』が単行本として出版されたのは1992年の1月でした。ここでオウム事件の年表ね。1989年 8月 東京都が「オウム真理教」を宗教法人として認証。 11月 坂本堤弁護士一家3人殺害事件。1990年 2月 衆院選挙に「真理党」25人立候補。全員落選。1991年 9月 麻原彰晃と上祐史浩が『朝まで生テレビ』に出演。1992年 12月 東京都港区に東京総本部道場を開設。ですので、連載開始のころに、衆院総選挙に妙なカブリモノをかぶって立候補している怪しげな宗教団体として、オウム真理教はメディアに取り上げられてきていました。このころは井上さんも、ヘンな宗教団体があるんだなぁ、と思っていた程度だったのかも知れません。しかし、連載が終わり、原稿をまとめようという時に、小手先の修正では無理らしいと判断した。そもそも誰かの頭に、なんで他の意志が入れるのかも不明である、というモティーフの最大の疑問に答えようがない。臨死体験はキューブラー・ロスの研究が70年代からあったけれど、立花隆の『臨死体験』が出版されたのは、1994年です。どうやってこの問題を解決しようか? と思った時に気がついたのが、ヘンな新興宗教のオウムだったのではないでしょうか? そして、設定にも新興宗教が大きく関わってくる話に再構築されたと。(『ダレカガナカニイル』の意識が身体を出ると言う部分の説明は、宗教ではなく、人間が持っている潜在能力として書かれています。念のため)よくネット上で、『ダレカガナカニイル』はオウムを連想させるけど、オウム事件が一般的に認知される前に書かれているところが凄い!、という評価を見かけるのですが、ひょっとしたら上記のような事情があったのではないかなぁ? なんて思った1日でした。ちゃんちゃん。
Jun 23, 2014
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あいかわらず岡嶋二人、井上夢人を読んでいるのすが、ちょっと気がついたこと。ちなみに『ダレカガナカニイル』のネタバレがあります。ラストは内緒にしてますが、途中まで読んで、作品を読みたくなった方がいたら、僕の日記なんか中断して、本屋さんに行ってください。講談社文庫です。Wダレカガナカニイル』は岡嶋二人が解散後、独立した井上の再デビュー作という事になっております。別にトイレの順番待ちをしているわけではなく、ある日突然、自分の頭の中に他人の意識が入ってくる、というモティーフの話です。アラスジ主人公は警備員。彼は左遷され、山梨県のある村に信者を沢山連れてやってきた、ある新興宗教教団の警備を命じられます。村には教団を追い出そうと激しい反対運動が起きていたわけですね。 そこで主人公は、警備員達にいつも差し入れを持ってくる美しい教祖の娘と出会うのですが、立ち話をしている時、何か目に見えないモノに突き飛ばされてしまいます。その直後から《ここは、どこ?》と頭の中に入ってきた別の意識が彼に語りかけてきはじめました。どうしたんだろう、と戸惑っている時、急に教団施設内で火事がおこり、主人公はその対応に追われます。 火事は教祖の焼身自殺と見られ、教団は解散状態に。信者達も散り散りになりました。主人公の解雇をかねてから考えていた警備会社は、火事の責任をとらせ、彼を解雇します。 そうした最中も、頭の中の「誰か」はひっきりなしに主人公に話しかけてきます。その「誰か」は女性ですが、記憶が無いらしく自分が誰なのかも分からない状態。そうした状況に困惑し、自身の精神異常を疑った主人公は、村の反対運動の時に出会った、信者の従兄という精神科医を訪ねてみることにしました。主人公は様々な検査されますが、身体的な異常は無いようです。その一方で、主人公と「誰か」はもう一つの可能性も考えていました。「誰か」が話し出してから、主人公は繰り返し同じ夢を見ます。 炎に包まれる自分、炎の向こうに恐れと驚きと悲しみを含んだ男性の眼が自分を見つめている、意識が体を離れ天井辺りまで昇る、見下ろすと黒焦げになった自分の身体と、服に燃え移った火を消そうとあがきながら部屋を出ていく男性。そして意識は天井を突き抜けて昇って行く。夢は前世の記憶で、「誰か」は主人公に入ってきた時に焼死した教祖なのではないのか? 「誰か」は、きっとそうなのだと主張します。その間、刑事が事件の捜査で主人公を訪れます。刑事の話では自殺にしては撒かれていた灯油を入れていた容器がないという。殺人かもしれないので、当時の状況をもう一度詳しく聞かせて欲しいと来訪したのだという。しかし、警備会社の監視カメラには燃えた建物に出入りしたのは、教祖一人だけしか映っていませんでした。監視カメラのテープ。そこには「誰か」が主人公に入ってきた時の様子が映っているはずでした。そのテープを精神科医に見てもらうため、彼は元同僚に密かにテープをダビングして渡して貰うよう頼み、テープを受け取りに警備会社の山梨支社に向かいます。この時、ついでに教団施設に出向いてみることにしました。教団の施設に行くと、そこには行方が分からなくなっていた教祖の娘がいました。彼女は母の遺品を取りに来ていたのです。現在は東京の知人宅に世話になっているという彼女と、主人公は東京に帰ることになりました。道中、主人公は彼女に自分に今何が起きているのか話します。倒れたときに自分に「誰か」が入ってきた。その「誰か」がひっきりなしに自分に話しかけてくる。僕は頭がヘンになったのだと疑っている。「誰か」は自分はきっとその教祖なのだろと言っている。彼女はその話を聞き、それはきっと母なのだと言い出す。教団では自分の意識を体から解放するポワという方法を信者に教えている。母は亡くなったときにポワし、その意識が主人公に入ったに違いない、というのだ。頭の中に母の意識を抱えて困っている主人公に、彼女はひょっとしたら自分なら母親の意識を頭の中から出せるかもしれない、上手くいくか分からないけれどやってみたいので、自分をしばらく主人公の家に置いてくれないか、と頼みだした。美人の彼女が気になっていた主人公は、「誰か」にも進められて、その申し出を受ける。こうして始まった奇妙な同居生活。主人公は引き続き精神科医の診察を受けたり、自らをポワした彼女の意識を自分の中に入れ、母親を連れだして貰おうとして失敗したり、催眠術を受けてみたりする。そうしている内に主人公と教祖の娘は結ばれました。一方、「誰か」の方にもずっと変化がおきていた。最初は真っ暗な中にいると言っていたのに、主人公の目を通してモノを見たり、舌を通して味わったりと、だんだんと主人公の身体に馴染んできたのだ。そして催眠術の最中、「誰か」は主人公の口を使って話すようにもなってきたのです。同居生活から同棲生活へ。そうするうちに主人公は彼女がある秘密を持っていることを知ります。問いつめると彼女は話し出しました。じつは教団の教祖は母ではなくて自分なのだと、母は社会と対立してしまって袋小路に入ってしまった教団を解散させるため自分を教祖だとして焼身自殺をしたのだと。彼女は小さな頃から不思議な能力を持っていました。自由に身体を抜け出して行きたいところに意識を飛ばせる能力でした。強欲で無神経だった母は最初、娘の話をとりあいませんでしたが、能力がインチキや妄想ではなく本物だと知ると、それを金儲けに利用しようと考えました。そうして出来たのが教団だったのです。それと平行して、主人公と「誰か」は教祖の死の謎に疑問を抱いていました。夢の中には男が一人出てくる。テープには映っていないと警察は言うけれど、見落としがあったのではないか? 監視カメラは定点観測なので、画面はずっと変わり映えしない。警察は早送りで見たのではないか? それでは自分達はじっくりと見てみよう。しかし、テープには誰も映っていませんでした。ただ一点、不可解な事があります。画面を横切って飛ぶ蛾がいたのですが、約一時間後に同じ蛾が全く同じ飛び方で再び画面を横切るのです。この謎を彼女に話したところ、彼女は急に用事があると出ていってしまいました。待てど暮らせど彼女は帰ってきません。その間、主人公と「誰か」は蛾をヒントにテープに仕掛けられたトリックに気がつきます。カメラとレコーダーの間にもう一台レコーダーと編集機をおきます。通常ならリアルタイムの画像が録画されますが、編集機を使えば過去に録った画像を今の映像とオーバーラップさせることですり替える事が可能なのです。ではそうした仕掛けを施したのは誰か? 山梨の元同僚に聞くと、問題のカメラは、教祖の娘が設置したという答でした。「誰か」は怒ります。自分を殺したのは娘だったのです。何よりトリック解明の鍵となった蛾の映像の説明をした途端に出ていって、全然戻ってこないのが証拠です。この事実を警察に通報しよう、もしくは彼女を見つけだして警察に突き出しましょう、と「誰か」は主張します。しかし、彼女を愛してしまっている主人公は反対します。飛び出していった彼女が行く先は、やはり教団施設跡だろうと思われました。「誰か」はそこに行こうと言い、主人公は嫌だと抵抗します。この頃には、主人公の意識が薄れたり眠ってしまったりしている間、「誰か」は自由に主人公の身体を使いこなせるようになっていました。主人公は眠るまいと必死に抵抗しますが、結局、「誰か」に身体を乗っ取られて、教団施設跡に赴きます。そして、そこには彼女がいました。あとは内緒。アラスジ長すぎですね。何せ700ページ近くある話なので。W なんかもう疲れちゃったなぁ。で、この小説、ある団体を連想させますよね。オウム。ポワとか言ってるし。『おかしな二人 岡嶋二人盛衰記』は、井上と徳山が既に引き受けてしまっている週刊誌への連載をどちらが書くかを、喫茶店のマッチのマッチ棒を掴み、本数が偶数か奇数かを当てる掛けで決めて、駅の改札前で別れるシーンで終わります。この週刊誌の連載をまとめたものが『ダレカガナカニイル』なのですが、単行本にするときに改稿しているという事だったので、連載時のモノを週刊誌のバックナンバーを手繰って読んでみたんですね。当時のタイトルは「ふたりは一人」。なんだこりゃ、全然違う話になってるじゃん!
Jun 23, 2014
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