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2004.11.16
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 この本は私の人生を導いてくれた一冊である。具体的には札付きのワルで行き場のなかった私が更生するきっかけになった本である。出会いは17歳の頃。私の姉が三浦綾子が好きで塩狩峠、天北原野などを持っていて借りて読んでいた。作者が旭川出身だけあって、北海道ネタが多く、ちょっとした旅行気分にひたれるとあって、借りたものは一気に読んでしまった。するとまた読みたくなるのである。そして本屋で出会ったのが「夕あり朝あり」だった。

 この五十嵐氏、明治7年に越後の国新井村(いまの新潟県上越市)に実業家の父船崎四郎、母おけいの子供として生まれるも、2歳のころ母と離別。その後五十嵐家の養子となる。小学校を卒業してからはいくつもの仕事を転々とし長続きはしない。それでも時の生糸商糸屋平八にあこがれ一穫千金の夢を見て東京を目指すも手持ちの資金がなく、全国を放浪する。ロシアへの密偵を企て北海道に上陸するもたどり着いたのは世にも恐ろしい監獄部屋へ入れられ命からがら逃げてきたのが小樽。そこでキリスト教との運命的な出会いを果たし受洗する。その後東京へ戻り、洗濯店を経て三井呉服店へ入社する。以後は白洋舎創業へつながっていく。
 この物語、五十嵐氏の間近にいたかのようにリアルに書いているところが見どころである。幼少のころから常に観察していたかのようなリアルさなんです。実は三浦綾子氏と五十嵐健治氏の付き合いはほんの15年ほどだったと聞く。カリエスの病に臥し、旭川で療養中だった当時無名の三浦氏(当時は堀田性)を五十嵐氏がはるばる東京から見舞ったのがきっかけである。その時、五十嵐氏は80歳を過ぎていた。最初は堀田綾子に面会を拒否されながら、まめに足を運びそのうちに親交が深くなったと聞く。
 この本に見る五十嵐氏は誰に対しても愛をもって仕えていた人だと感じいる。ワルだった当時の私は、自分の悪事も全て社会に責任転嫁してしまう横着な人間だった。だからたとえ悪人でも愛をもって使える五十嵐氏の生き様をとても理解しえなかったのだが、読んでいくにつれ、愛をもって生きる氏の生き様に共感を覚えずにはいられなくなってきた。氏は一穫千金を果たしたわけでもなく、大金持ちになったわけでもない。でも愛をもって生きたおかげで、誰からも愛されそして幸せに生きてきたのです。
 これを書いて久しぶりに10年以上前のピュアな自分を思い出してきた。
 いつまでも色褪せない珠玉の一冊三浦綾子著「夕あり朝あり」でした。






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最終更新日  2004.12.04 01:33:06


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