嘔吐112.

July 15, 2005
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カテゴリ: Lily


如何しようもなく懐かしく聞こえた。

僕は何処に行っても独り佇むばかりで。

其の場にあった灰色の霄だとか、
背景の気品ある風景だとか、
頬を撫でる程度の優しい風だとか。

そんなものは本当に
僕の記憶の片隅にあるものでしかなく、

一滴の雫のように地へ零れ落ち、滲むものだった。



どんなに楽なのかと思う。
僕の中の全てが同じように零れ落ちてしまったら
どれ程の絶望なのかと思う。


軽やかに歩みを踏む道化師。
泪を秘める天使の歌声。
濁りを深める鳩の群達。


春の温もりも、夏の蝉の疎さも、
秋の美しさも、冬の凍えも、

何度繰り返しても鐘の響きは止まないままだった。

旋律は戦慄を僕に感じさせ、
白の灰を霄へ舞い散らせる。




いつか其の鐘が
鳴り終わってしまっても心配しないで。


僕は永遠に、僕の在るべき場所にあるから。

僕の響きは何処までも、あの時計塔の鐘の深に。


伊咲夜。





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Last updated  July 15, 2005 09:19:58 PM コメントを書く
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