EBIちゃんのここだけの話

EBIちゃんのここだけの話

第五章


五章

先生に言われて早々に旦那と子供は帰ってしまう。
部屋に誰もいなくなって涙が止まらなくなった。

中学の時以来別れたきりの父の顔や、それ以来苦労かけっぱなしの
母の顔、初孫と言って私をかわいがってくれたおばあちゃんの顔、
やっと幸せになれた家族の顔・・・私がいなくなって悲しんでくれる人の顔が
浮かんで浮かんで涙が出てきた。
なんて幸せだったんだろうと気づいた・・・

普段、神頼みなんてしない私が必死に手を合わせていた。
「どんな痛い治療にも耐えます、どんだけ時間がかかってもいいです、
家にかえれますように ・・・助けてください。駿の成長を見させてください。」

夜中、先生が来て、「次の注射が効かなかったら、大学病院とかもっと施設の
整ったところに移ろう。」
と言われる。
夜中中、看護婦さんが私の部屋を頻繁に訪れた。
次の日、朝の目覚ましテレビで乙女座が一番のラッキーディに
なっていた。
関係ないのにものすごく期待してしまった。(ガクッ)
朝、肩に注射を打ってもらう。白血球を増やすものだと説明を受ける。
打ったあと、腕がものすごく腫れ上がった。
これもまた怖かった。


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