なまけいぬの、お茶うけをひとつ。  

なまけいぬの、お茶うけをひとつ。  

2007年01月07日
XML
カテゴリ: 楽園に吼える豹
今回からは本編はしばらくお休みで、外伝をお送りしたいと思います。


レオンがなぜアスカに恋心を抱くようになったのか、彼の過去に何があったのか。
外伝ですので読まなくても話は通じますが、よろしければ読んでやってください(*^-^*)








目が覚めた。
だるい。昨日飲み過ぎたか。そういえば軽く頭痛がする。

開ききらない目で周囲を見回すと、見覚えのない室内だった。
なぜこんなところに? ここはどこだ? 記憶を辿る。


完全に覚醒していない頭で何を考えたって、高が知れている。
それに、ここがどこであろうと、はっきり言ってどうでもよかった。
どうせ大体想像がつく。


「ん……」


すると案の定、隣で人の動く気配がした。
振り向いてみると、整った顔立ちの女が一糸纏わぬ姿で眠っていた。
まだ起きる気配はない。

彼女の顔を見て、昨夜の記憶が漸く戻ってきた。
どちらともなく誘って、それでこういう状況になったのだった。


レオンは立ち上がった。
そろそろ着替えないとまずい。今日も仕事だ。


多少気持ち悪かったが、夜遊びをした自分が悪いのだから仕方ない。

(そう言えば……)

レオンは再びベッドで寝ている女性を見た。
昨晩、彼女と何をしたかは覚えている。何を話したかも大体覚えている。

だが一つ、思い出せないことがあった。









「あ、そうだ。リンダだ」

その日の午後になって、レオンは漸く一夜を共にした女性の名を思い出した。
これほどまでに思い出すのに時間がかかってしまうとは、よほど彼女の存在は自分にとってどうでもよかったのだなあと、レオンは改めて実感してしまう。

突然話題と関係のないことを喋り始めた友人に、彼と向かい合う形で座っていたユキヒロは困惑の眼差しを向けた。

「ど、どうかしたんですか?」

「いや、何でもない」

あえてユキヒロに話すようなことでもない。
真面目な彼に、昨夜ベッドを共にした女性の名前を今思い出したのだなどと言おうものなら、卒倒してしまうかもしれない。


「それより結局どうするつもりなんだ? GSやめるのか?」


レオンはテーブルの上に置かれたコーヒーカップを持ち上げ、コーヒーを一口すすった。
プロジェクトE実行総合本部内のカフェテリアは、割と質のいいコーヒーを飲ませる。

ユキヒロは以前から、ガーディアン・ソルジャーを辞めるかどうかで迷っていた。
以前からといっても、はっきり「辞めたい」と口に出し始めたのはつい最近である。
が、GSという仕事を続けるかどうかという迷いは、それよりずっと前から態度に表れていた。


レオンは基本的に、他人の悩み事には深くタッチしない性格だし、人生は本人自身が決めるべきものだと思っているから、ユキヒロに対し積極的なアドバイスもあまりしないし、新しい就職口を世話してやるなど考えもしなかった。

だがユキヒロとは長い付き合いだし、こうして時々相談に乗ってやるくらいの優しさはあった。

「前にも言ったけど、ユキは悩みすぎなんだよ。悩む前に行動してみたら、案外すんなりうまくいくかも…」


「は、はい。それでですね、とうとう決めました。僕、やっぱり―――GSを辞めることにします」


レオンの言葉を遮ったユキヒロの声は、明るく清々しかった。
ふっきれたのだろう。

よかった、と思う反面、何でもっと早く決断できないかなあ―――とも思う。

きっとユキヒロは優柔不断なのではなく、責任感が強すぎるのだ。
GSという職を捨てて別の職業に就くことは、いったん自分に課せられた責任を投げ出すことのように、ユキヒロには感じられるのだろう。

いい意味でも悪い意味でも融通のきかない性格なのだ。


「で? 就職先とかはもう決まってんのか?」

「はい。レオンは…ゴウシ・草島さんてご存知ですよね?」

「ああ。ちょっと前まで俺の指導教官だった」

「その方が、新しい就職先を斡旋してくださったんです。
秘書の仕事なんですけど…僕のために尽力してくださって、本当に感謝の気持ちでいっぱいです」

ユキヒロは少し涙ぐんでいた。
本当に感謝しているのだろう。


「あれ? でも…お前、ゴウシと接点なんかあったか? あいつはS・Aクラスの指導教官だろ」


ガーディアン・ソルジャーは上下関係が厳しい。
階級を超えた交流など、ほぼありえないといっていい。

そのような状況の下で、(ゴウシは階級などにこだわるような狭量な男ではないとはいえ)なぜユキヒロはゴウシと知り合えたのだろう。

「あ、それはですね、ある人に紹介していただきまして……」

「ある人?」

「ええ。―――あ、噂をすれば」

ユキヒロがレオンの背後のほうを指差した。
手を振っている。
つられるようにしてレオンは後ろを向いた。

人の間を颯爽と通り抜け、一人の少女がこちらへ近づいてくるのが見える。
歩くたびに長いポニーテールがなびく。
しかし彼女の大きな瞳は、レオンではなくユキヒロを映していた。



「アスカさん」



ユキヒロが立ち上がって少女の名を呼んだところで、レオンは彼女が何者か完全に理解した。
アスカ・清里。ただ一人の女のGS。彼女の存在を知らぬ者などいない。









つづく


ネット小説ランキング、人気ブログランキングに参加しました。
よろしければぽちっと押してくださいな♪(*^▽^*)ノ
↓
ネット小説ランキング>異世界FTシリアス部門>「楽園(エデン)に吼える豹」に投票

人気ブログランキングバナー





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2007年01月07日 10時30分26秒
コメント(2) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

お気に入りブログ

いつかのご飯 お蕎… アイネスターゲスさん

black obelisk black_obeliskさん
Emy's おやすみ前に… emy&acoさん
~*合縁奇縁*~ 桜嶺みすずさん
日月の聲 渡瀬 悠宇さん

コメント新着

まよいねこ@ Re:凛花9号 「櫻狩り」最終回感想(01/14) なまけいぬ様、初めまして。 「櫻狩り」…
なまけいぬ @ Re:男子っ!!(03/26) アイネスターゲスさん 高橋選手、モチベ…
アイネスターゲス@ 男子っ!! 大輔くん頑張りましたね! テンション低い…
なまけいぬ @ Re[1]:2010年世界フィギュア 男子(03/26) black_obeliskさん 何となく、今年の世界…
black_obelisk @ Re:2010年世界フィギュア 男子(03/26) オリンピックでファンも燃え尽き症候群・…

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: