ここなつ家のフィリピン生活

ここなつ家のフィリピン生活

ホームスクールをはじめたきっかけ(2)



児童発達医に診てもらうことにしました。

出された診断は、軽度ディスレクシアと、軽度ADHDの疑い。


診断が出たとき、実は、ほっとしました。

レッテルが貼られて、ほっとするというのは、おかしいかもしれませんが、

まず名前がついたことにほっとしました。

それに、

「この子がこういう風になったのは、私のせいではなかったのだ」

という気持ちもありました。


医師は、

「ゆっぴー君は、自分が間違えると、間違えたということがすぐにわかります。

だから、間違えてしまった自分に苛立ちを感じて

焦ってしまって、その次の問題も間違えてしまう。

だから、一つ間違えると、その後も、

できるはずの簡単なものでも、次々と間違えてしまうようです。」

と言われました。


すぐに療育セラピーを受けさせて、読み書きができるようになれば、

学校でも困らなくなるのではないかと思いましたが、

主人は嫌がりました。

「療育で、この子の個性がつぶされることだって、あるかもしれない。

無理に読み書きができるようにすることが、良いかどうかわからない。」

というのが、主人の主張でした。


一年間放っておいたホームスクールについての本を、また取り出して、読んでみました。

ホームスクールの先駆者、ムーア博士夫妻の著書でした。

すると、前には気づかなかったディスレクシアのことも、

そこに書いてありました。

「子どもが就学年齢になっても、読み始めなかったからといって、

心配する必要は何もない。

環境さえ整っていれば、子どもは必ず読み始める。

10歳で読み始める子もいれば、14歳で読み始める子もいる 。」

というようなことが、書いてありました。


本当に、読めるようになるのだろうか、

それにしても14歳(!)まで待たなければいけないとしたら、

なんて長い間待たなければならないんだろう、と思いました。


それに、14歳まで待っても、それでも読めるように

ならなかったら?



さて、そんな時、発達医から、

LDについてのセミナーがあり、アメリカの専門家が来るから、

出席してみないか、というお誘いを受けました。


そのセミナーの中で、こんなことを聞きました。

「ディスレクシア(読み書き障害)やディスグラフィア(字がきれいに書けない障害)

の原因は、まだはっきりとわかっていないし、遺伝的要素もあるようだが、

脳がまだ発達段階にあるうちに、

文字を覚えさせたり、書かせたりすることによって起こる可能性があるという

見方が強まっている
」と言うのです。


参加者の中から大きなざわめきが起こり、

質問が寄せられました。

「その、 まだ文字を教えてはいけない年齢 というのは、

何歳ごろのことを指しているのですか。

フィリピンでは、字は4歳ごろから幼稚園で教えられ、

5歳では、大文字、小文字が書け、3文字の言葉が読み書きでき、

6歳では、文章の読み書きができないと

読み書きの遅れがあると、考えられているが。」

という、ある学校の先生からの質問には

「それは、どう考えても、早すぎます。

自分でそのくらいの年齢で読み出す子は、それでもいいが、

教えるのは、早くても、7-8歳 が理想的ということが

わかってきている。」と言うのです。


なるほど、フィリピンの中流家庭の子どもに

ディスレクシアが多い理由が、わかった気がしました。


さらに、具体的にはどのような対策があるのかということについては、

「まずは、その子の置かれている状況を理解することが先。

そして、 二次障害 を防ぐことが大切。」

と言われました。

二次障害というのは、

LDや、ADHDがある場合、

それが理由で、 自分はダメだと思い込んでしまうこと で、

そうなってしまうと、 周りに対して、反抗的な態度 をとったり、

あきらめて、 勉強に取り組むこと自体をやめてしまう ことです。


教室で、一人黙々と、紙飛行機を折り、

何かを書くときは、クラスメートから隠すようにしているという

ゆっぴーの姿が脳裏に浮かびました。

ゆっぴーは、まさに、この二次障害になりかけていると思いました。


また、専門家の方は、

以前は自分はホームスクールに対して懐疑的だった。

けれども、学校でLD、ディスレクシアの疑いが持たれ、

紹介されてくる(アメリカの)子どもたちが、ホームスクールになり、

家庭で、肯定的な雰囲気の中で、自分のペースで学んでいるうちに

障害が改善され、療育が不要になる例を多く見てきて、

ホームスクールは効果的だという確信を持つに至った


と言われたのです。


この言葉が、ゆっぴーをホームスクールで育てよう、と決める

決定打となりました。

もちろん、ホームスクールが万能薬というわけではありませんし、

誰もができることではありません。

ゆっぴーに合ったように教えられるという自信もありません。

でも、とにかく、ゆっぴーが落ち込みかけている

二次障害を防ぐには、

ホームスクールが一番ではないかと思ったのです。


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