野山系の行政書士が書く楽天日記

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農地の転用(資産の有効活用)


農地の転用
 資産を有効活用するためには

 農地法の立法目的は農地耕作者の地位安定のためと、国民の食料を自給するための農地を確保することにあり、国家施政者的な観点からも重要な法律であります。ビトンやエルメスはなくとも我慢はできますが、食べるものは我慢にも限度というものがあります。もし世界的な異常気象に見舞われでもしたら、たちまち食料の争奪がはじまることでしょう。
 さて農地の定義ですが、農地とは耕作の目的に供される土地であり、目的の有無を確認するには「肥培管理の有無」によって客観的に判断されます。ですから登記簿上の地目とは関係なく、事実状態で決まります。なお家庭菜園は農地法による農地とはみなされておりません。
 また農地法には採草牧草地と呼ぶ土地があります。これは読んで字のごとく、農地以外の土地で主として耕作又はよう地区事業のために牧草唐を栽培したり放牧したりするための土地のことを指します。

生産緑地の概要
 市街化区域内にある農地等が生産緑地地に指定されると、その生産緑地(5000平方メートル以上)については建築物の新築、宅地造成などを行う場合、市町村長の許可を受けなければなりません。原則として、農産物の生産集荷施設や市民農園の施設などを設置する場合以外の建築はすべて不許可となるのが現状です。
 このように生産緑地についてはきびしい開発制限が課せられていますが、一方では買取請求制度という救済制度ともいえるものが設けられています。
 生産緑地との指定告示の日から起算して30年を経過(現在時点で10年あまりですね)したときか、その告示後に農林漁業の主たる従事者が死亡したとか、従事不可能となった場合には、生産緑地の所有者は、市町村長に対してその生産緑地を時価で買い取るべき旨を申し出ることができることになっています。
 わかりやすく言いますと、持病の腰痛がひどく、とても耕作を継続することができない場合とか、相続人=後継者である子息も勤めの関係で耕作が不可能である場合など、それらの事実を第三者が証明することによって、自分たちが妥当と考える価格でもって、市町村に対して買取請求をすることができるということです。従事することが不可能である、というのが条件なので、部分的(いくつかある農地の一部という意味)には適用されません。所有する全ての土地に対して適用されます。
 買取請求が出されたら市町村は何らかの回答をしなければなりません。もしここで買取請求に応じないとなれば、所有者は自由に生産緑地を処分ができることになり、減免措置とされてきた固定資産税についても遡及することなく、免責されます。

 次に農地法3条、4条、5条についてご説明いたします。
3条・4条・5条
 3条は「権利移動」に関するものです。
 所有権、永小作権、質権、賃借権、使用貸借などが起きたときに適用されます。なお抵当権は権利の移動ではありませんので適用されません。
 4条は「転用」に関するものです。
 農地を農地以外の土地(宅地など)に転用するとき(農地を採草放牧地に転用する場合も)適用されます。ただし採草放牧地を際そう放牧地以外の土地にする場合は一切の規制がなく、自由に行えます。
 5条は3条と4条の条件が重なったという場合、つまり「転用を目的とした権利移動」の際に適用されます。売り渡す田畑に分譲住宅がたてられる場合などがこれに該当します。

届出先と罰則
 3条は農業委員会の許可、
 4条、5条は農地委員会を経由して都道府県知事の許可が必要となります。
 もし許可や届出をしない場合、その契約自体が無効になったり、工事停止命令や原状回復義務を課せられるほか、3年以下の懲役または300万円以下の罰金を科せられたりします。
 昨今、後継者不足からか遊休農地をよく見かけます。このような農地を賃借する場合(田舎暮らし等によくある話ですが)、契約締結には3条許可(権利移動)が必要です。許可を得ないで締結された契約は私法上でも無効となりますのでご注意下さい。また農地の賃貸借契約の解除や終了に際しても都道府県知事の許可が必要となります。
 今、全国の市町村では里道の買い取りを推奨しています。この機会に買い取りませんか?


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