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2008年01月16日
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『ダサい』 uncool ! (tacky)

都会人は、スマート(sophisticated)で粋(いき)といえば、かっこいい(cool)という形容詞でくくれそうだ。
アメリカ人は cool という口語表現を「未来志向の」という意味で使うことがある。
ワンパターンもの(the same old stuff)を追っかけているレトロな人間を「ダサい」(uncool)と決めつける。

ロスの若者たちを「ケバい」(gaudy, flashy, garish)とけなすのも、派手さを競うダサい(tacky)ところを見下しているからだろう。
東京人が大阪人をケバいと冷笑するのも、都会的なスマート(coolness)に対するダサさ(uncoolness)を、陰でこきおろしたいからであろう。

東京で派手な服装をする名古屋人をtackyと田舎者扱いしたり、金のブレスレット、金の時計で着飾ったイスラエル人の旅行者たちをヨーロッパ人がtackyか、もっとひどく「ケバい」(flashy)と酷評するのも、大都会の東京がいかにcoolであるかを、誇示しているかのようだ。
大阪を離れて、東京を活動舞台に移してから40年近く経った私でさえ、大阪弁の発想に切り替えると、ネチネチしてしまう。

もっとサッパリした感覚で書かないと、と思えば九鬼周造が書いた『「いき」の構造』を思い出す。

負けてうじうじ、ねちねちという bitterness は、人もその人の文体もどこかカラッとしないのだ。
やはりそれもuncoolなのだ。

弱さを見せないのも粋(イキ)であれば、弱さという人間性をむき出しにするのは、粋(スイ)であろう。
これはdishonest(裏をかくす)とかhonest(裏表がない)という次元で二分化することはゆるされない。
粋(いき)で、いさみはだの江戸っ子はcoolだ。
江戸日本橋河岸の若者たちが髪を「鯔背銀杏(いなせいちょう)」に結っていたところから、粋(いき)だったのだろう。
そういう兄ちゃんに、値切る行為は、uncool(ダサい)はずだ。
「帰って(けえって)くれ」と蹴飛ばされるのがオチだ。

“格好をつける”あるいは“パフォーマンス(和製英語)”(英語ではいずれも put on an act)という関東人の見せかけ文化はこの「いなせ」(coolness)の延長にある。
「坂田三吉さん、お弟子さんが(関東のライバルの)かたきを、おとりんなった。嬉しいでしょう。これからは日本に、立派な棋風を打ち建てて下さい」と東京風の粋(いき)なセリフが浴びせられた。
その時、涙顔の三吉は、「棋風なんか、どうでもええ。わいは将棋を打ちたいんや・・・」とホンネを吐いた。

弟子にまで嫉妬していたのだ。

この種の弱さを見せるのは、関東では致命的である。
危険なまでに純粋な、ホンネの吐露であった。
こうなればcoolではなくhotだ。
Those were his sincere and hot tears.





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最終更新日  2008年01月16日 13時41分44秒
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