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貧乏生活を続けていた夏目漱石が晩年に朝日新聞社に入社した。やっと生活が安定したとき、彼は「ようし、これで大胆な実験ができるぞ」と快哉を叫んだに違いない。最後の完成作で唯一の自伝的小説「道草」を書こうとしたのもその頃で、「漱石と三人の読者」の著者、石原千秋の言葉を借りると、漱石の自伝を書くに至った心境はこうだ。
・・・それは、自己の未来が残り少ないと感じ始めたからであり、そうであるからこそ未来の読者に向けて書くのではないだろうか。(P.7)--わかる、わかる。今だからこそ。(つづく)